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自主謹慎初日
しおりを挟む「暇だ……」
「まだ一日目だぞ」
零が自主的に自室にこもり始めて一日目。
すでに零は暇を持て余していた。
「一週間は宣言通り引きこもって貰うからな」
「仕方ない、ランニングマシンで走るか」
零はそう言って部屋の隅にあったランニングマシンを出して、走り始めた。
「疲れた」
「だろうな、ほれスポーツドリンク」
「ん」
汗をかいた零に慎次がスポーツドリンクを渡す。
「うん、美味い」
「そう作ったからな」
「慎次、お前は有能だな」
「どうも」
自作のスポーツドリンクを作ったと慎次から聞いて零は驚いた顔をする。
慎次は呆れているような表情をしていた。
「そういえば昼食の時間だな」
「作ってある」
「流石だ」
「その前に手を洗ってこい」
「分かった」
零は手を荒井、ハンカチで拭くと、料理が並べられたテーブルに向かい、椅子に腰をかけた。
「いただきます」
零は手を合わせ、料理を食べ始める。
「……」
慎次はそれを黙って眺めていた。
「走ってばかりだと疲れる」
「じゃあ、何をする?」
「フエに押しつけられたゲームでもするか」
「彼奴何してるんだ……」
「オンラインゲームらしい」
「有料か?」
「無料、一部有料」
「なるほど」
零はゲーム機を引っ張り出し、画面の中の画像を選び、遊び始めた。
「あ、フエが居る」
「なんでいるんだ?」
『零さん、こんにちはー?』
画面内のキャラクターが吹き出しでしゃべる。
「えっと……」
『ボイチャ機能ついてるから、そっちで前の設定のまま話そ?』
「ボイスチャット……ああ、これか」
零はボイスチャットの機械をつけて、会話をし始めた。
「これでいいか?」
『ばっちし!』
「ならいい」
そう言って零はフエに誘導されるがままに遊びはじめた。
アクションゲーム系統のオンラインゲームだったが、零はそつなく遊んでいた。
「零、飯の時間だ」
「あ、そうか。すまん、フエ、落ちる」
『OK、また遊ぼうねー!』
零はログアウトする。
そして、機器を片付け、テーブルに向かい、椅子に座る。
「昼からカロリー低そうなものばかりだな」
「お前の体を気遣ってだ」
「すまんな」
零はサラダを口にした。
一週間が終わるのはまだ時間がかかりそうだ──
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