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探偵事務所にて~見廻りはいつも~
しおりを挟む「え、なんであの村の人間が異形の使い魔をとっ捕まえれたのか分からないって?」
「ああ……」
零の問いかけに、フエは言葉を反芻した。
零は渋い顔をしている。
「あーそれ、ニルスの所為」
「ニルスか……本人からの確認は?」
「取った、夜刻村によって異形の使い魔を捕まえる方法を教えたってさ」
「もしかして、それで自滅を?」
「して欲しかったっぽいけど、捕まえたのがマヨイの使い魔だったから、そうならなかったんだって」
「なるほど……」
零は納得した声を出す。
「マヨイの使い魔の体液は妙薬というか万能薬だからねぇ」
「なるほど」
「それに中々死なないし」
「だな」
「それで発展していたんでしょうが、中身は因習村というか児童虐待事案大量だったから、ド真っ黒だったわね」
「……」
「それをヤル連中も、容認していた村人も」
「だから彼女は村を滅ぼしてとねがったのか……」
「そゆこと」
零の言葉に、フエは頷く。
「ニルスの野郎『結局破滅してましてね、異形に関わるとろくなことはないと思い知ったでしょう』とか抜かしてたけど」
「どの口がいう」
「ねー! 思わず顎に頭突きしたよ!」
「痛そうだな」
「痛がってたよ」
「さよか」
「うん」
零はふぅと息を吐き、外を見る。
外は雨だった。
「こんな日だが、異形は何処にでも出る、見廻り行くか」
「ちゃんとレインコート着て、傘使うんだよ」
「分かってる」
フエは心配そうに声をかけた。
零は苦笑して頷いた。
「──で、零さんなんでぐっしょぐしょな訳⁈」
見廻りから帰って来た零を担いでいる慎次を見てフエは尋ねる。
「水の異形が出やがった時人が居た、あとは分かるな」
「んもー、またペンダント取って花嫁申告しちゃったのねーこの人はー! 零さん、少しは学習して!」
「学習、してる、つもりだ、さむい」
「はい、お風呂入れてあるから入った入ったー!」
フエは零の服を全て脱がして、零を風呂へとぶち込む。
そして様子を見て、髪や体を洗うのを手伝った。
「水の異形、ちゃんと退治できた?」
「ああ『核』が見えてたからな、破壊した」
「なら、良し。でも不安だから今日はここに泊まる」
「そうか、なら俺も泊まるか?」
「いや、一人の方が油断してくれると思う」
「そうか」
慎次が帰り、フエが慎次の代わりに夕食の準備をし、零が寝るまで世話をしていた。
寝静まる頃、ごぽごぽと音が聞こえてきた、風呂場から水の塊が歩いてやって来た。
「そこまで」
水の塊は氷つき、フエは眺める。
「紅姉さんー」
そういうと、巨大な口が現れ、ガチリとかみ合わせると異形は居なくなっていた。
『みずっぽい』
「だって水だし」
『そうだな』
それ以降異変は起きず、無事朝を迎えた。
「お早う、零さん」
「お早う……フエ」
「じゃあ、私帰るからお仕事頑張ってね」
「ああ」
フエが帰ると入れ替わりで慎次がやってきた。
そして朝食を作り始める。
今日もまた、探偵事務所の一日が始まる──
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