婚約破棄&浮気されたので電話した~婚約者交換~

琴葉悠

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婚約破棄&浮気されたので電話した~婚約者交換~

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 私の名前は丹勢たんぜるか。
 結婚を考えていた婚約者がいたが──

「悪い、婚約破棄してくれ。俺は宮瀬と幸せになりたいんだ」

 と、顔だけは良さそうな女を連れてきた。
 はい、浮気確定──

「分かりました、では私達のご両親に報告しましょう。顔合わせまでしたのに婚約破棄になるのだから」

 そうすると、太一は慌てて。

「お、お袋達に言う必要は──」

「もしもし、宮田のおば様、え? もう結婚するから義母さんおかあさんと呼んでいいのよ? 申し訳ございません、オタクの息子さんが別の女を連れてきて婚約破棄を言い出して来まして……今はカフェに居ます、はい大通りの」
 電話を切る。
「おばさんとおじさん、ここに来るって行ってるわよ、馬鹿息子の謝罪をするって」
 二人は顔面蒼白。
「それとその女の顔もみたいって、どんな男好みの顔か判断してやるって」
 と言って実家にも同じように電話。

 いやーこう言う時家が両方とも近いのは助かるわー。




 カフェの一室を借りて、両家+アルファの話合いになった。
「ほほぉ、太一、その女が新しく婚約者にしたいんだな?」
「そ、そうだよ!」
「許さん」
「何でだ! 彼女妊娠までしてるって──!」
 そう言うと太一の両親は首を横に振った。
「お前ブライダルチェックを見たのか?」
「え、な、何だよ」
「アンタは自然妊娠させるのは無理だって医者に言われてるんだよ! それでもいいと行ってくれた、るかちゃんにお前は……」
 今度は女も蒼白になる。
「な、なあ美優。どういうことなんだよ、一体どういうことなんだ⁈」
「どうせ、息子が儂の会社の跡継ぎになると思って近寄ったんじゃろ? なぁ?」
「っ! そうよ、じゃないとアンタみたいな盆暗と付き合わないわ!」
「な……」
「さて、婚約していた時とは言え浮気をしていたのと、その方は別に婚約者もいるようなのでご報告しましょうか」
「な、なんでそれを⁈」
「同じ会社で働いてるんだから知ってるに決まってるでしょう、あれだけ自慢していれば」
 私はそう言って席を立った。
「太一くん、君のご両親には悪いが君と娘を結婚させなくてよかったよ」
 父が侮蔑の表情を浮かべている。
 母も軽蔑のまなざしを向けている。
 太一の両親は私達の両親に頭を下げた。




 それからトントン拍子、この女、他にも浮気していたらしく、婚約者に伝えたら当然婚約破棄、慰謝料も取られた。
 私も取ったけど。
 それと中には既婚者がいたらしく、相当の額搾り取られているのだとか。

 太一は地方の工場勤務に左遷された。
 跡継ぎがどうなってもいいのかとわめく太一に、太一の父親が。

『馬鹿に潰されるくらいなら別の者に託す、儂が育てた会社だが、お前には任せん』

 ときっぱり言われ、地方へ飛ばされた。
 女も、浮気のことが原因で会社にいられなくなり、どこかへと姿を消した。
 まぁ、微々たるものだが慰謝料をもらえたし、いっかと思っていたら、女の婚約者が私に婚約しないかと言ってきた。

 最初はえー、なんかやだなー。
 とか思っていたが、趣味も合い、話も合い、トントン拍子で結婚した。


 それから四年後、二児、男の子と女の子に恵まれて幸せな生活をしている。
 子育ては死ぬほど大変だが、夫が積極的に手伝ってくれるから安心。


 太一とあの女には感謝しないと。
 こんな素敵な人と出会えたんだから。







 私は美津濃みずの幸多こうた
 大手企業に勤める会社員だ。

 婚約者がいるが、最近様子が怪しいと思ったらとある女性から連絡が来た。
 丹勢るかと名乗る彼女は──

「貴方の婚約者が私の婚約者と浮気しています。私は二人に微々たる物ですが慰謝料を請求する予定です。婚約破棄したいのでしたら証拠をお渡しします」

 と言ってきた。
 私はその答えに応じ、証拠を送って貰った。

 めまいがしそうな程に真っ黒だった。
 私はそれを元に婚約破棄を言い出した。
 もうすぐ結婚式だったが、キャンセル料は全て元婚約者持ちにさせた。

「待って、違うの、遊びだったの、だからお願い!」

 遊び、遊びで婚約者をいとも簡単に裏切ると?
 そんな輩断じて認めん!

 慰謝料を貰い、私は一つの事を思った。
 同じ、もの同士なら、と。


 さっそく私はるかさんに連絡を取り、友達から始めませんか?
 と伝えた。
 るかさんは、何かあれな様子だったが、最終的には応じてくれた。


 そこから趣味もあい、話もあい、トントン拍子で再び婚約し、結婚した。


 それから四年後、二児、男の子と女の子に恵まれて幸せな生活をしている。
 子育ては大変だから、私も積極的に関わっている。

 もしあんなことが無ければこんな幸せはつかめなかっただろう。

 るかさんには感謝してもしきれない。

 あんな女と結婚していたら今頃不幸のまっただ中だったろうからな。





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