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花嫁奪還~異形案件~

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「テロリストがいる場所に零さんが取り残されています」

 ある日、会議室でフエは言った。

「レオン、ニルス、慎次には既に侵入して貰っています、私達も続いて侵入しましょう」
「フエ様、その場合、肉、は?」

 ジンが割って入るように発現した。

「今回は不測の事態なので肉は確保できたら確保、という流れで」
「わかりました」
「てなわけでロナクはジンと一緒ね、くれぐれも異形化させんじゃねーぞ」
「分かってるよ」

 手をひらひらとさせるロナクを、疑いの目で見つめるフエ。

「レラは留守番」
「なんでぇ」
「建物にいるのに建物壊したら零さん下手すると大けが負うでしょう、だから駄目」
「はぁい……」
「一緒に待ちましょうね」

 レラはロナに連れて行かれ会議室からでていった。

「負傷者も多数だからクラルとマヨイは来ること」
「了解」
「わかったの」
「紅姉さんは、攪乱を」
「分かった」
「では、解散!」

 皆がその場から姿を消した。




「この男? 女? ええい、どっちかわかんねぇが人質全員逃がされたぞ!」
「上の御方達がそいつは五体満足でこちらに連れてこいって話しだ」
「……」

 テロリスト達の話を零は黙って聞いていた。

──異形関係か──

 零は直ぐさま理解し、どうやって逃げるかを考えた。

 すると、青い煙が視界を遮る。

──紅の煙か──

「おい、何処だ!」
「何も見えねぇ!」

「おい、行くぞ」

 慎次の声がし、腕をつかまれそのまま抱きかかえられてその場から立ち去る。

「うご⁈」
「ぐげ⁈」

 男達の苦鳴が聞こえた。

「……」
「のめしただけだ、死んでない」
「……異形関係の連中だ」
「ならちょうど良い、ジンとロナクに肉にされるだろう」
「そうか」

 慎次は窓を開けてビルの高層階から飛び降りた。

「人目につかんか?」
「視覚操作でなんとかしてる」
「そうか」

 慎次は零を抱きかかえたまま、事務所へと戻った。




「異形が15体、人が40人か」

 フエが数える。

「よし、異形退治といこうか!」
「うん!」

 マヨイと共に飛び出し、異形を目視すると、一瞬で捕食した。
 マヨイは触手で喰らい尽くした。




 一方ジンとロナクは──
「肉、肉、肉!」
「おい、ジンこええよ」
「最近肉が少なくなっているのだ!」
「あーなるほど」
「エル様に我慢をさせたくない!」
「そうかー」

 首を切り落として死体となったそれを袋に詰めながらジンは説破詰まった表情をし、ロナクは遠い目をしていた。




 テロリストによる事件はあっけなく終わり、誰がどうしたのかも分からぬまま、表向きには事件は終わった──





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