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花嫁は壊れる夢を見る~愛するけれども~

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 壊れる。
 壊れる。
 何が壊れる。
 が壊れる。

「……」
 はっと目を覚ますと、レオンが不安げな顔で零を見つめていた。
「所長、無理をしすぎです、しばらく休みましょう」
「……私が休んだ所で異形共は犠牲者を増やすのを辞めてはくれない」
「ですが、それで所長の精神が壊れたらどうするんです!」
「……どうするんだろうな」
「ですから休みましょう、ね?」
「零、そんなに不安なら私が異形の方の対策を行ってこようか?」
 ニルスが居住スペースにやってきた。
「犠牲者を出さないと誓えるならな」
 棘のある声で零は釘を刺すようにニルスに言う。
「誓って」
「なら行ってこい」
「では」
 ニルスはいなくなった。
「いいんですか所長……いや零‼」
「これで馬鹿をやったならフエが即座に〆るだろう」
「それは分かるが……」
「レオン」
 蠱惑的な声で零はレオンを呼んだ。
 レオンはそれに反応してしまい、近づいていった。
 零はレオンの手に触れた。
 手袋越しだが、人外の熱を感じた。
「お前、発情期だろう、我慢しているのが丸わかりだぞ」
「っ……だったらそのような声で私を惑わせないで貰いたい」
「いいぞ、貸してやる『花嫁』とはそう言うものだろう?」
 零が寝間着をはだけさせて言うと、レオンは零を押し倒した。
「後悔はするな」
「慣れてるさ」
 そう言って零は目を閉じた。


 どろどろにとろかされるような快楽も。
 苦痛と快楽の混じった行為も。
 人外の快楽に零は慣れきってしまっていた。

 だから人に誓い触れ合いには慣れていなかった。

 優しい指での触れる感触、それが人外のものであったとしても。
 体への口づけは甘く蕩けるようで。
 貫かれる感触は、いつも違うが、度の過ぎた快楽を与えてくれた。




「──そうか、お前は人に近いのだったな」
 喘ぎ過ぎてでかすれた声で零は言うと、レオンはのど飴と飲み水を持ってきた。
 レオンから零はそれらをうけとると、水を飲んでから飴玉を口に放り込んだ。

「だから言っただろう、後悔するなと」
「後悔などしていないさ、こう言う快楽もあるものかと納得しただけだ」
「これでも加減はしたんだぞ」
「頭がチカチカする位絶頂させられた私にはそうは聞こえないがな」
 零がそう言うとレオンはばつわるそうな顔をした。


 零は再度目を閉じる。




 壊れる。
 壊れる。
 が壊れる。
 どう壊れる?
 快楽と愛欲で壊れる。




 すやすやと眠り出した零を見て、レオンはそっと口づけしなかった唇に口づけをし、唇を撫でた。
「本当は私の番いにしたい位恋い慕っているのに、貴方は気づかないだろう」

「でも、それでいいんだ。花嫁は共有しなければならないから──」

 レオンの寂しげな言葉を聞いたものは──




「あーあ、真面目ちゃんだねぇ。まぁそこがレオンのいいところなんだけどね!」


 創造神否「世界」の夢を見るフエのみだった。





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