クトゥルフちっくな異形の子等の日常~番いと「花嫁」を添えて~

琴葉悠

文字の大きさ
上 下
47 / 238

お食事事情~お肉の調達~

しおりを挟む



「おなかすいた」
「今日のお食事はこちらです」
「おにく、すくないね」
「申し訳ございません、今品切れ中な為……」
「ううん、いつもありがとう、おにいちゃん」
「はい」



「はぁ? 肉の調達だぁ⁈」
 ジンはロナクの元を訪れ、エルの主食である悪人の肉の調達を頼みに来た。
「うーん、でも何か勝手にしたら怒られ……お」
 ロナクは何か思いついたようだった。
「何か思いついたのですか」
「ちょうど、ヤクザの集会があって何か悪さ考えてるから、人肉集めにはちょうどいい」
「何勝手にやろうとしてるのかな?」
「げ⁈」
 ロナクは顔を引きつらせた。
 其処には天敵であり「姉」である、フエが居たからだ。
「まぁ、話は聞いてたよ。最近お肉調達してないしね」
「……」
「私も着いていくから、いい? 殺すのはヤクザだけ、いいこと?」
「有り難うございます!」
「ふー俺が〆られずに済んだ」
「ロナク後でロナから説教あるから」
「げぇー‼⁇」」
 悲鳴を上げるロナクの首根っこを掴み、ジンの手を掴んでフエはその場から姿を消した。




「何者かに俺達ヤクザが殺されている! 死体もほとんど残さずにだ!」
「このままだと俺達が絶滅してしまう!」
「その為に──」
 ヤクザの長のような若い男が高らかに宣言していると──

「そりゃあ、あんた達が居なくなったほうが世の中の為じゃん」

 フエが現れた、そしてジンとロナクがその場に着地する。
「貴様等か、異形の子というのは!」
「正解ー、じゃあ死んで?」
 フエはにっこり笑うと指を鳴らした、九割近くの首と胴体が分けられた。
 倒れていくしたいをジンが、無限に入る袋の中に詰めていく。

「ここでお前達を殺せば!」

 若い男は薬を飲んだ。
 体が変形し、異形へと変貌を遂げる。

「へーそんな薬あるんだ」
 振り下ろした拳を簡単に受け止め、フエは感心したように言う。

「アンタはもう肉にならないから喰うね」
 フエの足下から黒い不気味な肉床が広がる。
 そしてそれは異形と化した男を包み込み、ばきゃばきゃと喰らい尽くした。

 残った一割のヤクザ達が逃げようとしたが──
「残念、お前達のぼうけんはここでおわり!」
 へらへらと笑うロナクが形状変化するナイフで首を落とし、ヤクザ達は殲滅された。

「今の薬、ヤバいね、出所を調べて殲滅しなきゃ」
 フエが笑ってない顔で言う。

「つまりもっと肉を保管できると」
「まぁ、そうなるわね」
「よかった、エル様のお食事が豊かになる」
 喜々として言うジンを見て、ロナクがフエの耳元で言う。

「あの兄ちゃんやばくね」
「元からよ」
「マジかよ」
「とにかく悪意を増大させてお肉調達いそしむの手伝ってあげな?」
「へいへい」
「じゃあ、戻るよ」
 死体を全て袋に収納したジンは頷き、フエの元へ駆け寄る。
 ジンとロナクとフエはその場から消えた。


 それから一ヶ月間。
 謎の失踪事件が多発したが、事前に情報を聞いていた零は依頼を断ったという。
 主にヤクザと、そして売人がほとんどだが、不良などのこどももいたらしい。




「フエ達に目をつけられたんだ、自業自得だ」
 新聞を折りたたんで、零は椅子の背もたれを倒す。
「さっすが零ちゃん、私達の味方!」
「気にするな、で異形は絡んでいたのか?」
「うん、バッチリ。で異形はバリムシャしてきたから」
「そうか」
 フエの言葉に零は頷くと、目を閉じた──





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢カテリーナでございます。

くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ…… 気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。 どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。 40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。 ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。 40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

処理中です...