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え、覚醒者になったら人権ある意味無し⁈ ふざけんなー‼
恋人は選べ!! 覚醒者の防衛機能作動!!
しおりを挟むカナタは学校で授業を受けていた。
――仕事がないって本当いいなぁ、平和な時間最高!!――
心の中でそう思いつつ、カナタは授業をちゃんと受けていた。
ただ、違和感があった。
今まで悩んでいた答えなどが頭にふっと沸き上がるのだ、式が必要な場合はそれも浮かんでくる。
――聞いてないけど、これも覚醒者の能力なのかなぁ――
カナタはそう思いながら、授業の終わりを待った。
授業が全て終わり、帰ろうとするとアイカが近づいてきた。
「えへへ~」
「何よアイカ、その笑みは」
「実はね~今付き合ってるお姉さんいるの!」
「年なんぼ?」
「28!!」
「悪いことは言わん、別れろ」
カナタが言い切ると、アイカは何でといいたげな顔になった。
「まともな大人は子どもには手をださん、第一うちらが結婚できるの18歳からじゃねーか、親の同伴必要で」
「後二年なんだからいいの!! それより、私の恋人カナタちゃんに会いたいって」
「断る」
「何で!!」
カナタは嫌そうな顔を隠さず言う。
それにショックを受けたような顔をアイカはしている。
「非常に、ヤな予感がする」
「そんなことないよーこれから会うから一緒に会おう!」
「いやだ、お前の恋人ロクなんいなかったから会いたくない」
「大丈夫素敵な女の人なのよ!!」
「おいこら、腕を引っ張るな!!」
カナタはずりずりとアイカに引っ張られていく。
――ここで断ったらさらに嫌な予感するんだよなぁ、仕方ねぇ会うか――
カナタは諦めのため息を吐いた。
人気のない場所に連れてこられたのに、カナタの危険度を感知する感が危険だと訴えていた。
「……なんでここだ?」
「今日はここで待ち合わせなの!」
少しすると、社会人らしいスーツを着た女性が近づいてきた。
「マリコさーん!!」
「アイカちゃんと……あら、カナタちゃん?」
「はい、マリコさんが会いたいって言ってたから連れてきたの!!」
女性――マリコは妖艶にほほ笑みながらカナタに手を差し出してきた。
握手を求めているようだった。
「……ほら、カナタ!」
「へいへい」
カナタがマリコの手を握ると、ボッとマリコが燃え上がった。
炎上したのだ、文字通り炎に包まれて。
「きゃああああああ?!」
「ああああああああ!!」
「……何が起きた?」
のたうち回り炎に包まれている女を見ながら、カナタは茫然としていた。
ドミニオン本部、レインが困ったような笑みを浮かべてカナタを見る。
カナタはソファーに座ったまま、頭を抱えている。
「……いやぁ、まさか誘拐&監禁&調教して精神ぶっ壊して女の子とか男の子飼育しているとんでもない犯罪者がこんな形で見つかると思わなかったわ」
「ぐおおおお、なんでアイカはそういうろくでもない奴ばっかと付き合うんだ……」
「まぁ、今回の奴に関しては外面はめっちゃいいらしかったからねぇ」
「……ところで何で燃え上がったんだ?」
カナタは首をひねる。
「カナタちゃん、自分の能力すっかり忘れてるわね」
「?」
「『能力炎熱地獄無同意、催眠その他含む行為を使った本人の意志を無視した性行為を及ぼうとしたものは炎に焼き焦がされる』……カナタちゃんにいかがわしいことしようとしたから燃え上がったのよ」
レインは何でもないことのように言う。
「……で、犯罪者は?」
「覚醒者に手をだそうということで永久監獄行きが決定したわね、監禁されてた子は精神状態を元の状態に戻されて、体も元に戻して各自家とかに帰されたわよ」
「ああ、良かった。そのまんまだと救われねぇわ」
カナタは安堵のため息をつく。
「……とりあえず、カナタちゃん、貴方可愛いんだから気を付けてね」
「自分からはいかないよ……ダチがどうかはわからねぇが」
カナタは呆れたように首を振った。
「お友達にも相手はちゃんと選ぼうねって言っておいてね、一応私達からも言っておいたけど」
「はい……」
散々忠告しても問題のある恋人ばかり連れてくる悪友に対してカナタは心の中でいい加減にしろと思った。
次の日、学校の授業が終了した時間に、申し訳なさそうな顔をしたアイカがカナタの元に来た。
「カナタあのね」
「アイカ、私言ったよなぁ、相手はキチンと選べ、年齢とか自分を大事にしてくれそうとか色々ひっくるめてちゃんと見てから選べ。できないなら選ぶな、私らまだ子どもなんだよ、18になるまでは大人扱いされないんだよ、分かってるだろ」
「でもでも!」
「でももへちまもあるか!! 私は今日は一人で帰る、絶対ついてくるなよ!! あと当分同じような要件もってくんなよ!! もってきたらマジで口きかないからな!!」
カナタはそう言って教室をずかずかと出て行った。
カナタが居なくなった教室で、アイカが座り込むとマヤがやってくる。
「今回は相当ひどかったみたいだね、カナタ相当頭にきてるよ」
「だってだって、分からなかったんだもん!!」
「でも、危険な匂い位は分かるでしょうアイカは」
「うん、わりとしてた……でもこれならカナタが『そんな奴と付き合う位なら私と付き合え』って言ってくれると思ったんだもん!!」
「……アイカ、現実を見よう、それは天地がひっくり返ってもありえない」
マヤが残酷に現実を説明すると、二人しかいない教室でアイカは泣き出した。
「ぞん゛な゛ぁ゛~~!!」
「それにカナタとアイカは正直合わない、アイカがどんなにカナタを好きだろうと、カナタはアンタにその分の愛情を返すことはない。相性が悪い、やめときな」
「な゛ん゛でぞん゛な゛現実づぎづげる゛の゛ー!!」
アイカは机に突っ伏して泣く。
「マヤに必要なのはアンタの愛情にちゃんと返してくれる相手であって、カナタじゃないのよ、どんなに好きでも。あと、かまってくれないと周囲に被害を起こすようなアンタじゃ無理。今はいいけどそのうち愛想尽かしてそっちいったら、カナタはんじゃ私いらんなばいばーい! って子だからね……まぁ他にも色々あるけどね」
付き合いの長いマヤの言葉にアイカは打ちのめされた。
「わ゛だじの゛は゛づごい゛な゛の゛に゛ぃ゛!!」
「諦めたほうがいい、初恋だろうと何だろうと、相性悪いと潰れる。つーかそんなことばっかやってると我慢強いカナタの堪忍袋の緒が切れて、絶縁、ってこともありうるよ?」
「ぞれ゛ばい゛や゛ぁ゛!!」
アイカの嘆きが教室中に響き渡った。
「ぶえっくしょ!」
「どうした風邪か? ……いや、覚醒者は風邪はひかんから違うか」
カナタ行きつけのラーメン屋で、カナタはレイドと相席になってラーメンを食べていた。
その際くしゃみをしたのだ。
「私の予想では誰かが噂してると思う」
「案外そういうの信じるんだな」
「まぁね」
カナタは麺をすする。
「しかし今回のはお手柄だな、犯罪者を識別できるんだからな」
「特定条件でだけどね」
カナタは麺をすすりながら続ける。
「ところで何でドミニオンに入らないの?」
「組織に縛られると動きたいとき動けんからな」
「ああ、なるほど」
「君は何故?」
「二択選べって言われたけどどうみても一択の選択肢選ばされたんだよ!!」
「イブリス……いや、レインか。彼女はそういうところがある、人材確保に関してはな」
「こっちはいい迷惑だよ」
麺を食べ終わりスープを飲み干す。
「ぷはー、やっぱりここのラーメン美味いわ」
「そうだな」
レイドもラーメンを食べ終えたようだった。
「機会があったらまた一緒にたべないか? 他にもいい店を知っているんでな」
「機会があったらね」
レイドが支払いを済ませ、店を出るのを見送ると、カナタも支払いを済ませ店を出た。
家に帰宅し、夕食を取る。
「カナタどうしたの?」
母親が心配そうに声をかける。
「ああ、何でもない」
「無理しちゃだめよ」
「それはうちの上司に言ってよ……」
カナタはため息をついた。
そして食事を終えると、自分の部屋へと向かった。
自室のベッドに横になり、深いため息をつく。
「アイカの奴、もう少しまともな恋人さがせっての……マジで縁切るぞ……」
苛立ったような口調でカナタは呟く。
「あーもーとにかく仕事が来ないように祈っとこう!」
カナタはそう言って風呂場へと向かった。
悪かったことを洗い流して忘れるために。
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