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異形の食事~紅の場合~

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 様々な果実が実る果樹園。
 様々な野菜がある畑。

 それをマヨイは使い魔達を整備していた。
 収穫するものは収穫し、水が必要なものには水と特殊な肥料を与えて育てていた。

「う、しゅうかく!」
 会議室には収穫された作物が机の上に所狭しと置かれていた。
「有り難うマヨイ」
 紅が微笑みマヨイの頭を撫でる。
「うん!」
 マヨイは嬉しそうに笑った。
「それにしても今回は豊作だよね」
 蓮が感心したように言う。
「というかいつも豊作じゃない、こういう時は」
「小惑星を喰らってばかりで味気なかったからな、こういう機会に目一杯食べたい」
 紅が舌なめずりした。
「つーわけでフエ姉さん、よろ」
「え⁈ また私⁈」
 蓮に言われてフエはぎょっとする。
「だってフエ姉さんの後始末いっつも私らがやらされてるんだよ、料理くらいしてよもう」
「紅姉さんいくら食べると思ってるの⁈」
「だからだよ、マヨイは料理できないし、ロナにやらせたらロナクがキレるし、消去法でフエ姉さん」
「蓮は⁈」
「私はみんなに仕事押しつけられていまも仕事中なの‼ 集中させて‼」
「ぐ、ぐむむ……」
「みんな食べたいの袋にしまったら帰って──後の食材は紅姉さんの胃袋行きだからね──」
「「「はーい!」」」
 と、皆いそいそと袋にしまいだす。
 フエも一応袋に欲しい食材をしまう。
 それでも大量の食材が残っていた。
「じゃ、宜しく」
 蓮がフエの肩を叩く。
「ぐむむむ、いつか蓮にもやらせてあげる」
「絶対嫌」
「ぐむー!」
 珍しく反抗期モードの蓮に地団駄を踏むフエ。
「面倒だ、このまま食べて──」
「料理するから待ってー!」
 生で食べようとする紅をフエは慌てて止めた。




 食堂に、食材を持ってきて、フエは料理をし続けた。
 使い魔は料理ができると紅の前に運ぶ。
 紅はソレを異形の口をもって一瞬で食べてしまう。
 綺麗になった器を使い魔は持って行き洗い、拭いて、また料理をのせる。
 それの繰り返しが続いた──

 12時間後──

「うむ、美味かった。フエ助かったぞ」
「そ、それは何より……」
 あれだけあった食材の山はからになり、食堂の食材も空っぽになっていた。
「うむ、私としたことが美味すぎて食べ過ぎたな、食堂の食材を補充してくる、お前は休んでいてくれ」
「そ、そする……」
 疲れ切っているフエに紅はそう言って食堂を後にした。




「……」
 げっそりしたフエが自室に戻って来た。
「フエ?」
「疲れた……」
 そう言って柊に抱きついた。
 そして押し倒して、ベッドに潜る。
「柊さん抱き枕になって、私のこと癒やして」
「構わない、君になら」
 柊は微笑んだ。
 それを見たフエも微笑み、目を閉じた。




「ああ~~! 仕事おわんねぇえええ‼」
「蓮落ち着け」
 一方の蓮は大量の仕事に悲鳴を上げていた。
「フエ姉さんに料理押しつけてもしなきゃやってられないっての!」
「それほど紅への料理は大変なのか?」
「長いときは二日、短くて12時間料理し続けるのよ! 悪夢だ!」
 蓮は声高々と言う。
「……それほどか」
「うん」
「だから紅姉さんの料理の時はフエ姉さんに任せる事にみんな決めてるの」
「何故?」
「何故ってそりゃあ」

「フエ姉さんが、紅姉さんの姪だからよ」

 蓮は何でもなさそうに告げた──





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