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休眠期~異形性故の事態~

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 夢を見る。
 異形の居なくなった世界の夢を見る。
 そこでも私は異形の子。

 柊さんと二人きりで愛を確かめ合う。
 幸せな夢を──




「おい、フエ、ずいぶん寝汚いな」
「んあ」
 起きると紅がフエに向かってそう言った。
「お前の番いはとっくに目を覚まして、そしてふてくされているぞ」
「わー! 柊さんごめーん!」
 柊をフエは抱きしめる。
「……何で今日は幸せそうに寝てたんだ、何を見ていた、零の夢か?」
「違う違う、異形が居なくなった世界で、柊さんといちゃいちゃする夢だって」
 ふてくされている柊にフエはそう返した。
「本当かい?」
「本当」
「じゃあ、寝過ぎた事許す」
「有り難う」
 柊はフエに抱きついた。
「お前ら、いちゃつくのは構わんがフエ」
「何? そんなのあり得ないとか言わないでよね、夢なんだから」
「違う、今日は会議の日だ」
「……マジ」
「マジだ、だから私が迎えに来た」
「Oh,No‼」
 フエは悲鳴を上げて服を着替えて、部屋を飛び出した。
「しばらくフエを借りるぞ、悪いな」
「……分かった」
 少しだけ機嫌よさげな柊に紅はそう言うと紅も部屋の外へと出て行った。




「へ~~フエ姉さんが寝坊なんて珍しい」
「最近眠い日が続いててさぁ、もしかしたらまた休眠状態に入るのかも」
「げ、勘弁してよ」
 フエの言葉に蓮は嫌な顔をした。

 それもそのはず、フエが眠り続ける期間に入ると、「世界」中で異形が活発化し、被害が甚大じゃなくなることが起きるのだ。
 しかもその間に「花嫁」である零を探そうとするから人の被害も増える。
 異形の子等が対応しようとしても被害は減らないのだ。
 しかも、この間に異形が増える。

「休眠ならない方法ないの?」
「あったらとっくにしてるなぁ」
 蓮の言葉に、フエは困ったように返す。
「フエの休眠の件だが、既に『世界』各地に私の『口』を配置している。異形が近くに居たら喰らうようにしている」
「さっすが紅姉さん」
「紅姉さん、いいの? 異形って不味いよ?」
「知ってるが背に腹はかえられない」
「マヨイの触手も各地に配備済みだ」
「用意周到」
「万全の体制で挑んでいると言ってくれ」
「はーい」
「それでは解散」
 皆自分の部屋へと戻っていった。




 それから一週間後、フエは二ヶ月の休眠期間に入り、事態は予想通りの展開になった。
 異形を見つけては、異形の子等は異形を殺し、喰らう。
 マヨイは負傷者を見つけると意識を暗転させ怪我の治療に当たる。

 それを二ヶ月繰り返し──フエは目を覚ました。




「申し訳ない……」
「二ヶ月働きづめだったからな、お前に今度は働いてもらうぞ」
「はーい……」
 諸悪の根源であるフエは仕方ないという顔をし、しょげている柊にキスをしてから部屋を出た──





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