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こわれたはなよめ
「とてもこわいひと」、「しろいかみのこわいひと」
しおりを挟む浴室につくと、アルジェントはルリの体を洗浄するために、ルリに術をかけた、意識を混濁させる術だ。
「あ……う……」
目が虚ろになり、くったりと体を完全にこちらに預けている。
ルリを湯の張ってない浴室に寝かせ、いつものように洗浄する、自分の精液で汚してしまった膣内も、口内も。
体が反応するが、アルジェントは淡々と洗浄行為を行う。
洗浄が終わり、お湯で体を洗い流すと、ルリをタオルで包み、ルリの部屋へと転移する。
ルリにショーツを履かせ、ネグリジェを着せる。
体に傷跡などない為、いつもの薄手のネグリジェだ。
着せ終わると、ベッドに寝かせ、毛布を掛ける。
術を解くが、後遺症でぼんやりとしているルリの頭を撫で棚に移動させたぬいぐるみをもとの位置に戻してやる。
そしてそっと唇に触れる程度のキスをした。
「しばしお休みくださいませ」
そう言って部屋から姿を消した。
ルリが目を覚ますと、外は真っ暗で月が登っていた。
扉を開けようとするが開かない。
ルリはしょんぼりとしながらベッドに戻りぬいぐるみを抱きしめる。
「おかあさん、おかあさん……」
ルリはぐずりながら母親を呼ぶが、来てくれる様子はない。
家に帰りたくて仕方なかった、ここは「怖い人」が一杯なのだ。
自分の周りが暗くなる。
不思議に思い顔を上げると、知らないけれども「とても怖い人」が立っていた。
ルリは思わずぬいぐるみを手放してしまった。
ヴァイスは恐怖の色に染まった顔で自分を見るルリを抱きかかえる。
「や、やだ、はなして!!」
暴れるルリを押さえつけて、闇に包まれ空間転移し、自分の部屋へと移動する。
ルリの顔色がますます悪くなる。
ルリは「とても怖い部屋」に連れてこられて声も出せなくなった。
ヴァイスはルリをベッドの上に寝かせる。
ルリはカタカタと震えている。
ヴァイスは術でルリの体を覆っているネグリジェとショーツを転移させた。
「?!」
突然裸にされたルリは怯えに混乱も混ぜて困惑している。
ヴァイスはルリを押し倒し、薄紅色の唇を口で塞いだ。
口の中に舌を入れ、深く口づけする。
怯えて引っ込んでいる舌を舌で軽く叩くと、ゆっくりとだが舌を絡ませてきた。
舌を絡ませながら口内を堪能する。
唾液も甘美に感じる程、甘く感じられた。
暫く舌を絡ませながら口内を堪能してから、口を開放してやる。
ルリの表情は口づけでもう快楽浸りになっているのか、とろんとしている。
思った以上に、配下はルリを仕込んだようだ。
濡れ始めている恥部をなぞり、肉壺へと指を入れる。
「あ……や……」
少しだけ拒否の声を上げたが、配下の仕込みの影響か触れるような状態になっている子宮口をとちゅとちゅと刺激してやる。
「あ、あう、きゃう」
可愛らしい声を上げてびくびくと体を震えさせる。
どろどろと愛液が垂れ、シーツを汚す。
「~~~~!!」
最終的に潮を吹き、ぐったりとベッドの上で横たわっている。
ヴァイスは指を抜き、雄を押し当てる。
「あ、あ、あ」
挿入が始まると、ルリは圧迫感からか、短い声を上げる。
「~~~~!!」
全てが納まると、体を震えさせて、声にならない声を上げていた。
腰を動かし始めると、ルリの口から嬌声が上がる。
シーツを掴み、快楽に浸った表情を浮かべている。
膣内の締め付けはキツイ、心地よい締め付けだった。
突くたび絶頂を繰り返す程敏感な体が愛おしかった。
壊れてしまっても体はそれに浸りきっているのが物悲しくも愛おしかった。
――けれども虚しい――
嬌声をあげ、快感に反応し、男を悦ばせる体になっているのが分かるが、自分には心を寄せてくれる事がますます遠ざかったのを感じた。
キツく締め付ける膣内で射精する。
ルリはのけ反り、甲高い声を上げて、がくんと倒れた。
ずるりと雄を抜くと、ごぷりと精液と愛液が混じって秘孔から垂れていた。
シーツにシミを作る。
意識を完全に飛ばしたルリを見る、今回は術を使わなかった。
術を使って意識を保たせたまま抱くことも可能だったがそれをする気になれなかった。
薄紅の唇にそっと己の唇を触れさせる、触れるだけのキスをする。
そして出来抱えて、ルリの部屋に戻る。
部屋で待機していたアルジェントにルリを渡すと、ヴァイスは姿を消した。
掃除はされているが、それ以外の来訪者がいない部屋にヴァイスは向かった。
一枚の肖像画が飾られている。
亡きヴァイスの前妻と同じく亡くなった息子の幼い頃、それにヴァイスがいる肖像画だ。
肖像画の縁をなぞりながら、ヴァイスは深いため息をつく。
「――……愛するとはどうやるのだ……お前たちをかつての私はどう愛していた……?」
ヴァイスの嘆きは誰にも聞かれることもなかった。
ルリの体の洗浄を終えたアルジェントは、ルリにショーツを履かせ、ネグリジェを着せを再びベッドに寝かせた。
ルリの額にそっとキスをする。
無防備に眠るルリが愛おしかった、ただ一つ、幼児退行して自分たちを拒絶するのが悲しかった。
――私達はこんなにも、こんなにも貴方様を愛しているのに――
アルジェントはルリの頬をそっと撫でてルリの部屋を後にした。
彼が居なくなった後、がちゃりと部屋に鍵のかかる音だけが静かに鳴った。
ルリは目を覚ました。
お家じゃない、でも他の「怖い人」がルリの部屋だという部屋のベッドの上で。
ぬいぐるみを抱きしめながら、部屋を出ようとする。
でも鍵がかかっている。
「あけて、あけて」
扉をたたいて声を出しても、返事はなく、ルリはしょんぼりしてベッドの上に戻り、膝を曲げて体育座りをしてぬいぐるみを抱きしめる。
――おなかがすかない――
母親の温かな料理が恋しいが、食欲が全くと言っていいほどなかった。
――おうち、かえりたい――
そう思っても、「怖い人」達は帰してくれない、みんな揃って言うのだ「ここがルリの家」だと。
――ちがう――
――ここは「ルリのおうち」じゃない、おかあさんも、おとうさんも、おにいちゃんたちも、おじいちゃんたちも、いない、だから「ルリのおうち」じゃない――
扉を開けようとベッドから下りようとすると――
「ルリちゃんお家に帰りたい?」
ルリはびくっと体を震わせた。
頭が訴える「これは怖い人の声」だと。
怯えながら振り返るとそこには白い髪の「怖い人」がいた。
グリースは自分にも明らかに怯えているルリを見てため息をつく。
グリースは距離を保ったまま笑顔で話しかける。
「ルリちゃんお家帰りたい?」
もう一度問いかけると、ルリは小さく頷いた。
「俺の手を取ってくれれば帰してあげるよ」
そう言うと、ルリはぎゅっとぬいぐるみを抱きしめて怯え始めた。
おそらく、信用できてないのと、アルジェントに自分と関わることでのデメリットを言われたに違いないとグリースは判断した。
「俺の事怖い?」
グリースは話題を変えた。
ルリは小さく頷いた。
「大丈夫、俺はルリちゃんが怖いって思ってることはしないよ」
「……おようふくぬがせたりしない?」
「しない」
「おなかのなかとかになにかいれたりしない?」
「しない」
「くちのなかにきもちわるいものいれたりしない?」
「しない」
「……おしりになにかいれたりしない?」
「しない」
グリースは快楽浸りになった以前のルリには全部やったことだが、「しない」と答えた。
幼児退行しているルリを抱くのは気分が悪い。
幼子を無理やり犯しているような犯罪者の気分になりかねない。
幼子を犯して興奮するような性癖は持っていない。
抱くならできれば合意の上かつ大人の女性がいい、別に大人の男性でも構わないが。
見目だけならルリは大人だが、今のルリの中身は幼子だ、初心な相手を抱くのはいいが、無垢な子どもを抱く気にはなれない。
ただ、ルリをここから出そうとしないあの二人はそうではないようだが。
ルリが今抱いている、幼児退行する前のルリが好き好んで集めていたらしいぬいぐるみのシリーズの一つを取り出す。
「ぷにちゃん!」
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「おにいちゃんとぬいぐるみで遊ぼう?」
笑顔でそう提案するとルリは小さく頷いた。
「じゃあ、近づいてもいいかい?」
「……うん」
ルリは小さく頷きながら答えた。
グリースは小さく安堵の息を吐いてルリ近づいた。
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