29 / 45
壊れた祝福者
自分以外受け付けぬ体、「血」をそぎ落とす体
しおりを挟むニュクスとのまぐわい、昨日ので酷く体が敏感なのが分かった。
だから、君により気持ち良くなってほしかった。
他の事を考えないように、もう何も気にしなくていいように。
女性の器とは異なり、元々受け入れる場所ではない後孔一年近く雄を受け入れてないソコに、いきなり私の物を挿れるのは苦しいだろうと思い道具を使った。
それが間違いだった。
玉が連なったタイプの性玩具を媚薬入りの潤滑液で濡らして、指でほぐしてわずかに開いてひくついている後孔に押し込んだ途端、ニュクスの表情が変化した。
どこか辛そうだった、最初は久しぶりに受け入れたからそれに対しての反応かと思い、膣内に、雄を挿れ、繋がって、昨日と同じようにまぐわいを始めた。
しばらくして明らかに違うのが分かった。
快感を感じているというよりも、明らかに苦しそうな顔と「声」に何があったと訳が分からなくなった。
「ニュクス、どうしたんだい?」
動きを止めて訊ねたのに、返事が無い、目元は涙で潤んでいるのに、昨日のとは明らかに違う、苦痛の涙で潤んでいる。
呼吸も表情も体の感触も、まるで凌辱に怯えているような、異物に犯される、苦痛しかない凌辱行為をされているような、そんな風に感じ取れた。
でも、ニュクスは何も言わない。
君の「声」がどうみて苦しそうで、辛そうな風に聞こえる。
けれども「言葉」がない。
壊れていた私が言ってた「痛い」どころか、「苦しい」、「止めろ」とかそういう言葉がない。
そもそも「言葉」を発してくれない。
何故?
どうして?
我慢を、するんだ?
ずるりと雄を引き抜くと、苦痛の色が増した。
それで完全に理解した、ほぐすためと良かれとおもって入れた性玩具に酷い苦痛を感じているのだと。
私はなるべくゆっくりと性玩具を後孔から抜いた。
抜き終わると、後孔は指で愛撫した時とは違い閉ざされた状態になっていた。
荒い呼吸を繰り返しているニュクスの頬を撫でる。
「……もう道具は使わない、すまない……」
謝罪の言葉を口にする、君は私を責めない、何故と言わんばかりの顔をする。
私は自分が醜くて耐えられない、自分が汚くて気持ちが悪い。
悦んでいる自分がいる。
私以外は受け付けない体に君がなってしまった事を悦んでいる自分がいる。
それが、どれほど苦しいかなんて分かっているのに。
壊れていた頃、自分の「欲」の為に散々壊れて歪になってしまってるニュクスを、はけ口にした。
酷く身勝手な行いだ。
そして今も、こうして欲のはけ口にしている。
私が突き放せば壊れるから?
それだけは違う!!
ああ、愛しているニュクス、君の事を何よりも愛している。
君と別れたあの日から、私はずっと君を愛していたとも。
だから、壊れた時、君が傍にいて欲しかった。
その結果、君はこうなってしまった。
私は君に依存しすぎている。
分かっている、ニュクスが居ないと私はまた壊れた状態に戻りかねない程、君に依存している。
私は、ニュクス、君がいないと駄目なんだ。
今でも、私は君と父以外の存在が怖くてしょうがないんだ、アルゴスも怖い、マイラも――城で働く者達も、皆怖くて仕方がない。
でも、もし君を手放したら私のこの壊れた体と心を「治そう」と言った誰かが言い実際に治せるとしても、私はそれを選ばない。
君を手放すくらいなら、私はこのままでいい、他の者達に怯え、食事も調理された物が食せなくてもいい。
君が、傍にいる方がいい、ニュクス、君を失いたくない、手放したくない。
お願いだ、傍にいて――
「――」
ニュクスは熱っぽい呼吸を繰り返して、口から「喘ぎ声」を零している。
目も熱に浮かされた目で、私を見ている。
血の気のなく、冷たい肌は熱帯び、汗ばんでいた。
孕むことのない器官、どれだけ精液を注ごうと、実るものなど何もない箇所。
でも、触れ合いたいと願いそこで繋がる者達もいる。
そういう性癖の者や、屈服や蹂躙、凌辱の痕跡として犯す輩がいないとは言わない。
性癖や繋がるの願ってなら、別に良いだろう、合意があれば。
それ以外の場合や非合意なら罰するべきだが。
私がやっているのは、どちらなのだろう?
ニュクスは拒否しない、私を愛しているから?
違う、君はこの行為、どちらであってもまぐわいを、性行為を好んでいない。
そうしたのは私だ。
壊れていた時、君に無理強いをさせたから。
君はしたくないのだろう、でも今の君は決して拒まない。
熱を吐き出す、欲を奥に吐き出すと、ひときわ甲高い「声」を上げて首を反らす。
赤い舌が艶めかしい。
ずるりと後孔から雄を抜く、奥で吐き出したからか、精液が零れてこない。
潤滑液と体液が混じり合って零れるだけ。
ニュクスの勃起していない、雄から、白い液体か零れていた。
咥えてみるけど、こちらの反応は敏感なのに弱い。
体液をこぼすけど、勃起することはない。
何故か分からなかった。
引き離されるのが怖くて言わなかった。
なのに、アルゴスがやってきた。
マイラが何か異変を感じたのだが、自分では把握的無い、またこの部屋での出来事は現在私が妨害してるから読めない。
ああ、よりにもよってアルゴスが来るなんて。
アルゴスはセイアを呼び出した。
何か言っている。
「リアン殿下、ニュクス妃殿下のお体を調べてもよろしいでしょうか」
「……普段の診察では、ないのか」
「普段の診察ではありません」
「どうしても、必要か」
「アルゴス様からのご命令です」
思わず舌打ちをしてしまう、心の状態が以前の私に近いとはいえ不安定な事は変わりない為、現状ではアルゴスの意見が通る、私が拒否しようと。
「――」
ニュクスは、嫌だともいわない、嘘をついて嫌がってると言えばもしかしたら調べる行為を止めさせられるかもしれないが、それこそ裏切りだ。
「……ニュクスは別に構わないと、言っている」
「ありがとうございます、では失礼します」
触診と同時に術診を行ってるのを私はニュクスを抱きしめながら見つめる。
診察――基検査が終わり、セイアはニュクスに術を施し、眠らせた。
そして離れ、セイアはアルゴスに普通なら聞こえない程の声で説明している。
壊れている時の私だったら、どうすることもできないだろう。
だが、今は本調子時ほどではないが、術は使えない訳ではない、聞くこと位はできる。
『ニュクス妃殿下のお体は実際どうなのだ?』
『私の治療は可能な限りやっております、ですがニュクス妃殿下自身が「治る」気が無いのです。いえ「生きる気力」を失われてらっしゃいます』
ああ、私の、所為、だ。
『――そうか、それに関しては私達ではどうにもできぬか……では、もう一つニュクス妃殿下の「生殖能力」関係の事だ』
『――全て、停止しています、いえもっと悪い状態かもしれません』
『どういう事だ』
『ニュクス妃殿下は無意識に自分の「性」をそぎ落としていらっしゃいます、子を生すことを嫌悪し生殖機能を無理やり停止させていらっしゃいます、おそらくニュクス妃殿下は――』
『自分の血を絶やしたいのでしょう、愚王レオンの血を引く唯一の子どもである自分の血を、愚王レオンの血を』
『……それも、どうにもならぬか』
ああ、君と血を繋がっているだけの愚者か。
殺そう。
「――アルゴス、父はあの愚王をどうすると言っている?」
「申し訳ございません、陛下からリアン様には決して伝えるな、と」
「何故だ? 答えろ」
「どうしたのだ」
父が姿を現した。
「父上、どうして私に教えてくださらないのです」
「リアン、お前はまだ酷く不安定だ。お前の妻を見よ、かつてのお前とは比べ物にならない程に衰弱している。」
「……」
「お前とは異なり、お前の妻は様々な要因で『壊れている』、その一つでもある愚王の事をお前が隠し通せるとは思わぬ、時が来たら話す。それまでは――くれぐれも己が妻に無茶をさせるな」
言い聞かせるような穏やかな口調から僅かばかりに圧のこもった言葉へと最後変わった。
父は見抜いているのだろう。
私は――君の為に何もできない上、君に無理強いさせてばかりな自分が憎いよ、ニュクス。
でも、何もできないままで、無理強いさせるのを止めることができない。
だから――憎んでくれお願いだから――
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
君のことが好きだから、えっちだけはしたくない!
バナナマヨネーズ
BL
五百五十歳になる大魔導士のノルンには悩みがあった。それは、ノルンが暮らすランブルド王国の王太子である、アーレスから熱烈な告白をされていることだ。ノルンもアーレスも、お互いが魂の番なのだと気づいていた。それでも、ノルンには、アーレスの思いを受け入れることが出来ないでいた。
五百三十歳も年下のアーレスを心の中では好きなノルンだったが、とある事情からそれを受け入れることが出来ないでいたのだ。
普段は、白髪白髭、その上、年老いた姿で暮らすノルンの真の姿を知らない周囲の者たちから、『枯れ専』『爺専』とアーレスのことを陰で笑うのだ。
それでもアーレスは、周囲のことなど関係ないとノルンに告白し続けるのだ。
これは、魂の番の二人が紆余曲折を経て心も体も結ばれる、そんな恋の物語。
本編全15話
※お月様にも掲載しています。
【完結】君が好きで彼も好き
SAI
BL
毎月15日と30日にはセックスをする、そんな契約から始まった泉との関係。ギブアンドテイクで続けられていた関係にストップをかけたのは泉と同じ職場の先輩、皐月さんだった。
2人に好きだと言われた楓は…
ホスト2人攻め×普通受け
※ 予告なしに性描写が入ります。ご了承ください。
※ 約10万字の作品になります。
※ 完結を保証いたします。
嫌われ者の僕はひっそりと暮らしたい
りまり
BL
僕のいる世界は男性でも妊娠することのできる世界で、僕の婚約者は公爵家の嫡男です。
この世界は魔法の使えるファンタジーのようなところでもちろん魔物もいれば妖精や精霊もいるんだ。
僕の婚約者はそれはそれは見目麗しい青年、それだけじゃなくすごく頭も良いし剣術に魔法になんでもそつなくこなせる凄い人でだからと言って平民を見下すことなくわからないところは教えてあげられる優しさを持っている。
本当に僕にはもったいない人なんだ。
どんなに努力しても成果が伴わない僕に呆れてしまったのか、最近は平民の中でも特に優秀な人と一緒にいる所を見るようになって、周りからもお似合いの夫婦だと言われるようになっていった。その一方で僕の評価はかなり厳しく彼が可哀そうだと言う声が聞こえてくるようにもなった。
彼から言われたわけでもないが、あの二人を見ていれば恋愛関係にあるのぐらいわかる。彼に迷惑をかけたくないので、卒業したら結婚する予定だったけど両親に今の状況を話て婚約を白紙にしてもらえるように頼んだ。
答えは聞かなくてもわかる婚約が解消され、僕は学校を卒業したら辺境伯にいる叔父の元に旅立つことになっている。
後少しだけあなたを……あなたの姿を目に焼き付けて辺境伯領に行きたい。
余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない
上総啓
BL
ある日トラックに轢かれて死んだ成瀬は、前世のめり込んでいたBLゲームの悪役令息フェリアルに転生した。
フェリアルはゲーム内の悪役として15歳で断罪される運命。
前世で周囲からの愛情に恵まれなかった成瀬は、今世でも誰にも愛されない事実に絶望し、転生直後にゲーム通りの人生を受け入れようと諦観する。
声すら発さず、家族に対しても無反応を貫き人形のように接するフェリアル。そんなフェリアルに周囲の過保護と溺愛は予想外に増していき、いつの間にかゲームのシナリオとズレた展開が巻き起こっていく。
気付けば兄達は勿論、妖艶な魔塔主や最恐の暗殺者、次期大公に皇太子…ゲームの攻略対象者達がフェリアルに執着するようになり…――?
周囲の愛に疎い悪役令息の無自覚総愛されライフ。
※最終的に固定カプ
全部欲しい満足
nano ひにゃ
BL
とあるバーで出会った二人が、性的な嗜好と恋愛との兼ね合いを探っていく。ソフトSとドMの恋愛模様。
激しくはないと思いますが、SM行為があり。
ただ道具を使ってプレイしてるだけの話……と言えなくもないです。
あまあまカップル。
堕ちた聖騎士は淫魔の王に身も心も捧げたい。捧げた。
クボナオミ
BL
美しく勇敢な騎士ジェラルドは戦争でとらえられひどい目に遭い(淫紋・拷問・異種族による輪姦)、そのあとにもひどい目に遭い(体の不具合・社会からの追放)、がんばって体を治そうとつらい思いをし(巡礼)、それでもダメ(体がうずいて仕方がない)で闇落ちしてなお努力する強い男。
辛い旅路の果てに、見つけ出した救済は淫魔の王・イドル・リリーだった。
物腰柔らかな蛇のような優男に見えるイドル・リリーは、もだえ苦しむジェラルドの淫欲を軽々と解放し、自らの糧とする。
淫魔の王×騎士を基本とした、リバです。
淫魔の王なので、受も攻もできるからです。
表紙イラスト/未散ソノオ
※2024/10/12 タイトル変更 旧題『騎士ジェラルドと淫魔の王』
※同人誌として発行済みの作品ですが、今後のお話はこちらに掲載後、同人誌にまとめる予定です。
孤独な王と愛玩物にされた傀儡の反逆者
琴葉悠
BL
不死王と呼ばれる暴君が世界を支配しているとされ、それにあらがう為のレジスタンスが存在した──
だが、真実は不死王しか知らない。
ヒトが、この世界を壊したからこそ、これ以上壊れないように統制と圧政を行っている事を──
ある日、不死王は再会を果たす、思考を染められた悲しき子と──
生贄として捧げられたら人外にぐちゃぐちゃにされた
キルキ
BL
生贄になった主人公が、正体不明の何かにめちゃくちゃにされ挙げ句、いっぱい愛してもらう話。こんなタイトルですがハピエンです。
人外✕人間
♡喘ぎな分、いつもより過激です。
以下注意
♡喘ぎ/淫語/直腸責め/快楽墜ち/輪姦/異種姦/複数プレイ/フェラ/二輪挿し/無理矢理要素あり
2024/01/31追記
本作品はキルキのオリジナル小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる