上 下
176 / 238

食事見直し~異形退治で痩せすぎ⁈~

しおりを挟む



「零」
「何だ?」
「体重計に乗れ」

 ある日、目を覚ました零に慎次は言う。

「何故だ」
「良いから」

 零は寝起きでパジャマのまま体重計に乗った。
 すると──

「……痩せ過ぎと出ているが?」
「……」
「食べる量を増やせないなら、カロリーを底上げするしかないな」
「私は食べてるぞ?」
「見廻りの歩きでカロリーをごっそり消費してるんだろう、あと異形退治で」
「む」

 零はむすっと表情を変える。

「痩せ過ぎの何が悪い」
「お前のは体質ではないのは分かっている、日々の異形退治で体重をごっそり使っているのが分かる」
「それで?」
「なのに痩せ過ぎなら、今後さらに体重が減る可能性がある、それは避けたい、お前が餓死なんぞ笑えん」
「むぅ……」
「という訳で高カロリー食だ、体重が平均になるまで続けるぞ」
「マジか」
「フエから公認だ」
「フエからもか」
「ああ、フエから『零さん、痩せ過ぎなんだけどそんなに食わないから余計にやせるんだよね……今まで高カロリー食にしてたけど、慎次の健康食で痩せすぎになっちゃってるから、頼むから高カロリー食にして』」
「だからといって朝からハンバーガーか、ジャンクでは?」
「手作りだぞ」
「マジか」

 目の前のハンバーガーのセットに、零は目を丸くする。

「いいから食え」
「まぁ、これ位なら食えるな……」

 零はハンバーガーに齧りつく。

「というかサラダとポテトが一緒って多くないか?」
「一応食えるだろう」
「まぁ、量が量だしな」

 零はそう言って肉汁たっぷりのハンバーガーに再度齧りついた。




「零さーん、お仕事順調⁈」
「フエか、異形がいないからなんとも言えないな」
「異形が居ないのが一番!」

 フエは現れてそう言うと、零の手を掴んだ。

「零さん昼食まだ⁈ 美味しいラーメン屋があるんだけど?」
「まだだが、うーん」
「零、ラーメン屋に行くぞ」

 慎次がむんずと腕を掴む。

「そうそう、行こう!」
「わかった、わかったからせかすな」

 ラーメン屋の前に並び、零は醤油ラーメンを選んだ。

「豚骨とかじゃないの?」
「なんというか、胃が重い」
「なら仕方ないか」
「そうだな」

 三人は出されたラーメンを食べた。




「お帰りなさいませ……零さん⁈」

 受付の瑞穂が驚いた表情で慎次に背負われている零に駆け寄る。

「ど、どうしたんですか」
「……胃もたれだそうだ」
「はい?」
「脂っこいものを食べさせてたらこうなった」
「じゃ、じゃあそれ以外は……」
「無事だ、やれやれ作戦の練り直しだ」
「だねー」

 零を背負った慎次と、フエが二階へ上がっていった。




「う゛ー胃が重い」
「ほれ胃薬」
「うん……」

 零は慎次から胃薬を貰い、横になる。

「脂っこいものは食べたくない」
「どうする?」
「……食事の量を増やすか、相対的に」
「どうやって?」
「間食を増やす」
「なるほど」
「う゛ー」

 唸っている零を見て、フエは気まずそうな顔をする。

「零さん、こんなに脂っこいものに弱かったんだ」
「だな……」

 フエと慎次は顔を見合わせてため息をついた──





しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

約束の、破滅の日

恋愛 / 完結 24h.ポイント:262pt お気に入り:21

pretty preschool teacher

BL / 連載中 24h.ポイント:484pt お気に入り:10

ヒルデ〜元女将軍は今日も訳ありです〜

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:106pt お気に入り:199

【R18BL】インキュバスくんの自家発電で成り上がり

BL / 連載中 24h.ポイント:4,433pt お気に入り:61

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,079pt お気に入り:11,340

眠姦学校

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,422pt お気に入り:23

危険な森で目指せ快適異世界生活!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:5,715pt お気に入り:4,151

処理中です...