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壊れゆく花嫁
責めの終わり、そして私は悩んだ
しおりを挟むアルジェントは腰を動かしながら、締め付けの具合やルリの反応を確かめながら言葉でルリに指示を出し続けた。
ルリがアルジェントが望むような締め付けを尻を叩かれずに行えるようになるころには、ルリの腹はアルジェントの精液が腹を満たしているような状態になっていた。
ずるりとアルジェントがルリの後孔から雄を引き抜く。
ごぷりとぽっかりと開きひくつく後孔からどろりと自分の精液がこぼれるのを見て笑みを浮かべる。
「ではルリ様、綺麗にしましょう」
「……ちょ、ちょっと待って、まさか」
「湯あみでも腸内の精液はかき出すのは少々困難ですなので――」
「もう一度、浣腸をさせていただきます。今回はただの洗浄液なので腸内に何か効果があるというのはありませんよ」
ルリは聞きたくなかったが、聞かなければならないことが三つほどあった。
「……な、何本入れて、何分待つの……?」
怯えた声で見えないアルジェントに尋ねる。
「そうですね、三本入れて、五分、です」
「と、トイレは?」
「先ほどと同じく」
「イヤー!!」
ルリは絶望色の声を上げた。
アルジェントは、嫌なら本数を増やすと提案した。
ルリはその提案に折れ大人しく浣腸器に入った液体を注入された。
「うう……」
「ルリ様、まだ一本ですよ」
アルジェントはそう言って、二本目を注入し始めた。
――もうやだぁ……――
ルリの心の嘆きを察知する者はいない。
アルジェントは淡々と液体を注入し、全てを注入し終えるとアナルプラグで栓をしてタイマーをセットした。
「なんでこんなことするのぉ……?」
べそをかいてるルリを見て、アルジェントは彼女の頬を撫でる。
「何度も申しましたが、ルリ様がグリースに簡単に体を開くことに私は怒っているのです、好いていないというのに何故あの部外者に体を許すのですか」
アルジェントは怒りのこもった口調でルリに言う。
「じゃあヴィオレだったら怒らないの……?」
「ルリ様が女性の方が好きでそれがよいというのであれば怒りません、何よりヴィオレ様は部外者ではありません。ルリ様は女性の方がお好きで?」
「わかんないよぉ、そういう意味で人好きになったことないもん」
べそをかき続けているルリの頭を撫でた。
「ルリ様は真祖様の奥方様です、ですから真祖様のことを愛してもらわなくては困ります」
「無理だよ怖いもん」
アルジェントは精神的にまいってるのかべそをかきつづけるルリがちょっとだけ可哀そうで、それがまた愛おしくてたまらなかった。
五分後排出する音が響く、ルリは先ほど違いアナルプラグを抜かれると大人しく排出した。
拒否の言葉や行動を取ると、今のアルジェントは非常に怖いというのを学習したからである。
アルジェントはルリの尻を拭いてから、再び片付け。
台の上に寝かせられているルリを抱き上げてその場から姿を消した。
浴室に移動し、浴槽に寝かせ、脚の拘束だけ解く。
アルジェントは石鹸をタオルで泡立て、タオルで体を洗い出す。
――今意識あるけど、今まで意識ない時拘束ない状態で洗ってたのこいつ?――
ルリは意識のある状態で性行為関係の汚れを落とされるのは初めだった。
「ひゃう?!」
大事なところにお湯が入ってくる感触に声を上げる。
「失礼、膣内を洗ってますので少しの間じっとしててください」
――膣内?!――
女の大事なところ、敏感なところを洗浄される感触はルリには非常に耐えがたかった。
しかし、アルジェントに散々な目にあわされた後なので暴れたりなんかしたら後が怖くて仕方がなかった。
我慢し、洗浄された。
全身洗われ終わるころにはルリはぐったりしていた。
今までの疲労がこれで終わりということが分かった途端でてきたのだ。
アルジェントはぐったりしているルリをタオルで包むと、浴室から姿を消し、ルリの部屋に移動した。
ルリの拘束と目隠しを解く。
ぐったりしているルリに下着を履かせ、ネグリジェを着せる。
この様子だと移動はしないだろうとアルジェントは思ったのだ、あと二時間もすれば日が暮れる。
そうすれば主がルリを迎えに来るのを分かっているからだ。
アルジェントはルリをベッドに寝かせる。
「奥方様、しばしお休みください」
アルジェントはそう言って術を全て解き、ルリの部屋から姿を消した。
ルリは過酷な責めで疲労感が酷かったのでアルジェントが居なくなる時には、意識をほとんど飛ばしていた。
――夜なんかこなきゃいいのに――
夜になったらされることが頭の隅っこに残っていたため、意識がほとんどないなかでもそう願いながら完全に意識を暗転させた。
目を覚ますととっくに太陽は沈み、暗くなっていた。
ルリはベッドから起き、窓のカーテンを開けると月と星が見えていた。
まだ体に疲労感が残っている、アルジェントの責めがかなりきつかったからだ。
自分の体がどんどん自分の意思から離れていっているようでルリは怖かった。
カーテンで窓を隠し、ため息をついてとぼとぼとベッドに戻り腰をかける。
過酷な責めの中でのアルジェントの言葉がふと頭に浮かんだ。
『ルリ様は真祖様の奥方様です、ですから真祖様のことを愛してもらわなくては困ります』
その言葉にルリは首を振った。
どうやっても愛せる気がしない。
正直、今自分と無理やりセックスや性行為の類に及んでいる人物達を愛せたり、好きになれる気がしなかった。
――そう言う好きになるってどうすればいいの?――
――そう言う愛するってどうすればいいの?――
生まれてこの方恋愛など一度もしたことのないルリは困り果てた。
今自分を取り巻く環境はルリにとってかなり辛かった。
――死ねたら楽になるのかな?――
という考えが浮かぶが、自分は死ねない体になっているんだと思い出し落ち込む。
刃物らしきもので首を刺しても痛いだけで死ねないだろう。
ルリは深いため息をついた。
グリースを選んだとしよう、過酷な責めはないだろうが、確実に世界大戦が起きる、そうしたら自分の家族の安全が保障できない。
選びたくないが、アルジェントを選んだとしよう、真祖が彼を殺すかもしれない、もしくは彼が自死するかもしれない、その次の世話役が自分をどう扱うか分からない、それが恐ろしい。
真祖を――
無理だ、真祖への恐怖心は段違いで選べない。
きっと最良なんだとしても、真祖が恐ろしかった。
誰も選べない、こんなことなら不死人と発覚する前に恋愛の一つ、いや恋人を作っておくんだったと後悔した。
そうしたら真祖の発言から諦めてくれていただろう。
結婚とかしていたら、こうならなかったんじゃないかとも悩んだ。
ルリがぐるぐると思考していると周囲が少し薄暗くなった。
「やっと目が覚めたか」
ルリはその声で体を硬直させた。
体をこわばらせながら声の方を向くと、真祖が立っていた。
――そうだ、日が暮れたら真祖が来るんだった――
太陽の光が平気だと聞くが、日中どこで何をしているか分からない真祖は日光が弱点の吸血鬼が本格的に活動を開始する夕方以降にルリの部屋にやって来るのだ。
「またグリースが来たようだな」
若干苛立ったような声色で真祖が言う。
ルリは視線をそらす、怖いのだ。
「……まぁよい」
真祖はルリを抱きかかえた。
闇がいつものように二人を包み込む、闇が消えると真祖の部屋へと移動していた。
ヴァイスはルリをベッドに寝かせた。
ルリは視線をそらしている。
愛しの妻はいつまでたっても、自分に怯えてばかりだ。
瑠璃色の美しい目はいつまでたっても恐怖心を宿している。
頬に触れ、撫でる。
温かな感触だ、吸血鬼にはない温もりは心地よい。
華奢な体をネグリジェ越しに触る。
アルジェントが妻があまりにもグリースに体を許すから「躾け」を行ったと聞いた。
内容は聞かないというのを事前に言ったので内容は知らない。
ただ、この華奢な体では辛い内容だったのかもしれないと想像する。
アルジェントはグリースを非常に毛嫌いしている、理由は分からないが。
ただ、気になっていることがある。
ただの人間であるはずのアルジェントがどうやって、あのグリースの術を強引に破れたかである。
グリースの術は吸血鬼も抗えない、ましてや人間などでは。
もしや、アルジェントは――不死人になりうる存在なのでは、という考えが浮かぶ。
だが、確かめる手段は一つしかない、アルジェントを一度殺すことだ。
忠実な配下をそれを確認する為に殺して不死人ではなかったという結果が出たら笑い話にもならない。
ヴァイスはアルジェントのその件は気にしないことにした。
再びルリを見る、白いうなじにぞわりと吸血欲が刺激される。
今回は我慢ができなかった、押し倒し、首筋に牙を立てる。
どんな人間の血よりも甘美な味が口に広がった。
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