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理解~蓮と康陽~
しおりを挟む「う゛ー……」
朝、蓮は唸っていた。
「蓮、異形性の発露か」
康陽が心配と確認の声をかける。
「そんな感じ……」
「なら、零の所に行ってこい、朝早いとか気にするな」
「うん……」
蓮はそう言うとベッドの中から姿を消した。
康陽は戻ってくるまでの間に食事の準備をしていた。
一時間後──
「ふー……さっぱりしたぁ」
「調子が戻って良かった、さぁ、飯にするぞ」
「あ、うん!」
康陽に言われて、蓮は椅子に座り、手を合わせる。
「いただきます」
目の前にある和食の朝食に、箸で手をつけて食べていく。
料理を食べ終わったら、食器を共に洗い、拭いて、仕舞い、ソファーに座る。
「零はどうだった?」
「終わった後、慎次が来て料理作って食べさせて貰ってたよ」
「それは良かった、彼奴は自分の食には興味がないからな」
「だよねー」
蓮は康陽にもたれかかりながら会話をする。
康陽はそれを咎めることなく、静かに蓮の髪の毛を撫でる。
「納得がいかぬ」
「うわ⁈」
「……何だ、フエか」
突如部屋に出現したフエに、二人は驚きを隠せない。
「何で私は浮気者扱いで、そっちは普通なの!」
「理解があるかないか、でしょう」
「それと依存してるかしてないか、だな」
「ぐむむむ……」
フエは二人に図星をつかれ、反論できず唸っている。
「仕方ないじゃん、そんな柊さんも可愛いんだからー!」
最期にはのろけなのか負け惜しみなのかどっちか分からない言葉を吐きながら部屋を飛び出していった。
「……ねぇ、本当に聞くけど、割り切れてるの?」
「割り切れてるとも、伴侶が苦しんで、見境なく破壊しつくすして後で自己嫌悪に陥るよりはいいとな」
「なるほど……」
「まぁ、相手が零だ納得もする。相手は『花嫁』しかたない事だ」
「うーん……立場が逆だったら私は割り切れてるかなぁ?」
「さてな、少なくともお前はいずれ割り切ると思う、最初はうだうだしているが相手が苦しむのを見る趣味はないだろう?」
「それは当然! あーもーなんか康陽さんの手のひらの上で踊らされてる感じがするー‼‼ なんなのこれー‼」
蓮は頭を抱えた。
そんな蓮を見て康陽はくつくつと笑う。
「相変わらず可愛いな蓮は」
「もー! もー!」
蓮は顔を真っ赤にしてもだもだしはじめる。
そして顔を隠した。
「どうした?」
「酷い顔だから見せられない……」
「では見せてもらえるまで、ここに居ようか」
「馬鹿……」
蓮は顔を真っ赤にしたまま呟いた──
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