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料理でストレス発散
しおりを挟む「うーん、ニルスの奴ぶっ殺したい」
会議室でだれーっと机に突っ伏しながら、フエはそう呟いた。
「アレはお前の父が作った最高傑作だから殺しても生き返るぞ」
「そんなの知ってる!」
紅に言われてフエはむくれた。
「零さんの所にいく度にあのにやけ面と対面すると殺したくなるぅ~~!」
フエはじたばたし始めた。
そんなフエの頭に紅が拳骨を喰らわす。
「いたい!」
「少しは落ち着かんかこの馬鹿」
「うぅ~~!」
フエは頭を抱えてから立ち上がった。
「食材持ってきて、料理する」
とだけ行って食堂へと向かった。
それを見て、紅は盛大にため息をついた。
「で、私を呼んだのか」
「お前が食事をしてるのを見れば多少は落ち着くだろう」
見廻りを終えた零を紅が連れてきた。
零は周囲を見渡して言った。
異形の子等はもくもくとフエの作った料理を食べている、
「あ、零さん!」
マヨイがぶんぶんと手を振っていた。
「マヨイか、隼斗達はどうした?
「すぐお腹いっぱいになって今ベッドで食休め中」
「なるほど」
「悔しいがフエの料理は美味いな」
一緒に来た慎次が料理を食べながら言う。
「はーい! 次……あ! 零さーん!」
「やぁ、フエ。調子はどうだ」
「大丈夫よー! ニルスの顔を思い出さなきゃ」
「ああ……」
「彼奴今日もにやけ面してたもんな」
「むかつく、うがー!」
フエは怒りを露わにする。
「まぁ、落ち着け。料理を出してくれるんだろう?」
零が宥めてそう言うと、フエはにかっと笑った。
「勿論!」
どさどさと出されていく料理を見て零は黄昏れる。
「腹破れないかこれ?」
「安心しろ、俺が食う、お前はお前のペースで食え」
「そうさせて貰う」
慎次に言われて、ゆっくりと零も食事を取り始めた。
「しかし、美味いな」
「ああ、悔しいが」
フエの料理を堪能しながら慎次と零は会話をする。
「あ、休んでたのから復帰した柊がフエにしがみついてるな」
「本当だ」
「で、危ないからと紅に引き剥がされたな」
「当然だな」
と、のんきな事を言いながら、フエの作る人間では決して作れない至上の料理を堪能する二人であった──
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