37 / 238
花嫁は壊れる夢を見る~愛するけれども~
しおりを挟む壊れる。
壊れる。
何が壊れる。
私が壊れる。
「……」
はっと目を覚ますと、レオンが不安げな顔で零を見つめていた。
「所長、無理をしすぎです、しばらく休みましょう」
「……私が休んだ所で異形共は犠牲者を増やすのを辞めてはくれない」
「ですが、それで所長の精神が壊れたらどうするんです!」
「……どうするんだろうな」
「ですから休みましょう、ね?」
「零、そんなに不安なら私が異形の方の対策を行ってこようか?」
ニルスが居住スペースにやってきた。
「犠牲者を出さないと誓えるならな」
棘のある声で零は釘を刺すようにニルスに言う。
「誓って」
「なら行ってこい」
「では」
ニルスはいなくなった。
「いいんですか所長……いや零‼」
「これで馬鹿をやったならフエが即座に〆るだろう」
「それは分かるが……」
「レオン」
蠱惑的な声で零はレオンを呼んだ。
レオンはそれに反応してしまい、近づいていった。
零はレオンの手に触れた。
手袋越しだが、人外の熱を感じた。
「お前、発情期だろう、我慢しているのが丸わかりだぞ」
「っ……だったらそのような声で私を惑わせないで貰いたい」
「いいぞ、貸してやる『花嫁』とはそう言うものだろう?」
零が寝間着をはだけさせて言うと、レオンは零を押し倒した。
「後悔はするな」
「慣れてるさ」
そう言って零は目を閉じた。
どろどろにとろかされるような快楽も。
苦痛と快楽の混じった行為も。
人外の快楽に零は慣れきってしまっていた。
だから人に誓い触れ合いには慣れていなかった。
優しい指での触れる感触、それが人外のものであったとしても。
体への口づけは甘く蕩けるようで。
貫かれる感触は、いつも違うが、度の過ぎた快楽を与えてくれた。
「──そうか、お前は人に近いのだったな」
喘ぎ過ぎてでかすれた声で零は言うと、レオンはのど飴と飲み水を持ってきた。
レオンから零はそれらをうけとると、水を飲んでから飴玉を口に放り込んだ。
「だから言っただろう、後悔するなと」
「後悔などしていないさ、こう言う快楽もあるものかと納得しただけだ」
「これでも加減はしたんだぞ」
「頭がチカチカする位絶頂させられた私にはそうは聞こえないがな」
零がそう言うとレオンはばつわるそうな顔をした。
零は再度目を閉じる。
壊れる。
壊れる。
私が壊れる。
どう壊れる?
快楽と愛欲で壊れる。
すやすやと眠り出した零を見て、レオンはそっと口づけしなかった唇に口づけをし、唇を撫でた。
「本当は私の番いにしたい位恋い慕っているのに、貴方は気づかないだろう」
「でも、それでいいんだ。花嫁は共有しなければならないから──」
レオンの寂しげな言葉を聞いたものは──
「あーあ、真面目ちゃんだねぇ。まぁそこがレオンのいいところなんだけどね!」
創造神否「世界」の夢を見るフエのみだった。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。



転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
トリエステ王国の第三王女によるお転婆物語
ノン・タロー
ファンタジー
あたし、「ステラ・ムーン・トリエステ」はトリエステ王国の第三王女にして四人兄妹の末っ子として産まれた。
そんなあたしは、食事やダンスの作法や練習よりも騎士たちに混じって剣の稽古をするのが好きな自他ともに認めるお転婆姫だった。
そのためか、上の二人の姉のように隣国へ政略結婚に出される訳でもなく、この国の跡取りも兄がいるため、生まれてからこの18年、あたしは割と自由奔放にお城で過ごしていた。
しかし、不自由は無いけど、逆に無さすぎで退屈な日々……。城から外を見ると、仲間と街を楽しそうに話しながら歩いている冒険者の人々が見えた。
そうだ!あたしも冒険者になろうっ!
しかし、仮にも一国の王女が、しかも冒険者をしていると言うのがバレるのは流石にマズイ。
そうだ!変装をしようっ!
名案とばかりに思いついたあたしは変装をし、「ルーナ・ランカスター」と偽名まで使い、街へと繰り出そうとする。
しかし、運悪く、あたしの幼馴染でお目付け役である騎士の「クロト・ローランド」とその妹で専属メイドの「アリア・ローランド」に見つかってしまう。
そうだ、こうなったら二人も連れて行こう!あたしはクロト達を巻き込むと城下街である「トリスタ」へと繰り出す!
こうしてあたし、「ルーナ」と「クロト」、「アリア」との物語が幕を開くのであったっ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる