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「花嫁」の疑問~異形の「花嫁」故に~
しおりを挟む「私は後どれくらい生きられるのだろう?」
ベッドに横になっている零がふと疑問を口にした。
「死ぬまでずっとよ」
「死ぬまでとは」
「自殺するまでずっと異形の『花嫁』はね、自殺以外じゃ死なないの」
「……自殺する勇気はないな」
零は疲れたように呟いた。
「年老いることもない、死ぬような病にかかることも、体が不自由な病にかかることもない」
「研究機関に調べられそうだな、それがバレたら」
「そうだねー、その前にその研究機関を潰しちゃうけどね、私達が」
「だろうな」
何でも無いようにフエが言うと、零は納得した。
「さて、フエ」
「ん?」
「私の体調不良の原因は何だ?」
「無茶しすぎ」
「自業自得か……」
呆れたように零が呟くと部屋に何者かが入って来た。
「おい、帰って来た……何だこの部屋は!」
「ああ、荒井」
「お前掃除と洗濯が最低限しかできていないじゃないか!」
「……悪い」
荒井は怒鳴り、手際よく掃除と洗濯をして行く。
「冷蔵庫は……作り置きは食べて、皿は洗ってない!」
次に皿洗いを開始する。
「フエ! 見ていたんならお前が家事をやっていてくれてもよいだろう!」
「いやー慎次がやるからいいかなーって」
「くそが!」
荒井は吐き捨てるように言った。
そして荒井は再度料理を作り、胃に優しい雑炊を作ると、零の所に持って行った。
「熱いから気をつけろよ」
「分かった」
零は、ふーふーと何度も冷ましてから口にした。
「鳥雑炊か」
「鳥肉と卵が安かったんだ」
零の言葉に、荒井は素っ気なく返した。
零が全て食べ終えると、荒井は空の器を持って行き洗い、仕舞った。
「荒井いつもすまないな」
「気にするな……と言いたいが、もう少し生活態度を改善してくれ」
「すまん、無理だ、こればっかりは」
「最初から諦めるな……」
諦めたように言う零に、荒井はため息をついた。
「いやー無理だよ、零さんの私生活の態度は直ったこと一度も無いもん」
何でも無いようにフエが言う。
荒井は更に深いため息をついた。
「厄介な『花嫁』だな」
「そうだろうな」
「でも、私達と歩んでくれるいい『花嫁』さんだよ」
「……」
フエの言葉に荒井は黙り込んだ。
「……だが無茶をする」
「それねー、この間の異形事件で一発腹に貰って内臓破裂寸前だったのをマヨイが急いでなおして助かったもんねー」
「そのおかげで現在こうして寝込んでいる訳だが」
「その間に最低限のこともできないくらい寝込んでる」
「おい、待てその案件は俺は聞いてないぞ」
「荒井が別件で居なかった時だもん」
「くそが!」
荒井はエプロンを脱ぎ捨て、洗濯籠にたたきつけた。
「ものに当たらない」
「そうだぞ」
「しばらく俺はお前を見張るからな、住処には戻らん」
「そう? じゃあ私は戻るねそう言ってくれるなら安心だし」
「分かった」
フエが居なくなり、荒井の出す圧で空気が重くなる。
「……荒井其処まで怒らんでも……」
「怒っているのが分かるならもう少し自分を大事にしろ!」
「……すまない」
荒井に叱られて、零は申し訳なさそうに言ってから目を閉じた──
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