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「花嫁」の為に~異形殺し~
しおりを挟む「はい、慎次とレオン以外全員集合したわね」
異形の子等の住処の会議室で、フエが確認を取る。
皆手を上げて、自分がいることを主張する。
「よろしい、何故未熟なレラも呼んだか事情を説明しよう」
そう言ってフエは、先日零に起きた出来事を話した。
「と言うわけで場所関係無く奴らは人間を見張っている、だからこれを機会に、連中が動けないようにしようと思う」
「具体的にはどうやってだ?」
紅が問いかける。
「異形を潰していく、殺すに限る」
「やっぱりか」
「私加減無しでいい⁈」
「地上から遠く離れた地下空間や、宇宙空間、海の中なら許可する、それ以外は手加減できないだろうから手出ししない」
「ぶー!」
レラが不満げに言う。
「やらせてもらえるだけ有り難いと思え」
クラルがレラに拳骨を落とす。
「痛い」
レラはクラルに講義する。
「痛くしたんだ」
「そこ兄姉漫才はそこまで。さっさと行くよ、各自の脳みそにたたき込んだ場所に行くこと、じゃあ解散‼」
フエ以外その場から居なくなるとフエも姿を消した。
「……」
零はあの事件から陰鬱に過ごしていた。
それでも異形がいないかの見廻りだけは辞めなかった。
「零、飯食えよ、倒れるぞ」
「そんな暇はない」
食事も取らず見廻りをしようとする零に、慎次がキレた。
「あのなぁ、あの件をどうにもできなかったと思ってるのはお前だけじゃねぇんだぞ⁈ それなのにお前は一人で自分を追い詰めて!」
「あの時私が最初の被害者になれば、他の被害は出なかった‼」
「たられば言っててもしかたねぇだろ、その内体を壊して見廻り自体ができなくなったらどうする⁈」
「這ってでも見廻りをする」
「じゃあ、俺はお前を拘束する」
慎次はそう言って零をベッドに拘束した。
「離せ!」
「少しは頭を冷やせ!」
慎次は怒鳴る。
「あーやっぱりこうなってたかー」
「フエ」
慎次がフエの名前を呼ぶ。
フエは天井から現れ、着地する。
「零さん、今うちら総出で異形潰し行ってるから」
「……」
「何でもっと早く行ってくれなかったと思ってるかもしれないけど、私ら表に出すぎると異形連中がピリピリしだすから、普段からできなかったのよ」
「……だから、私が先に……」
「零さん、いつまでもたらればで考えてたえら駄目よ、前を向けなくなる」
フエがそう言うと、零は唇を噛みしめた。
「じゃあ、私異形殺しに戻るから、零さんのことお願いね、慎次」
「おう」
フエが居なくなった部屋で零が唇を噛みすすり泣く音が響いた──
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