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「花嫁」は繰り返す~なので出張します~
しおりを挟む「漸く拘束から解放された……」
くっきりと拘束の痕が残った体を撫でながら零は呟く。
「本当なら反省してないから拘束解除止め解こうかと思ったんだがフエから『そろそろ零さん動かさないと何するか分からないよ』と言われてな」
「さすがフエ、付き合いが長いだけある」
零は安堵のため息をついた。
「だが、馬鹿なまねをしたら即座拘束に逆戻りだからな」
「分かっている」
零のその言葉に、慎次はどこか信用できないような顔で返した。
「やっぱりやりやがったなあの馬鹿‼」
異形がいないか見廻りに来た時に、異形が人を襲っているのに遭遇し、零は即座にペンダントを取り「『花嫁』はここだ‼」と叫んで逃亡して、慎次はその後を人目につかないようにして全速力でおっていた。
「おー慎次、遅いー」
「ちゃんとフエを呼んだぞ」
「そういう問題じゃねぇ!」
フエと一緒にいる零に慎次は拳骨を喰らわした。
「痛いぞ」
零は頭を抑える。
「やっぱりこの馬鹿はもう一度拘束だ!」
「えーフエを呼んだのに?」
「人が襲われてるからっていきなり『花嫁』探知防止機能つきのペンダントブチっとやって『「花嫁」はここだ!』って叫んで、逃亡するとか命知らずにも程がある!」
「だが、あそこでフエを呼んだら人が発狂するぞ」
「もう既に発狂しかけてたからなんとか治療してから追いかけたが……俺の心労を少しは考えろ!」
「零さん、今回は零さんが悪いよ」
「むぅ、なら一週間程事務所の二階に引きこもろう」
「そうしてくれ……」
「その代わり飯と世話は頼むぞ」
「そちらの方が何倍もマシだ……」
慎次は疲れたように言った。
「てなわけで、私達も見廻りをすることにしました」
「なるほどそういうことか」
「でもなんでちきゅうきぼ?」
「規模が大きい方が働いてる感あるじゃん」
「わざわざ出向く必要があるとはおもえないが……」
紅がそう呟くとフエが指を振った。
「だからこそ今回出向くんだよ、いつもは遠くから見て、遠くから屠ってるから連中どこにでもでてくるし」
「なるほど、こちらも連中の場所に行って抹殺すれば、連中はここにも来ると思わせられるのか」
「そうそう」
「だが、連中『花嫁』のいるこの国にどっちにしろ集まるのでは」
「それは言えてる」
「じゃあどうするの?」
「だから片っ端から退治しまくるの」
「やれやれ、面倒だな……」
「でも、がんばるの」
「マヨイは良い子だねー」
「うー!」
フエはマヨイの頭を撫でた。
マヨイは嬉しそうに笑った。
「さて、じゃあ、行きますか」
「ああ」
「うん」
三人は会議室から姿を消した。
一週間、世界各地で謎の事件が起き続けることになるのだが、それを知るのは彼女達のみ──
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