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魅入られる人々~異形の策略をぶち壊す~

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「異形が骨董品や宝石に呪いをかけて売るのが多いなここ最近」

 零ははぁとため息をついた。

「まぁ、すぐ家族が異変察知して連絡してくれるからいいんだけどね」

 フエが言うと零は頷く。

「家族総出で魅入られている時が大変だよ」
「周囲の人が連絡くれることあるし、私も覗き見してるから大丈夫だって」
「なら、いいのだが……」

 零は不安げにため息を吐く。
 そんな零の背中をフエは軽く叩く。

「大丈夫だって、心配しないで!」
「……」

 それでも零は何か言いたげだった。

「じゃあ私見廻りしてくるから、行ってきますー!」
「ああ……」

 零はなんとも言えない表情でフエを見送った。




「さぁて、では家族総出みたいな感じで魅入られているお家に突撃取材しましょうか!」

 フエは黒いフーディーのコートに身を包み、そのまま顔を隠して消えた。




 ふぎゃあふぎゃあ
「五月蠅い! お前の相手をしてる暇はない!」
「ああ、なんて綺麗なの……」

「マヨイー二人を包んじゃって」
「う」

「何だ貴様──!」
「宝石が──!」

 コロンと転がり落ちた宝石のついた指輪を拾い消滅させる。

 そしてマヨイと共にその場から立ち去り、マヨイの触手が消える。

「あれ、俺なにしてたんだっけ?」
「あ、赤ちゃんが泣いてる! 行かなきゃ!」

 正気を取り戻した夫婦は赤ん坊に近づき世話をし始めた。




 そんな事案を何件も繰り返し、宝石を売っている店へと突入する。
「いらっしゃいませ、良いのがそろって──」
「異形、人に化けて人を不幸にするのがそんなに面白いか」

 フエが唯一の店員らしき人物に言うと、店員は体をぐにゃりと変形させて、おぞましい化け物へと変貌した。

「ちんけな異形だね」

 フエはガチリと歯をかみ合わせた。
 すると異形は居なくなった。

「うえ、まっず!」

 フエは顔をしかめた。
 そして持って居たボトルのお茶を飲み干す。

「今日はこの辺で終わろうか、気配はもう無くなったし」
「そうだね」

 マヨイが頷くとフエと共に姿を消した。




「宝石店があったところ更地にしておいたぞ」

 会議室に戻ってきた二人に紅が言う。

「わーい、姉さん有り難う!」
「有り難う!」

 紅は本を読みながらちらりと見る。

「異形避けもしたからあそこ周辺では商売はできんだろう」
「さっすが!」
「お前らも休め、もう遅い」
「はーい」
「うん」

 ててて、と会議室から出て行く二人を見て紅はため息をつく。

「番いが面倒くさいことになりかけたことはいわんでおくか」

 と──




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