不死人になった私~壊れゆく不老不死の花嫁~

琴葉悠

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君を守るため

怖い夢、忘れさせて ~結構それ爆弾発言だよ!!~

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 グリースがルリをヴァイスの城から連れ出して三週間が経過した。

 グリースはルリが眠るのを見計らって隠れ家を出て、城に向かい偶にヴァイスにルリの血が入ったパックを渡した。
 アルジェントの香水の減りが異常に早いので一度殴り合いになり、アルジェントを〆てから再度フェロモン入りの香水を渡した。
 結構作るの面倒なのでもう少し頻度を下げてほしいと心から思った。

 家では、ルリの世話をしながらリハビリなどの手伝いをした。
 ルリはまだ、完全に体調がよくなってはいない、体の方の動きは戻ったが、声がまだぎこちない、よくうなされるのを目にする。
 そんなルリの面倒を見ながらグリースは二つの国の動向に警戒していた。

 不安だった宗教活動家の吸血鬼排除運動は、活動に参加した人物達がほぼ全員逮捕され、中心人物達は実刑判決を受けている。
 普通の活動なら問題ないが、盟約で、「吸血鬼と言う種族を排除するなどという名目の行動をとった人物は即座に罰する」と決められてるのでこれは当然の対応だと安心した。
 放置してたら面倒なことが起きるのが見えていたからだ。
 まだ両国の情勢は安心できないが、グリースはあまり干渉する気は無かった、ルリの世話の方で手一杯だからだ正直。

 ルリの精神はまだ非常に不安定だ、グリースが居なくなった場合、一気にぐらつく。
 非常にグリースに依存する状態になっていたのだ。
 グリース的に好ましくなかった、依存だと、自分に何か起きた場合ルリに想像できないダメージを与えかねない。
 人間側からも吸血鬼側からも恐れられていて、可能なら殺そうとさえされているのだ、死ねないだろうが、それでも何かあったらルリが傷つく。

 では、何がいい?

 そう自分に問いかけてもグリースは上手く答えが出せなかった。

 ベッドの上でルリはスマートフォンで何かよく見る様になっていた。
「ルリちゃん、何見て……」
 グリースのルリのスマートフォンに映っているのを見て硬直した。
 見ているのはベビードールと言われるランジェリー系のページである。
 ブランド名も、可愛いベビードールを製作販売しているブランドメーカーのページだ。
「……ルリちゃん、ベビードールとか好きなの」
「……かわいい、から、きて、みたいなぁ……って」
 グリースはそっとルリの両肩を掴み、優しい笑顔で言う。
「それ、ヴァイスとアルジェントに言っちゃだめだからね」
「……どう、し、て?」
「……ルリちゃんのベビードール、割と可愛いのが多いけど、野郎から見たらベビードールってエロイランジェリーに入るからルリちゃんがそっちご所望と勘違いされかねないよ、あいつら馬鹿だから」
「……わかった、でも着て、みたい」
「……どれが欲しいの?」
 グリースは少し悩んだ後、空中にモニターのようなものを出現させた。
 ルリが見ているベビードールのブランドメーカーのページだ。
「えっとね……これ、と、これ、と、これ」
「よし、分かった、少し待ってて」
 グリースはその場から姿を消した。

 ルリは一人っきりになったのを少し不安に思いながらも、スマートフォンの画面を暗くし、ベッドに横になった。
 城から離れてから、体に蓄積された疲労がどっとでるようになっているのか、ルリはよく眠るようになった。
 うとうととし始め、ゆっくりと目をつぶった。


 真っ黒な部屋。
 此処は怖い部屋だ。
 逃げないと、逃げちゃいけない、お外はもっと怖い場所。
 逃げられない。
『ルリ様』
 いや、怖い人が来た、やめて、来ないで。
『愛しています、ルリ様』
 腕を掴まれてベッドに押し倒され、服をはぎ取られる。
 体を触られる、大事なところに、触れられる。
 体は酷く気持ちいいのに、それがとても怖い。
 お腹の中にどろりとした液体が吐き出される。
『どうか、私を愛してください』
 とても苦しいお願いをされる、でもわたしにはできない。
 懇願され、キスをされて、噛みつかれる。
 服を着させてもらってようやく解放され、怖い人が居なくなる。
 外に目をやれば、夜空が見えた。
 怖い、もっと怖い人が来る。
 ああ、怖い人が来た、私を違う黒い部屋へ連れていく。
 広すぎるベッドに寝かせられ、また服をはぎとられる。
 キスをされ、首筋に噛みつかれる。
 自分が捕食されているように感じる、怖い。
 体を触れられる、ねちっこく触られる、怖い。
 何か股の間がどろどろし始めたらそこに圧迫感を感じるのが入ってくる。
 お腹の奥を突き上げられて、苦しいほど気持ちよくて、それがとても怖い。
 たくさん、どろどろした液体が体の奥へと注がれる。
 お腹がそれで一杯になる。
 ぞわぞわして気持ちよく感じるのが怖い。
『ルリ、愛している。私を、愛してくれ』
 ああ、やめて、その言葉がとても苦しい。
 暗くなる、ああ、怖い、またこの日々が始まるのが怖い、怖い。
 誰か、誰か私をここから連れ出して、ひと時でもいい、連れ出して、お願い――

「ルリちゃん!!」

 誰かが私の手を掴んだ、私の事を呼ぶ。
 目を開けなきゃ。

 ルリが目を覚ますと、グリースは必死な表情で自分を起こそうとしていた。
「良かった、戻ってきたらかなりうなされてたから心配したんだよ」
「……グリース……」
「ん、どうしたの?」
 安心した表情のグリースがルリの頬を撫でる。
 ルリは安心したように微笑む。
「ありがとう……」
「――どういたしまして」
 グリースは少し嬉しそうにほほ笑んだ。
「……グリースそれ……箱?」
 ルリはベッドに乗っかっている箱を指さした。
「あーこれ……」
 グリースは困った笑みを浮かべて、箱から何か取り出した、それは――
「あ……」
「……あっちで着せると危険だから此処でなら着てもいいかなと思って、ルリちゃん可愛い下着つけたいんでしょう?」
 ルリが指定したベビードールだ。
「……どうやって?」
 ルリは首を傾げた。

 グリースは頭をバリバリ掻きながら、苦笑して返す。
「まぁ、二千年生きてるからコネを使いました。サイズは合ってるはずだよ、後で――」
「あのね、グリース」
 グリースの頭にヤな予感警報が発生する。
「ん、なぁにルリちゃん」
 しかしそれを見せず、いつも通りの表情でグリースはルリに接した。
「あのね、これ、着て、いろいろ、して、欲しい、の……」
 ルリばベビードールの一着青い色のベビードールを手に取ってまるで、服の買い物で自分に合うか調べるかのように自分の服の上に重ねるようにしている。
「あー……その、色々って?」
 グリースは自分の早とちりであって欲しいと願いながら聞き返す。
「……ぎゅうしたり、その……いろんなえっちなこととか……」


――ギャー!!――
――いや、かなり元気になってきたから俺のブツも術とか気合必要としなくなってきた、そして最近薄々感じてきた――
――ルリちゃん、俺基心とか許した相手とかには非常に貞操観念が危うい!!――
――お年頃というのじゃなくて、性行為関係に実は興味深々だったけど、最初のが怖かったからそれに蓋してあったのが、ここで蓋開いてる状態になってるのか!?――
――喜ぶべきか?――
――まぁ、あの二人なら喜ぶだろうなぁ、だが、俺は素直に喜べない!!――
――先ほどの考えてたのではないとしたらまだ精神的に異常がきたして、性行為をなるべくする回数を増やすことで今後の傷に耐性をつけようとしてるのか?――
――わからん!!――

「グリース?」
 色々考えていると、ルリが青色のベビードールを持ったまま、グリースの顔を覗き込んできた。
「あ――いや、なんでもない」
「……似合わない?」
「そんなことないよ! ルリちゃんに似合うよきっと!」
 いつもの調子で不安そうなルリを肯定する。
 ルリは嬉しそうに笑った後、照れているのか、ベビードールを持った手で口を隠して視線をそらしながら言う。
「あのね……ゆめで、されるのが、こわかった、でも、ぐりーすに、えっちな、こと、される、とさいしょは、怖かった、けど、今は、怖くない、し、気持ちいい、だけだから、こわい夢、わすれたい、から、して、ほしいの、いっぱい」
「あー……なるほど」
 グリースは額を抑えた。

――怖い夢を忘れたいからか、後俺との行為では完全に怖いのを感じなくなってるのね、今なるほど、怖いのを忘れさせてくれる気持ちの良い行為か、それならやるかもしれないなぁ――

「分かったよ、でご希望は」
「えっとね、いつもみたいに、たくさんさわって、ぎゅっとおしてほしいのとね、あとね、また、されるかもしれないから……」
「ん?」
「……おしりのほうも」
 ルリの言葉に、グリースは硬直した。

――うわー!!――
――かなりトラウマになっちゃってるから俺一回しかやったことのない、アナルセックスまで所望かよ!!――
――ルリちゃん、ちょっと無意識にハードル上げすぎてない?!――

「……そっちはゴムつけてやるけどいい? 下手するとお腹こわすかもしれないし、かき出すの大変だし」
 しかし、ルリが所望したのだ、拒否することはグリースにはできない。
「うん、それで、いいよ」
「あと、ちょっと道具つかうかもしれないよ、最近使ってないからほぐすのに」
「うん……」
「あと、怖くなったらちゃんと俺に言うこと、これは守れるよね?」
「うん」
「それならいい、じゃあ俺はいつものと道具取りに行ってるからルリちゃんはその間に着替えているといいよ」
「うん」
 グリースは寝室を出た。
 寝室を出ると、頭の中に歪だがルリぞっこんのアルジェントが浮かび自分を攻撃してくる図が浮かんで来てグロッキーになりかけた。
 アルジェントには、絶対此処であった事は言わないと誓いながら、セックスのための道具と避妊薬を取りに行った。



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