上 下
221 / 238

料理でストレス発散

しおりを挟む



「うーん、ニルスの奴ぶっ殺したい」

 会議室でだれーっと机に突っ伏しながら、フエはそう呟いた。

「アレはお前の父が作った最高傑作だから殺しても生き返るぞ」
「そんなの知ってる!」

 紅に言われてフエはむくれた。

「零さんの所にいく度にあのにやけ面と対面すると殺したくなるぅ~~!」

 フエはじたばたし始めた。
 そんなフエの頭に紅が拳骨を喰らわす。

「いたい!」
「少しは落ち着かんかこの馬鹿」
「うぅ~~!」

 フエは頭を抱えてから立ち上がった。

「食材持ってきて、料理する」

 とだけ行って食堂へと向かった。
 それを見て、紅は盛大にため息をついた。




「で、私を呼んだのか」
「お前が食事をしてるのを見れば多少は落ち着くだろう」

 見廻りを終えた零を紅が連れてきた。
 零は周囲を見渡して言った。

 異形の子等はもくもくとフエの作った料理を食べている、

「あ、零さん!」

 マヨイがぶんぶんと手を振っていた。

「マヨイか、隼斗達はどうした?
「すぐお腹いっぱいになって今ベッドで食休め中」
「なるほど」
「悔しいがフエの料理は美味いな」

 一緒に来た慎次が料理を食べながら言う。

「はーい! 次……あ! 零さーん!」
「やぁ、フエ。調子はどうだ」
「大丈夫よー! ニルスの顔を思い出さなきゃ」
「ああ……」
「彼奴今日もにやけ面してたもんな」
「むかつく、うがー!」

 フエは怒りを露わにする。

「まぁ、落ち着け。料理を出してくれるんだろう?」

 零が宥めてそう言うと、フエはにかっと笑った。

「勿論!」

 どさどさと出されていく料理を見て零は黄昏れる。

「腹破れないかこれ?」
「安心しろ、俺が食う、お前はお前のペースで食え」
「そうさせて貰う」

 慎次に言われて、ゆっくりと零も食事を取り始めた。




「しかし、美味いな」
「ああ、悔しいが」

 フエの料理を堪能しながら慎次と零は会話をする。

「あ、休んでたのから復帰した柊がフエにしがみついてるな」
「本当だ」
「で、危ないからと紅に引き剥がされたな」
「当然だな」

 と、のんきな事を言いながら、フエの作る人間では決して作れない至上の料理を堪能する二人であった──





しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

僕はボーナス加護で伸し上がりました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:853pt お気に入り:260

悪の怪人になったのでヒロインを堕とすことにしました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:142pt お気に入り:157

【完結】婚約破棄されたから静かに過ごしたかったけど無理でした

恋愛 / 完結 24h.ポイント:6,524pt お気に入り:734

呪われた子と、家族に捨てられたけど、実は神様に祝福されてます。

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:1,789pt お気に入り:124

処理中です...