175 / 238
探偵事務所にて~見廻りはいつも~
しおりを挟む「え、なんであの村の人間が異形の使い魔をとっ捕まえれたのか分からないって?」
「ああ……」
零の問いかけに、フエは言葉を反芻した。
零は渋い顔をしている。
「あーそれ、ニルスの所為」
「ニルスか……本人からの確認は?」
「取った、夜刻村によって異形の使い魔を捕まえる方法を教えたってさ」
「もしかして、それで自滅を?」
「して欲しかったっぽいけど、捕まえたのがマヨイの使い魔だったから、そうならなかったんだって」
「なるほど……」
零は納得した声を出す。
「マヨイの使い魔の体液は妙薬というか万能薬だからねぇ」
「なるほど」
「それに中々死なないし」
「だな」
「それで発展していたんでしょうが、中身は因習村というか児童虐待事案大量だったから、ド真っ黒だったわね」
「……」
「それをヤル連中も、容認していた村人も」
「だから彼女は村を滅ぼしてとねがったのか……」
「そゆこと」
零の言葉に、フエは頷く。
「ニルスの野郎『結局破滅してましてね、異形に関わるとろくなことはないと思い知ったでしょう』とか抜かしてたけど」
「どの口がいう」
「ねー! 思わず顎に頭突きしたよ!」
「痛そうだな」
「痛がってたよ」
「さよか」
「うん」
零はふぅと息を吐き、外を見る。
外は雨だった。
「こんな日だが、異形は何処にでも出る、見廻り行くか」
「ちゃんとレインコート着て、傘使うんだよ」
「分かってる」
フエは心配そうに声をかけた。
零は苦笑して頷いた。
「──で、零さんなんでぐっしょぐしょな訳⁈」
見廻りから帰って来た零を担いでいる慎次を見てフエは尋ねる。
「水の異形が出やがった時人が居た、あとは分かるな」
「んもー、またペンダント取って花嫁申告しちゃったのねーこの人はー! 零さん、少しは学習して!」
「学習、してる、つもりだ、さむい」
「はい、お風呂入れてあるから入った入ったー!」
フエは零の服を全て脱がして、零を風呂へとぶち込む。
そして様子を見て、髪や体を洗うのを手伝った。
「水の異形、ちゃんと退治できた?」
「ああ『核』が見えてたからな、破壊した」
「なら、良し。でも不安だから今日はここに泊まる」
「そうか、なら俺も泊まるか?」
「いや、一人の方が油断してくれると思う」
「そうか」
慎次が帰り、フエが慎次の代わりに夕食の準備をし、零が寝るまで世話をしていた。
寝静まる頃、ごぽごぽと音が聞こえてきた、風呂場から水の塊が歩いてやって来た。
「そこまで」
水の塊は氷つき、フエは眺める。
「紅姉さんー」
そういうと、巨大な口が現れ、ガチリとかみ合わせると異形は居なくなっていた。
『みずっぽい』
「だって水だし」
『そうだな』
それ以降異変は起きず、無事朝を迎えた。
「お早う、零さん」
「お早う……フエ」
「じゃあ、私帰るからお仕事頑張ってね」
「ああ」
フエが帰ると入れ替わりで慎次がやってきた。
そして朝食を作り始める。
今日もまた、探偵事務所の一日が始まる──
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
転生王子はダラけたい
朝比奈 和
ファンタジー
大学生の俺、一ノ瀬陽翔(いちのせ はると)が転生したのは、小さな王国グレスハートの末っ子王子、フィル・グレスハートだった。
束縛だらけだった前世、今世では好きなペットをモフモフしながら、ダラけて自由に生きるんだ!
と思ったのだが……召喚獣に精霊に鉱石に魔獣に、この世界のことを知れば知るほどトラブル発生で悪目立ち!
ぐーたら生活したいのに、全然出来ないんだけどっ!
ダラけたいのにダラけられない、フィルの物語は始まったばかり!
※2016年11月。第1巻
2017年 4月。第2巻
2017年 9月。第3巻
2017年12月。第4巻
2018年 3月。第5巻
2018年 8月。第6巻
2018年12月。第7巻
2019年 5月。第8巻
2019年10月。第9巻
2020年 6月。第10巻
2020年12月。第11巻 出版しました。
PNもエリン改め、朝比奈 和(あさひな なごむ)となります。
投稿継続中です。よろしくお願いします!
スキル盗んで何が悪い!
大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物
"スキル"それは人が持つには限られた能力
"スキル"それは一人の青年の運命を変えた力
いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。
本人はこれからも続く生活だと思っていた。
そう、あのゲームを起動させるまでは……
大人気商品ワールドランド、略してWL。
ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。
しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……
女の子の正体は!? このゲームの目的は!?
これからどうするの主人公!
【スキル盗んで何が悪い!】始まります!
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。


異世界で農業をやろうとしたら雪山に放り出されました。
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界召喚に巻き込まれたサラリーマンが異世界でスローライフ。
女神からアイテム貰って意気揚々と行った先はまさかの雪山でした。
※当分主人公以外人は出てきません。3か月は確実に出てきません。
修行パートや縛りゲーが好きな方向けです。湿度や温度管理、土のphや連作、肥料までは加味しません。
雪山設定なので害虫も病気もありません。遺伝子組み換えなんかも出てきません。完璧にご都合主義です。魔法チート有りで本格的な農業ではありません。
更新も不定期になります。
※小説家になろうと同じ内容を公開してます。
週末にまとめて更新致します。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる