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「花嫁」が動けぬ代わりに……

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「忙しくなるって聞いてたけどここまでだなんて聞いて無いー!」

 蓮の絶叫が木霊する。

「仕方ないじゃん、零さんが大人しく基拘束されてる内に狩れる連中はみんな狩っておかないと」
「そうかもしれないけどぉ!」
「何より零さんが危険に遭遇するのを減らすのが目的よ、愚痴言う前に手を動かして狩れ!」
「チクショー!」

 蓮の絶叫が再度木霊していた。




「……雪が降ってるな」
「ああ、珍しい事にな……」

 一方その頃、探偵事務所の二階で零と慎次が会話をしていた。

「……なぁ、そろそろ拘束」
「解かんぞ、反省が見えない」
「ぐむぅ」

 零は不服そうな顔をしていた。

「体力が落ちたらどうしてくれる」
「だから、拘束たまに外して運動させてるだろう」
「ぐむ」
「トイレだって言えば外しているし」
「流石に精神病棟でオムツさせるようなのは勘弁して欲しい」
「運悪いと管通されるからな尿道に」
「鬱で入院した患者に聞いたがアレは痛いらしい、アレは勘弁だ」
「お前割と人脈広いな」
「探偵だからな」
「そうか」
「ところで拘束」
「駄目だ」
「ケチ」
「ケチで結構」

 慎次はそう言い切ると、食事の準備を始めた。

「今日の食事は?」
「鳥雑炊と、ミカン寒天に、漬物だ」
「そうか」
「何か要望は?」
「ミカン寒天は牛乳入りがいい」
「分かったそうしよう」

 慎次はもくもくと料理を続けた。

 全てができあがり、食卓に並び、零の拘束が解かれる。
 零は軽く準備運動をしてから椅子に腰をかけた。

「今日も美味そうだな」
「それはありがたい」

 零は雑炊をよそい、ふーふーと冷ましながら食べる。

「うん、美味い」

 そう呟いてから黙々と食べ始めた。

 食事が終わり、歯磨きをして、風呂に入り、寝間着になり、トイレを済ませると零はまた拘束された。

「やっぱり拘束痛いな」
「嫌なら無理しない思考と行動をしろ」
「……」
「そこ、黙るな」

 零の反応に慎次はあきれのため息をついた。




「うわー! 食っても食っても終わんねぇ!」
「予想以上に居るね」

 蓮とフエは異形退治にいそしみ、蓮は悲鳴を上げていた。

「とりあえず、そいつ狩ったら帰るよ、いったん!」
「了解‼」

 蓮はやけくそになって叫んでいた──





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