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眠り続ける~世界を揺るがす異形性~
しおりを挟む眠い。
「眠っている」のに眠くてたまらない。
何か世界に起きるんだろうか?
「フエが眠り続けているだと?」
「……」
紅の問いかけに、柊はこくりと頷いた。
「……あまり良くない兆候だな」
「どういう意味だ?」
「フエが眠り続けていると、異形が活性化する」
「……」
「被害が増える、が」
「が?」
「今回はフエの異形が各地に出現し、それを喰らっている」
「それなら何も問題ないのではないのか?」
柊の問いかけに紅は首を振る。
「フエの異形状態を見て発狂しない奴は普通は存在しない、番いになるものと『花嫁』以外にはな」
「……」
柊は優越感に浸っていた。
自分はフエの特別なのだと。
「紅姉さん」
「蓮か」
「えっと各地で異形が人を襲って、それをフエ姉さんの異形状態のが撃破してるみたい!」
「やはり、か」
「各地で精神的にやられる人満載!」
「マヨイを派遣しろ、忘れさせろ。私も行く」
「りょ、了解!」
紅に指示されて、マヨイの部屋へと向かっていった。
「全く、不定期的にフエは眠りにつくから分からないんだこればかりは」
「……周期が?」
「そうだ」
紅はそう言って、その場を立ち去っていった。
柊は眠り続けるフエを見つめる。
静かにまぶたを閉じ、胸をわずかに上下させ、眠り続けている。
柊はそっとキスをした。
しかし反応はない。
「眠り姫のようには行かないようだな」
柊は自嘲気味に呟いた。
それから一ヶ月後──
「ふぁああ……」
フエは漸く目を覚ました。
「何か夢見てた気がするけど思い出せないや」
そう呟くと、自分に抱きついていて眠っている柊を見て笑った。
「柊さん、待っててくれてたんだね」
そう言って頭を撫でる。
「おい、第一戦犯」
「げ」
青筋を浮かべている紅が部屋に入って来た。
「全く、お前が眠ってたおかげでこちらは偉い目にあったんだぞ」
「マジで」
「『花嫁』にも被害が出かけたし」
「うっそー!」
「各地で異形が出現、世界の破滅だとか騒がれたぞ」
「そんな気ないんだけどなぁ」
フエは頭をかいた。
そんなフエの頭を紅は叩く。
「もう少し調整できるようにしろ」
「そんなこと言われても、どうにもできない異形性だしー」
「全く、厄介な異形性を引き継いだものだ」
紅は疲れたようにため息をついた。
「異形の子総出に近い状態で対処したんだぞ」
「うへぇ、みんなに謝らないと」
「それと、『花嫁』にもな」
「はーい」
フエは寝ている柊の頭を撫でて離れると、謝罪周りに出かけた──
父たる創造邪神を喰らってしまったが故に、その異形性を受け継いだフエ。
どうにもならないその異形性は、フエを常に悩ませ続ける──
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