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異形の騎士と異形の力~相手が悪かった~
しおりを挟む「異形が人間に力を与えてる?」
探偵事務所の二階にフエが現れ、着替えている零にそう言った。
「最終的には異形化しちゃうから、力取り上げないといけないんだけどねー」
「なるほど」
着替え終わると、零は慎次を呼ぶ。
「慎次、異形から力を貰った奴らを探して力を奪うぞ」
「分かった」
慎次は頷いた。
「ぐへ!」
「おご!」
見廻りの最中、力を使っている者達を見つけては、人目につかない所に連れて行き、そのまま、慎次がボコボコにのめして力を奪って只の人に戻した。
「このまま力を使い続けていたら異形化していたぞ、感謝するんだな」
慎次は気絶して聞こえて無いであろう男達に言った。
「しかし、かなりの人数いるな、異形を見つけてこれ以上力を与えないようにしなければ」
「そうだな」
零の言葉に慎次は頷いた。
「零さーん」
「うお」
「突然現れるな」
零は突然姿を現したフエに苦言を呈する。
「異形見つけた?」
「いや、まだだ」
「うまーく隠れているからねぇ」
フエが面倒くさそうに言う。
「なら簡単だ」
「「⁇⁇」」
零はペンダントを外した。
「『花嫁』はここだ!」
そう言うと黒い扉が現れ、黒い手が伸びてきた。
「零さんナイス! でも、後でお説教ね!」
「同感だ!」
慎次とフエが手を避け、扉をぶち破った。
広い空間。
首なしの異形の黄金騎士が立っていた。
「アンタが異形ね」
『忌々しい異形の子共が』
「五月蠅いわね、さっさとくたばれ」
フエが殴りつけるが異形は壊れない。
「あれー?」
「仕掛けがあるな」
『この空間を破壊せぬ限り私を殺せんぞ』
「ありがとー! わざわざ教えてくれてー!」
フエが笑うと同時に空間が崩れ始めた。
『な⁈ 何だと⁈』
「喧嘩売る相手は選ぶべきだったわね」
フエはそう言って再び拳を振り上げ、殴りつける。
黄金騎士はバラバラになった。
『ば、か、な……!』
「さようなら金ぴかさん」
「悪趣味野郎、二度とよみがえるな」
ガチン
かみ合わせる音と共に、騎士はいなくなり、フエと慎次は空間から出た。
「無事か?」
レオンとニルスと一緒に居る零がフエと慎次に聞く。
「うん、無事ー! さて零さん、お家帰ってお説教のお時間ですよー!」
「ああ、そうだな!」
慎次とフエは零をずるずると引きずって行く。
「見つかったから良かったじゃ無いか」
「「良くない‼」」
慎次とフエは反省の色が見えない零を怒鳴った。
その日、零はフエと慎次の二人にこってり絞られる羽目になった。
が、反省の色は見えないのでまた同じ事をするだろう。
二人はそう思ってあきれのため息をついた。
その日から騎士から力を貰った者達は居なくなり、貰った者も力を失い只の人に戻ったという──
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