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蜘蛛の娘が語る~フエの異形性の発露についてと自分について~
しおりを挟む私は安登奈蓮。
一応異形の子等の一人。
最近問題が起きている。
それはフエ姉さんが休眠期間に入る回数が増えたことだ。
異形性の発露を無理矢理押さえ込んでいるのが原因。
押さえ込もうとすると、後で自分にしっぺ返しがくるのに。
で、理由を聞くと、柊さんに嫉妬されたくないのと、零さんへの負担を少しでも軽くしたかったんだって。
私達もその気持ちは分かるけどお説教した。
零さんへの負担を軽くしたいなら寧ろ発露させてヤれ。
とね。
柊さんの嫉妬に関しては後フォローでどうにかしろと。
私達異形の子は異形性を発露しないと苦しむ羽目になる。
フエ姉さんの場合は休眠期間に入って世界中で異形が出てくる羽目になるというとんでも事案だから困りものだ。
異形は「花嫁」を、零さんを狙う。
そうすると護衛が大変になる。
護衛しなきゃならないし、一般人も守らないといけないから大変。
だから──
「「「「フエは異形性の発露を我慢するな‼」」」」
「はぁい……」
しょんぼりした風に言うフエ姉さん。
よかれと思った事が悪い方へと巡ってるんだからあまりよくないだろう。
「次同じことしたら、柊と隔離するからな」
「いやー! それだけは止めてー!」
フエ姉さんが悲鳴を上げる。
フエ姉さんは我慢できるが柊さんの方が心配なのだろう。
「分かったらとっとと、零の所に行ってこい、話はつけてある!」
紅姉さんがフエ姉さんの尻を蹴り飛ばした。
「いで! 本気でけったぁ!」
「いいから行け!」
紅姉さんが怒鳴ると、フエ姉さんは居なくなった。
「念のため、後で確認を取るぞ」
「う、うん」
私は頷くことしかできなかった。
三時間後、フエ姉さんはツヤツヤして帰ってきた。
「確認しなくてもいいんじゃない?」
「いや、してくる」
紅姉さんはそう言って居なくなった。
数分後──
「確認が取れた、三時間ぶっ通しは死ぬかと思っただそうだ」
「あー久しぶりに発散できた!」
「その久しぶりの発散で零が腹上死しかけたんだが」
「げ、マジ?」
フエ姉さんが顔を引きつらせる。
「ああ、マジだ」
そう言って紅姉さんはフエ姉さんの頭を小突いた。
「分かったら、発露したらすぐに行け、いいな」
「はーい」
フエ姉さんはそう言って居なくなった。
「全く世話のかかる姪だ」
紅姉さんはそう呟いた。
本来なら紅姉さんはフエ姉さんの伯母に当たるけど、異形の子等のルールで姉と呼ぶようになっている。
実子ならともかく、姪や甥の場合は妹、弟として扱うということになっている。
ちょっと変わったルールだけど、気に入ってはいる。
血のつながりのない私達でも、一人じゃないと思わせてくれるから。
でも、私は普通の異形の子と違うからたまに寂しさを感じる。
そんな時は──
「よしよし……」
康陽さんにハグして慰めて貰う!
これに限る。
「誰も気にしないさ、お前は彼らの妹であり姉であるんだからな」
「うん……」
異形の子等と違っても異形性の発露はあるから、やはり私も異形の子なんだろうな。
ちょっと違うだけで。
これからも康陽さんと零さんを大事にしていきたいな──
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