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とある一日~荒井慎次の苦労~
しおりを挟む「……」
零は目を覚ました。
「起きたか。飯だぞ」
「ん」
零は頷き、椅子に座り、食事を取る。
食事を終えると、歯を磨き、顔を洗い、服を着替える。
そして、対異形の武器をポケットにしまう。
「荒井、レオン、ニルス、行くぞ」
「分かった」
「分かりました」
「分かったとも」
それぞれ返事をし、探偵事務所を出て行く。
「海沿いの倉庫で何やら奇妙な物を見たと書いてあったのが当たってたな!」
「こんなところで半魚人共が暮らしていたとは」
「わりぃが、全員やっちまおう、こいつらのあがめる異形はタチが悪い」
「ですなぁ」
四人はそう言って襲いかかってくる半魚人達を慈悲無く駆逐して行く。
半数ほどは襲いかかってきたが、もう半分は襲いかかってこず、奥で震えている。
それに服を着ていた。
「妙だな」
「マヨイを呼ぶか?」
「ああ、そうする。マヨイ」
「うー!」
天井からずるっと落ちてきて地面にべちゃりとマヨイは着地した。
「マヨイ、連中の事を見てやってくれ」
「う」
マヨイはずるずると近づき、ふんふんと残った半魚人達を見ると全員筒の触手で包み込んだ。
一分ほどすると──
「ぷはっ⁈ な、何があったんだ⁈」
「ど、どうしてここに居るのかしら⁇」
など人の姿に戻り記憶を半魚人の時の記憶を失った状態で現れた。
「なるほど、半魚人共は人間を無理矢理半魚人にして仲間を増やしていたのか」
「スマートフォンとかも利用したんだろう、悪知恵がまわりやがる」
「とりあえず、警察には連絡しておこう、レオン事情を上手く隠して話してやってくれ」
「わかりました」
レオンが半魚人にされていた人達と会話をしている間、零は警察に連絡を入れた。
「異形案件です、行方不明のリストと合わせて確認してきて下さい、はい、私は引き続き調査を」
零はそう言ってスマートフォンをきる。
「どうすんだ」
「夜を待つ、まだいるかもしれん」
「なるほど」
「それがよいでしょうなぁ」
「おい、零」
「なんだ」
「ニルスを殴ったら駄目か」
「やらかしてるかどうか分からないから駄目だ」
「ちっ」
にたにたと笑って居るニルスを見て、荒井は盛大に舌打ちした。
そして夜、海から上がってくる半魚人達がいた。
「ぴっかーん!」
合流したフエが明かりで半魚人達を照らす。
全員服を着ていない。
「全員屠るぞ」
「じゃあ私は海に潜ってるねー」
と言ってフエは海にダイブし、零達は明かりで照らされうろたえている半魚人の異形を殺した。
しばらくしてフエが海から上がってきた。
「魚っぽいから美味しいかと思ったけど不味かった」
「やっぱりあの半魚人は異形の信者共か」
「信者増やして力つけようとしたみたいー全部食べちゃったけど」
「やれやれ……」
零がそう言うとフエは零に抱きついた。
「ちょーっと異形的なムラムラがするから相手して?」
「おいフエ」
「何慎次?」
「そんなことしてっと、番いが発狂するんじゃねぇか」
「ぐむ……でも仕方ないんだもーんだ!」
「へいへい……」
その後、零はフエと事務所に戻り、自室にこもった。
フエが帰っていくと、裸で汗ばんだ体を起こしてなにか飲もうとする零がいた。
「ほれ、レモネードだ」
「ああ、すまない」
いつの間にか居た荒井がコップを渡し、レモネードで喉を潤した零に言う。
「風呂入ってこい」
「ん」
零は風呂場へ向かいそのまま風呂に浸かり、髪も洗い、風呂場からで手来ると、荒井は下着と寝間着を用意しており、零はそれを身につけ、そして髪を乾かして貰い、ベッドに横になる。
「じゃあ俺は帰る……」
「寝るまで手をつないでくれないか」
「……寝るまでだぞ」
そう言って手をつなぐ。
しばらくして零が眠りにつくと、荒井はそっと手を離して、頭を掻く。
「調子が狂う『花嫁』だぜ、全く」
そう言って姿を消した──
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