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良い行い、悪い行い

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「漸く静かになりましたねぇ」

 名も無き社の巫女がそう呟きながら箒で地面を掃く。

「そうですなぁ」

 村長らしき、男性が声をかける。

「ええ、そうです。この社が無くなってしまうことだけは避けなくては」
「そうですねぇ」

 古びた一件何の変哲のない社を見て二人はそう話し合った。



「──二人はそう話してるけど怪しい人まだ来てるの」

 会議室でマヨイはフエにそう話しかける。

「そうなの?」
「うん二人がいないときに社をじーっとみて帰って行く人だったり、社の中にゴミ投げ入れたりする人がいるの」
「後者は制裁ね、前者はこちらからアタックしてみましょう?」
「そうだな」

 慎次はフエの発言に同意した。

「でもマヨイは出ない方がいいわね、私が出るわ」

 そう言ってフエがマヨイそっくりに姿を変える。

「うん、良い感じ。マヨイ、前者は同じ人?」
「うん、同じ人。毎回じーっとみつめてくるの」
「分かったわ」
「ゴミ捨てる連中はロナクお願い、ただし自殺しない程度にね」
「了解了解」

 ニヤニヤと笑っているロナクに、マヨイ以外が不安になった。




「……」

 人気のない社をじっと見つめる青年がいた。
 社を見つめて、ゴミを見つけると拾っている。

「お兄さん、何してるの?」
「‼‼」

 青年は少女の姿に驚いたが安心したようだ。

「お礼参りと言いますか」
「お礼参り?」
「はい、僕の母、再婚なんですけど初婚では子どもができないことを理由に離婚されてしまったんです」
「そうなの……」
「で、ある日、この神社らしき場所に着いて子どもが次は生まれますようにとお願いしたところこんな声が聞こえたそうです」

『貴方は妊娠できる体、だから次は妊娠させられる男性と結婚なさい』

「とね」
「それでどうなったの?」
「赤ん坊がいて妻を亡くした人と再婚して僕も含めて六人も子どもを産んだんだ」
「すごーい子だくさん!」
「ただ、母さんも父さんも結構年を取ったから、もし良かったら代わりにその神社にお礼をしてきて欲しいって……で、聞いた情報合わせると多分ここかなって名も無き社があるって噂にはなってたから」
「そう」
「お礼、できたかな」
「できたと思うよ、だからお兄さんはそのことを家族以外には言っちゃ駄目だよ」
「え」
「じゃあね」

 少女はその場から立ち去った。

「少女の声で語りかけたって言ってたからもしかしてあの子が……」

 青年は頷いた。

「彼女の言う通りにしよう」

 そう言って社を後にした。




「珍しくフエ、お前にしては上々ではないか」
「紅姉さん失礼」
「それに比べてロナクお前は……」
「またなんかやったの⁈」
「使い魔の異形を出現させて大事故引き起こした」
「ばっかじゃねぇの⁈」
「うるせぇ!」

 今日も異形の子等の住処はぎゃいぎゃいと賑わっていた──





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