上 下
81 / 238

目覚めの後~とにかく説教、ほぼロナクに~

しおりを挟む



『ひでぇ、あそこまで不能になりかねない位のことしたのにその上ねーちゃんに頼んで封印なんて』

 しくしくしくと、封印塚の下から聞こえてくるロナクの声。

「アンタが私が眠っている間協力しないで遊び惚けてたからでしょう」
「私、ガチで過労死すると思ったんだからね」
『すみません、ロナクがすみません』

 ロナは首を下げて謝り続けた。
 頭部がない彼女は首を下げて謝るしかない。

「ほらみなよ、アンタのおねーちゃんマジ泣いてるじゃん」
『うわー! ねーちゃんごめんなさいー!』
『謝るのは私じゃなくて蓮さんにでしょう!』
『うー……蓮ごめん』
「気持ちが入ってないやり直しぃ!」

 蓮は怒鳴った。
 普段ならいいよいいよと済ませる所だが、今回はそうはいかない。
 何せ死にかけるとおもう程酷使されたのだ。

「異形くたばれ──ファーッキンー‼」

 と声を発して暴れまくる程に異形は多く、彼女の底なしのはずの体力を奪っていった。
『だー! 本当、悪かった! 遊び惚けててごめんなさい‼』
「よし、今回はそれで許す、次回同じことしたら許さん」
『俺の頭部砕いて、股間もヤバいことにしたのに⁈』
「シャーラーップ‼」
「元凶の私が言うのもなんだけど、蓮落ち着きなさい。ほら康陽さんの所いっていやしてもらって来たら」
「うー、でも康陽さんも疲れてるし……」
「じゃあ、二人仲良くお布団で休めばいいじゃない」
「うん、そうする」

 漸く落ち着いた蓮は自室へと向かっていった。

「さて、ロナク。アンタ遊び惚けて何してたの?」
『だからいったじゃん、ジンの奴が肉が足りないから悪意ある新興宗教の信者の悪意のレベル上げて肉にして、教祖は異形にしてバラバラにして遊んでたって』
「異形自身とは関わらなかったのね?」
『そうだよ』
「そりゃあ蓮もあんなに血眼になるわけだわ」

 ロナクの言葉に、フエは呆れたように言う。
 そして髪をかき上げてロナクへ言う。

「アンタはしばらくそこで反省してなさい。いい」
『私が反省させます、フエ姉さん』
「ごめんねーロナ」
『うーねーちゃーん』
『ねーちゃんじゃありません、しっかり反省なさい』

 フエはそれを見て息を吐き出すと自室へ戻っていった。




「康陽さん……」
「蓮か」

 蓮は部屋に戻ると、椅子に座っている康陽に抱きついた。

「ごめんね、康陽さんに柊さんとか隼斗さんのお世話任せて……」
「少々、奴らの依存度の高さにげんなりしたが大丈夫だ」

「疲れちゃったから、一緒に寝て欲しいの」
「分かった、俺も疲れているしな」

 そう言って二人は寝間着に着替えてベッドに入り、手をつないだ。
 蓮は幸せそうに笑ってから目を閉じ、そんな蓮に優しく微笑みながら頭を撫でてから康陽は目を閉じた。
 しばらくしてから部屋に静かな寝息が二つ響いた。




「フエ、フエ、フエ……!」
「ごめんね柊さん、寝っぱなしで……で、ちょっとお説教」
「え?」

 部屋に入ると抱きついてきた柊の頭を優しくフエは撫でてから、少し真面目な顔をして説教モードに入った。

「話聞いたけど、康陽さんに言われるまで、ちゃんとご飯も食べようとしなかったし、お風呂にも入ろうとしなかったし、寝ようともしなかったって」
「う」
「私眠る前ちゃんと言ったよね、ちゃんとご飯食べて、お風呂にも入って、寝るようにって」
「……」
「そんなに不安だったの?」

 フエが問いかけると柊はこくりと頷いた。

「もう三回くらいは見てきたから起きるのは分かるでしょう?」
「でもでも、いつ起きるか分からないから不安だったんだ……!」

 不安を吐露する柊を見て、フエはふぅと息を吐き、柊を抱きしめた。

「それは私の異形性の問題だからごめん、不安にさせて」
「フエ……」
「でもね、起きたらガリガリに痩せ細って不衛生で、今にも死にそうな柊さんを見るのは嫌なのよ」
「!」
「それが自分が原因──となると私当分柊さんと顔合わせできない、申し訳なくて」

 フエがそう言うと、柊はフエの肩を掴んで揺すった。

「お願いだからそれだけは! 次からはちゃんと食事も取るし、風呂にも入るし、寝る! だからそれだけは──!」
「うんうん、分かってくれた。ならいいよ、後、明日康陽さんには謝りにいこうね、面倒みてくれたんでしょう?」
「……うん」
「じゃあ、今日は目一杯甘やかしてあげる」
 そう言ってフエがキスを額にすると、柊は蕩けるような表情を浮かべた。
 しばらくして、柊の喘ぎ声が部屋に響き渡った──





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る

電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。 女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。 「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」 純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。 「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」

俺がカノジョに寝取られた理由

下城米雪
ライト文芸
その夜、知らない男の上に半裸で跨る幼馴染の姿を見た俺は…… ※完結。予約投稿済。最終話は6月27日公開

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

転生貴族の異世界無双生活

guju
ファンタジー
神の手違いで死んでしまったと、突如知らされる主人公。 彼は、神から貰った力で生きていくものの、そうそう幸せは続かない。 その世界でできる色々な出来事が、主人公をどう変えて行くのか! ハーレム弱めです。

処理中です...