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傷つける者は許さない
しおりを挟む「ニルスもぶっ殺したいし、私達を悪魔って言ってくる連中ぶっ殺したいー! してもいいよね!」
「駄目だ」
「駄目に決まってる」
癇癪を起こしているフエに、慎次と紅が冷静に告げる。
「なんでさー⁈」
フエが叫ぶ。
「んなことしたら、零に危害が加えられるぞ」
「ぐむっ」
「零は悪魔と取引をしていると外国ではエクソシストなどの聖職者から呼ばれている」
「子ども虐待してる性職者が居るくせに……」
「少しは我慢しろ」
「チッ」
フエは舌打ちをした。
「それに以前盛大に呪って大多数が呪い死にしただろう」
「残りのちょっとは精神科の檻の中から出られなくなってるけどね」
「そんだけしたんだから、ぶっ殺すは我慢しろ」
「はーい……」
フエはしょげて外へ出て行った。
「やっぱ彼奴ら殺すわ」
翌日何かあったらしいフエが住処の会議室に戻ってきてそう宣言した。
「何があった慎次?」
「悪魔払いの集団がこの国に来訪して、零を殺そうとしてきた」
「許す、皆殺しにしてこい」
「ひゃっはー! 皆殺しだーい!」
フエは嬉々として出て行った。
「……良いのか?」
慎次が少し不安げに聞く。
「我らが『花嫁』を殺そうとしたのだぞ、皆殺しにした上末代まで呪ってやろう」
「……まぁ、気持ちは分かるが」
紅の言葉に、慎次ははぁと息を吐いた。
「ひぃいい!」
「助けてください!」
「悪魔よ去れ、去れ!」
フエは箱状の異空間を作り出し、零を殺そうとしてきたもの、考えているものを其処に放り込むと一人残らず殺しながら笑って言った。
「お前達の血の連なる者は末代まで呪われるだろう! そう、私こそが創造主だ‼」
歌うように高らかに宣言した。
「……」
「零さん、大丈夫ですか」
探偵事務所では、瑞穂が二階でベッドに横になっている零に声をかけた。
「この国に来るくらい恨まれてるとは、うーむ」
「やっほー零さん」
「ああ、フエか」
にこやかに笑ってフエは言った。
「強力に呪って追い返したからもう来ないよ! 今の連中は!」
「そうか」
「また来たら言ってね!」
「ああ」
そう言って零は目を閉じた。
「瑞穂ちゃん、後で慎次寄越すから慎次が来たらレオンに頼んで送ってもらいな?」
「フエさん、ありがとうございます」
フエはにこりと微笑んで姿を消した。
会議室に戻ってきたフエ。
「慎次、至急零さんの所戻ってお手当宜しく、クラルかマヨイ連れてっていいから」
「分かった」
慎次はその場を後にした。
「嘘をついたな、皆殺しにしたのに」
「死体が無ければいいのよー♩」
「なるほど」
くるくるくるりと回るフエに、紅は笑った。
「花嫁」を、傷つけるなかれ。
異形の子等の怒りを買うぞ。
死ぬだけならまだいい、死よりももっと恐ろしいものが待っている──
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