クトゥルフちっくな異形の子等の日常~番いと「花嫁」を添えて~

琴葉悠

文字の大きさ
上 下
131 / 238

理解~蓮と康陽~

しおりを挟む



「う゛ー……」

 朝、蓮は唸っていた。

「蓮、異形性の発露か」

 康陽が心配と確認の声をかける。

「そんな感じ……」
「なら、零の所に行ってこい、朝早いとか気にするな」
「うん……」

 蓮はそう言うとベッドの中から姿を消した。

 康陽は戻ってくるまでの間に食事の準備をしていた。


 一時間後──


「ふー……さっぱりしたぁ」
「調子が戻って良かった、さぁ、飯にするぞ」
「あ、うん!」

 康陽に言われて、蓮は椅子に座り、手を合わせる。

「いただきます」

 目の前にある和食の朝食に、箸で手をつけて食べていく。
 料理を食べ終わったら、食器を共に洗い、拭いて、仕舞い、ソファーに座る。

「零はどうだった?」
「終わった後、慎次が来て料理作って食べさせて貰ってたよ」
「それは良かった、彼奴は自分の食には興味がないからな」
「だよねー」

 蓮は康陽にもたれかかりながら会話をする。
 康陽はそれを咎めることなく、静かに蓮の髪の毛を撫でる。


「納得がいかぬ」
「うわ⁈」
「……何だ、フエか」

 突如部屋に出現したフエに、二人は驚きを隠せない。

「何で私は浮気者扱いで、そっちは普通なの!」
「理解があるかないか、でしょう」
「それと依存してるかしてないか、だな」
「ぐむむむ……」

 フエは二人に図星をつかれ、反論できず唸っている。

「仕方ないじゃん、そんな柊さんも可愛いんだからー!」

 最期にはのろけなのか負け惜しみなのかどっちか分からない言葉を吐きながら部屋を飛び出していった。


「……ねぇ、本当に聞くけど、割り切れてるの?」
「割り切れてるとも、伴侶が苦しんで、見境なく破壊しつくすして後で自己嫌悪に陥るよりはいいとな」
「なるほど……」
「まぁ、相手が零だ納得もする。相手は『花嫁』しかたない事だ」
「うーん……立場が逆だったら私は割り切れてるかなぁ?」
「さてな、少なくともお前はいずれ割り切ると思う、最初はうだうだしているが相手が苦しむのを見る趣味はないだろう?」
「それは当然! あーもーなんか康陽さんの手のひらの上で踊らされてる感じがするー‼‼ なんなのこれー‼」

 蓮は頭を抱えた。
 そんな蓮を見て康陽はくつくつと笑う。

「相変わらず可愛いな蓮は」
「もー! もー!」

 蓮は顔を真っ赤にしてもだもだしはじめる。
 そして顔を隠した。

「どうした?」
「酷い顔だから見せられない……」
「では見せてもらえるまで、ここに居ようか」
「馬鹿……」

 蓮は顔を真っ赤にしたまま呟いた──






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢カテリーナでございます。

くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ…… 気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。 どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。 40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。 ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。 40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

処理中です...