クトゥルフちっくな異形の子等の日常~番いと「花嫁」を添えて~

琴葉悠

文字の大きさ
上 下
156 / 238

暴露される~ニルスの悪意~

しおりを挟む



『ひっでぇ、俺だけ零と話せなかった』
「アンタの日頃の行いの悪さよ、反省しなさい」
『そうよ、ロナク。ニルスはもういやだー! って貴方が五月蠅く言うから温情で開放してからフエ姉さんは貴方を私の影に封印し直したんだから』

 パーティ終了して翌日、ニルスの影で五月蠅くわめくロナクに、皆うんざりして、フエはロナの影にロナクを移した。

『だって彼奴の影マジやべーんだもん! 悪意の塊!』
「分かっててやったんだよ、察しなさいよ」

 影の中から講義するロナクに、フエが冷めた視線を送る。

『なんなのあの悪意の塊野郎!』
「アンタも彼奴のこと言えないでしょう?」
『いや、俺は言える、彼奴よりはマシ‼』
「本当?」
『本当だって‼』

 ロナク蜂から強く言う。

『だって俺彼奴みたく人を陥れることを息をするようにしてねぇし‼‼』

「……今、なんて言った?」
『だからー俺は彼奴みたく人を陥れる事息をするようにしてないって!』
「ニルスの野郎」

 フエは顔を不快に歪ませ、その場から姿を消した。

『フエ? おーい、いきなり消えるなー!』
『フエ姉さんにも思う所があったのでしょう?』
『何がだよ、ねーちゃん』
『……ロナク、貴方そういうところに気づかないところも封印される原因よ』
『えぇー?』

 ロナの言葉に困惑するロナクがいる自分の影を見下ろして、ロナは手の口からため息をついた。




「ですから、悪徳業者だけですから問題ないと」
「その後異形にしちまってるから問題だっつってんだろうが!」

 フエに足蹴にされ、ニルスは地面に横たわっていた。
 ぐりぐりと頭を脚で踏まれる。

「悪徳業者を破滅させるなら許容範囲なのよ、悪人が破滅したほうが世の中の為って言うか零さんの為だしぃ?」

 軽い調子でフエはそう言ってから表情を凍てつかせた。

「問題は異形化させてるってことよ。零さんの仕事何増やしてんの?」
「げふっ! ふふ、異形になるのを、望んだのは、彼らですよ」
「その手助けすんなって言ってんだろうがわかんないのか、この××××野郎‼」
「ふふ……口が悪いですよ、我が主」
「誰が好きでてめーの主してると思ってる! 口が悪いのもてめーの所為だ!」

 フエはニルスを蹴り飛ばした。
 壁にぶつかり、そのまま地面に落ちる。

「次同じ事したらまたぐちゃぐちゃにするからな」
「おお、怖い怖い……」
「今すぐぐちゃぐちゃにしてやりたい……!」

 フエは唇を噛みしめながら、その場から姿を消した。




「あ゛ー! 今すぐニルスを抹消したい‼」

 住処の会議室でフエは叫んだ。

「どうした、またニルスがやらかしたのか?」
「やらかしたから抹消したい!」
「だが無理だろうな」
「それね!」

 フエは床に転がりジタバタと暴れた。

「みっともない、やめなさい」
「う゛ー!」

 紅がフエを立たせ、椅子に座らせる。

「で、内容は?」
「あの野郎、悪徳業者破滅に追い込むだけで終わらせとけばいいのに、わざわざ異形化の手伝いまでしてやがった!」
「なるほど、お前がキレる訳だ」
「う゛がー!」

 フエは頭を掻いて振り乱した。

「零に被害が及びそうだな」
「それね!」
「一般人にも被害が及ぶなら零はいても立ってもいられないだろう」
「本当それ!」

 紅の言葉にフエはうんうんと頷く。

「だからさっさと異形退治いこう⁈」
「まだ行ってなかったのか」

 フエの言葉に紅が呆れた。

「あのまま行ってたら苛立ちで被害拡大してそうだったからやめておいたの!」
「ああ、なるほど」
「よし、行こう! 蓮、いるんでしょう⁈」
「げ」

 こっそりと聞いてたらしい蓮が姿を現した。

「話聞いてたでしょう、手伝って!」
「分かった、分かりましたよ」
「じゃあ、俺は留守番をしている、なるべく早く帰ってこいよ」

 蓮と一緒にいた康陽がそう言ってその場から立ち去る。

「康陽さん、大好き!」

 康陽がいなくなった後、乙女のような仕草で蓮は言う。

「うーん、理解力のある番い持ちはいいなぁ、いや柊さんが悪いってわけじゃないけど」
「分かったから行くぞ」

 三人は姿を消した。
 翌日、とある経営が傾いた企業の経営陣が原因不明の失踪を遂げたとニュースで話題になった。
 その真相を知るのは異形の子と──

「異形案件だったか、フエ達がやったな」

 零のみである──





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

転生メイドは絆されない ~あの子は私が育てます!~

志波 連
ファンタジー
息子と一緒に事故に遭い、母子で異世界に転生してしまったさおり。 自分には前世の記憶があるのに、息子は全く覚えていなかった。 しかも、愛息子はヘブンズ王国の第二王子に転生しているのに、自分はその王子付きのメイドという格差。 身分差故に、自分の息子に敬語で話し、無理な要求にも笑顔で応える日々。 しかし、そのあまりの傍若無人さにお母ちゃんはブチ切れた! 第二王子に厳しい躾を始めた一介のメイドの噂は王家の人々の耳にも入る。 側近たちは不敬だと騒ぐが、国王と王妃、そして第一王子はその奮闘を見守る。 厳しくも愛情あふれるメイドの姿に、第一王子は恋をする。 後継者争いや、反王家貴族の暗躍などを乗り越え、元親子は国の在り方さえ変えていくのだった。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

美味しい料理で村を再建!アリシャ宿屋はじめます

今野綾
ファンタジー
住んでいた村が襲われ家族も住む場所も失ったアリシャ。助けてくれた村に住むことに決めた。 アリシャはいつの間にか宿っていた力に次第に気づいて…… 表紙 チルヲさん 出てくる料理は架空のものです 造語もあります11/9 参考にしている本 中世ヨーロッパの農村の生活 中世ヨーロッパを生きる 中世ヨーロッパの都市の生活 中世ヨーロッパの暮らし 中世ヨーロッパのレシピ wikipediaなど

転生王子はダラけたい

朝比奈 和
ファンタジー
 大学生の俺、一ノ瀬陽翔(いちのせ はると)が転生したのは、小さな王国グレスハートの末っ子王子、フィル・グレスハートだった。  束縛だらけだった前世、今世では好きなペットをモフモフしながら、ダラけて自由に生きるんだ!  と思ったのだが……召喚獣に精霊に鉱石に魔獣に、この世界のことを知れば知るほどトラブル発生で悪目立ち!  ぐーたら生活したいのに、全然出来ないんだけどっ!  ダラけたいのにダラけられない、フィルの物語は始まったばかり! ※2016年11月。第1巻  2017年 4月。第2巻  2017年 9月。第3巻  2017年12月。第4巻  2018年 3月。第5巻  2018年 8月。第6巻  2018年12月。第7巻  2019年 5月。第8巻  2019年10月。第9巻  2020年 6月。第10巻  2020年12月。第11巻 出版しました。  PNもエリン改め、朝比奈 和(あさひな なごむ)となります。  投稿継続中です。よろしくお願いします!

悪役令息は義妹を攻略したい!

ROM
ファンタジー
転生した俺は、自分が『剣と魔法と花冠』――RPG要素をふんだんに盛り込んだ男性向け恋愛ゲームだ――の悪役令息(死亡確定)であることに気づく。 死亡確定キャラへの転生に絶望しかけたが、ふと重大なことを思い出した。この悪役令息の義妹こそがメインヒロインの一人であり、前世での最推しキャラだったことに! 推しを幸せにしたい――ただその願望のためだけに自分を磨き、領地を改革し、愛妹を溺愛する! さらには、他のヒロインたちをも惹きつけることとなり――果たして死亡確定の未来を変え、義妹を幸せにすることはできるのか!?

処理中です...