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女子会~でも頭の中は……~
しおりを挟む「零さん、たまには休もうよ!」
フエの提案を拒否するように零は首を振った。
「休んだら、異形を見つける機会が減る」
「それは慎次とレオンと、ニルスに任せればいいって。特にレオンとニルス」
「何故⁈」
レオンが驚愕の声を上げている。
「慎次はぁ、まだ不安定なところが否めないから零さんと一緒がいい、アンタとあのニルスは慎次が来る前から二人で見廻りしてたでしょ」
「そう、ですが……」
「と言うわけで今日は零さん、休み休みー! その代わりレオンとあの馬鹿が働けー! 頑張れーレオン!」
「嬉しくない励ましです!」
レオンは下の階へと下りて行った。
「さて、お休みになった零さんだけど──」
「なんだ?」
「慎次も含めて女子会しまーす!」
「「はぁ⁇」」
フエの提案に慎次と零は素っ頓狂な声をだした。
「女子会っていうから住処でやると思ったぜ」
「いいじゃない、たまにこう言うのも」
フエはとあるカフェで注文をしていた。
そうして、出て来たケーキの類いを慎次と零とフエの三人で食べている。
「ちなみに、後で最近オープンしたジェラート店に行くからね」
「お前が行きたいだけじゃないか」
「もう既に柊さんと行ってますー」
慎次の言葉に、フエはべーっと舌を出して返す。
慎次はため息をついた。
「全くお前は……」
「うん、ケーキ美味いな」
「でしょう? 綺麗だし、映えもいいし、写真も撮ったし、食べて良しだしオールオッケー」
「そういうものなのか……」
「もー零さんったら本当世間に疎いんだから、SNSもロクにやってないでしょう?」
「会社のSNSなら瑞穂に任せてる、何かあったら連絡が来るはずだ」
「何かあったら、今回はマヨイに任せること」
「マヨイに?」
フエの申し出に零は驚く。
「何でだ?」
「マヨイの番いが周囲に迷惑をかけすぎてるからその罰」
「……そうか」
「あの野郎、マヨイに依存しまくってるからな、お前の所と別の意味で面倒くさいんだよ本当」
「私の所はいいの!」
「いいのか?」
「うん!」
「まぁ、仕事と言えば送り出すからな、お前の所は……」
「そうそう」
「其処に零が絡むと浮気者扱いになるが」
「それねー」
「零さんへの嫉妬はどうにもできないわ」
「だろうよ」
そう言って慎次は紅茶を飲み干した。
「じゃあ、次行こうか」
「おう」
「分かった」
フエが支払いをして、そのままジェラート店へ行く。
種類様々なジェラードがあったが、零は水色のソーダのジェラードを頼んだ。
「零さんはソーダか」
バニラを選んだフエがジェラードを食べながら言う。
「珍しいか?」
「ううん、良いと思う」
「そうだな」
イチゴを選んだ慎次がジェラードを口にしながら返事をする。
「さて、休んだし、帰るか」
零がそう言うと、フエはどこか不満げな顔をしていた。
「どうした?」
「いや、別にぃ?」
「休んでいるように見えて、頭の中は異形案件で一杯な所に腹が立ってるんだとよ」
「ああ……すまない」
「いいよーわかってたしー」
フエはそう言いながら事務所の扉を開ける。
「所長、この子が何かしたらしいんですけど……」
「う!」
瑞穂が出迎え、マヨイが手を上げていた。
「マヨイか、瑞穂何かあったのか?」
「子どもができないと責められて暴力を振るわれてるから助けて欲しいというDMの事を説明すると、一瞬で居なくなって、しばらくしてから戻って来たんです、お土産と依頼料もって」
「そうか、私の代わりに依頼を果たしてくれたのだな」
「う!」
零はマヨイの頭を撫でた。
「マヨイー所でその地域はどうした」
「ばーん!」
「みんな屑だからバーンしてきたのね、偉い偉い」
「廃村が一つ増えたな……」
褒めて頭を撫でるフエと、遠くを見つめる慎次。
「あ、あの所長。これでいいんでしょうか?」
「仕方ないだろう、いいで終わらせよう、ただし真実を知るのは私達だけだ」
「は、はい!」
零は肩をすくめた。
そしてソファーに腰をかけ、盛大にため息をついたのだった──
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