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はなよめの傷
へんなのなおった ~発情を鎮めるためのまぐわい~
しおりを挟むぐっと押さえ込まなければ頭が今にも肉欲まみれになりそうな空間の中でアルジェントは必死に自分を抑え込んでいた。
「……結果、悪化しました、と。よし最終手段だ」
唯一平然としているグリースは、避妊薬を取り出した。
「グリース、その薬……」
「お前らが使ってる奴よりかなり強力な避妊薬だ、こんだけ発情してるんだ、普通の避妊薬じゃ下手すりゃ妊娠しちまいかねないからな、後やった後念のため膣内で潰して使う奴も渡しておく、いいか。妊娠だけは避けろ!! 今のルリちゃんが妊娠なんてことになったら耐えられるわけないからなマジで!!」
グリースはそう言って一つの薬をアルジェントに渡した。
もう一つを持って、ぐったりとしているルリを抱き起した。
「ルリちゃん、お薬飲んでくれる?」
「……うん」
弱弱しい声でルリは返事をすると口を震わせながら開けた。
グリースはその中に薬を入れると、水の入ったグラスをルリの口にもっていく。
ルリは水を全て飲み干した。
「じゃあ、ルリちゃん、お休みの時間だよ、起きたら良くなってるといいね」
「うん……」
グリースはルリの頬にキスをした後、目を白く変色させ、普段より強い術をルリにかけた。
ルリはゆっくりと目を閉じ、深い眠りに落ちた。
「よし、俺が解呪するまで起きないはず、だ。起きたらその時はマジすまん!」
グリースはルリをベッドに寝かせると、いつものように窓によっかかった。
「真祖様は……」
「カルコス? だっけ、この間の面倒な奴の監視だとよ。部屋には余計な奴が来ないよう術かけてあるから大丈夫だと思うけど万が一な」
「……じゃあ、任せる。いいか、ちゃんとその薬も使えよ!!」
「わかっている」
アルジェントがむっとして言うと、グリースはその場から姿を消した。
アルジェントは頭を直撃する何かにぐっとこらえながら、ルリの毛布をどかし、ぐったりとしている彼女の体に触れる。
薄いネグリジェの裾に手をいれ、ルリの体に触れる。
体は熱く、胸の先端はつんとなっている。
唾をごくりと飲み込み、胸の先端を軽くつまんでみる。
びくりとルリの体が反応した、だが、眠ったままだ。
性感帯はかなり敏感になっているのが分かった。
アルジェントはショーツに手をかける、ショーツはまだ触れてもいないのにぐっしょりと濡れていた。
秘孔にゆっくりと指を入れ、膣内に指を侵入させる。
ルリの表情がわずかに変わり、顔が更に赤くなり、口から喘ぎ声が零れた。
優しく指で愛撫してやれば、膣肉はぎゅうぎゅうと締め付けてきた。
どろどろと愛液が滴りシーツにシミを作った。
ルリは愛撫でも絶頂したのか何度か体を痙攣させた。
アルジェントはルリの頬を撫で、額に口づけをしてから、発情してどろどろと愛液を滴らせる肉壺に、雄を挿入した。
挿入した途端、膣肉が絡みつき、締め付け、射精を促してくる。
ぐっとこらえ、腰を動かし、突くと、ルリは口から喘ぎ声を上げて体を震えさせた。
ぐりっと最奥を刺激し、射精すると、膣肉が更に絡みついてきた。
足りない、もっとよこせと言わんばかりに。
頭が肉欲で汚染されそうになるのをこらえながら、その締め付けに応じるように突き上げ、まぐわい続けた。
アルジェントは荒い呼吸をしながら、ずるりと雄を抜いた。
抜かれたソコからはどろりと精液と愛液が混じり合って零れた。
アルジェントは薬を取り出し、ルリの膣内で潰した。
そして指を抜く。
まだ、なにかが頭を刺激するがそれでもアルジェントは先ほどよりマシになった気がした。
汗をぬぐい、雄を仕舞い、身を整える。
そしてルリにも濡れたショーツではなく新しいショーツを履かせ、ネグリジェも整え、毛布をかける。
「……っ終わったぞ!!」
アルジェントは何とか言葉を絞り出した。
「よし終わったか!!」
グリースがその言葉を聞きつけたかのように姿を現した。
「……だいぶ匂いも収まったな」
二人そろってルリの寝顔を覗き込む、頬に触れれば熱っぽさは消え、寝息も普段の穏やかな寝息に戻っている。
「……試しだ、術解くぜ」
グリースはそう言い、ルリの顔の前に手をやり指を鳴らした。
「んん……」
ルリは短い声を発した。
そしてゆっくり目を開ける。
ぱちくりと瞬きをしてアルジェントとグリースに視線を向ける。
「……おにいちゃんたちおはよ」
「おはようルリちゃん気分はどうだい?」
「お早うございますルリ様、気分はどうですか?」
ルリは起き上がり、首をかしげる。
「……あれ? なんかへんなの、なくなった」
ルリの言葉に二人はほっと息をついた。
「……でもおなかなんかへん、どろどろする」
その言葉に、アルジェントとグリースは顔を見合わせた、ともに真顔だ。
中だししたまま、つまり今のルリの膣内には精液がたっぷり入っているのだ。
こぼれてきて不快感がでているのだろう。
「ルリちゃん、ちょっとごめんねー」
グリースはルリの目の前で指を鳴らした。
ルリの目はとろんとした状態になり、そしてぽすんとベッドに倒れこみ再び眠った。
「今すぐ風呂で処理して来い!!」
「言われなくともそうする!!」
アルジェントはルリを抱きかかえて浴室へと転移した。
二人がいなくなった部屋で、グリースはため息をついた。
ルリの子宮を「診た」が、排卵はない、受精もしていない。
妊娠は防げた、発情を鎮めることができた。
向こうの不死人の女は中々妊娠しないという情報があったが、ルリがそれに当てはまるかが分からない。
不死人にも妊娠のしやすい、しにくいがあるのではないかとグリースは思った。
不死人といっても性別や、いつなったかきっかけなどで差が大きすぎるのだ。
グリースのような強大な力を持ってるものは今のところアルジェント位だろう。
他の不死人の男達はそんな力をもっているものはほとんどみかけない。
ルリは特にこれといったものは持ってないように見えるが、結界を壊す能力に長けているのが、これまでの脱走で分かった。
そして身体能力も非常に高い。
暴れると並の吸血鬼では押さえ込むのが難しいだろう。
ただ、この二つ、本人が全く自覚していない。
自覚させるべきか、否かがグリースを悩みの一つだ。
アルジェントが部屋にタオルでくるまれたルリを抱えて転移してきた。
念のためもう一度ルリを「診る」ことにした。
やっぱり、排卵も受精もない。
心の中で安堵のため息をつく。
アルジェントがルリの着替えをしようとしていたので顔を反らしておいた。
直視してたら目つぶしが飛んでくるだろう、あれはかなり痛いので勘弁願いたかった。
ルリをベッドに寝かせる音を聞いて、グリースはルリの方を見た。
すやすやと眠っている。
「……妊娠の危険性は」
「ない」
「よかった……真祖様の奥方様を配下の私が妊娠させたなんてことがあったら何度死んで詫びねばならないことか……」
「……事故とかならあいつ寛大だから許すんじゃね? この間のカルコスだっけ? あいつの強姦ので妊娠だったら確実に死ぬだけじゃすまないだろうけど」
「……あの男、同じ真祖様の配下だから、殺さないでおいてるが、顔を見るだけで殺意が湧いてくる」
アルジェントは眠っているルリの頬を撫でながら吐き捨てる様に言った。
「……ルリちゃんと面識あってルリちゃんの事大事にしてるのってお前とヴィオレ位だもんな、他の連中知らないし、ローザだっけ、彼女も注意くらってたからなぁ」
「ルリ様の血を吸っていいのは夫である真祖様だけだ」
「……俺吸血鬼じゃねぇからそこら辺はどうでもいいんだけどなぁ」
グリースは頭をバリバリ掻きながら言う。
ルリは大分明るくなった花畑に居た。
綺麗な蝶々も飛んでいるし小鳥もいる。
女の人が花畑に座っている。
傷跡はほとんどない。
「おねえちゃん」
『……何をしたのかしら、あの三人……体が楽になった』
「おくすりのんでおきたららくになってた!」
ルリは花畑に座り込みながら女の人と話す。
「でもおきたらなんかどろっとした」
『ああ……そう言えばあの三人発情してるって言って口論してたわね』
女の人は何かに気づいたようだった。
『良くなるか分からないけど、怖がらせたくないから眠らせたのね、そういうこと』
「なぁに?」
『わからなくていいのよ』
女の人はルリの頭を撫でた。
『……自分たちがしたくてやったなら傷ついてたけど、そうじゃないから今回のは嫌がらないでおいておくね』
「どういうこと」
『わからなくていいの』
女の人はルリの頬を撫でた。
「おっと、ルリちゃんの目を覚まさせなきゃな」
グリースはルリの顔の上に手をかざし、指を鳴らした。
しばらくするとルリはゆっくりと目を開け、しばらくぼんやりして周囲を見渡しているようだった。
「ルリちゃん、気分は?」
ルリは体を起こしてグリースを見た。
「……だいじょうぶだよ、あのねおねえちゃんにあったの、げんきそうだったよ」
「そうかい、それは良かった」
グリースはルリの頭を優しく撫でる、夢の中の「おねえちゃん」基本来のルリが良くなってきているのであれば、彼女が表に出てくる日が近いということだ。
アルジェントもルリの言葉を聞いて少し安心した表情を浮かべている。
まだ問題は山積みだが、無邪気なルリな笑顔を見てグリースは安心したように微笑みを浮かべた。
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