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重なる発情期~番いがいる組の修羅場~
しおりを挟む「柊さんの分からずやー!」
「わ、私がやる。他の連中に、零に任せたくない」
「そうして無理して次の日から数日倒れたのは誰⁈」
「う……」
「まーたやってるよ。番い持ちは大変だよなぁ、姉ちゃん」
『ロナク、そういうものではないのよ』
「だってよー番いでも発情期の異形の子の相手するのは体に負担かかるんだろ?」
『貴方は、伴侶が別の相手と性行為をしてたらどう思う?』
「え、やった奴殺しちゃうかも」
『それと同じよ、番いの方はそういう気持ちになって嫉妬してしまうのよ』
「なるほどー、じゃあ俺は番い持たなくていーや、花嫁いればいいし」
『全く貴方は……』
ロナクの発言に、ロナは呆れたように手の口からため息をついた。
「頼む、マヨイを連れていかないでくれ!」
「発情期のマヨイの相手をお前なぞが出来るわけが無かろう、分かったら話せ」
「う゛ー……」
マヨイの足を抱え離さない隼斗と、それを足蹴にするクラルが居た。
「銀おにーちゃんのめんどうよろしくね」
リラは使い魔達にそう言うと顔を赤くしたままその場を後にした。
「エル様、私がやりますので……」
「おにいちゃんがするとけがしちゃうからだめ」
「そんな……!」
「もしかして今、発情期の時期?」
『重なってるだけよ』
修羅場が重なっているのを見て、驚くロナクにロナが言う。
「フエ、行かないでくれ……‼」
「もう、何度説明したらわかってくれるの⁈」
「……やっぱり多くね?」
『そうね』
「どうしたんだお前達」
「紅姉さん……あれ、妙にすっきりしてない?」
ロナクとロナの前に紅が現れた、そして妙にすっきりしていた。
「いやなに、久しぶりに発情期が来てな、それで『花嫁』に頼んで相手をしてもらったところだ」
『紅姉さんも発情期だったの』
「ああ、それにしても一人身はいいな、発情期になっても修羅場にならずに済む」
「紅姉さん一人抜け駆けずるい!」
柊をなんとか説得しているフエが紅に駆け寄ってくる。
「今リラが行ってるから抜け駆けじゃないぞ」
「あそこのところ、にいちゃんが人形みたいだからなぁ、意思疎通はほとんどできねぇし」
「他は大惨事のようだな」
「本当だよ!」
フエは顔を真っ赤にしながら怒った。
異形の子等も生きている。
ある意味生物故に発情期と言うものが存在する。
そのときは「花嫁」に相手をして貰うことが傷つけずに済むのだ。
番いに発情期の相手をさせると、番いを傷つけてしまうことが多い故に。
番いと性行為をするときは発情期以外の時。
発情期の異形の子と性行為をするということは──
子を宿す以外に、自分の身を危険にさらすことを覚悟しなければならない。
「俺発情期じゃないけど相手してもらいにいこうかな」
『やめなさい』
ロナクがニヤニヤ言った途端ロナが頭を鷲づかみにした。
「いでででで‼ 姉ちゃんごめん‼」
『零さんの負担を増やさないの、分かる?』
「はぁい……」
最愛の姉に叱られたロナクは、しょげて冷めた紅茶を飲み干した。
「死ぬかと思った」
「零さんごめんね、発情期がここまで被るとは思わなかった」
最後に相手をしたフエが零に謝る。
「シャワー……」
「どうぞー」
風呂場へ行き、シャワーを浴びた零が戻って来る頃、ずぶ濡れの体をフエは拭き、寝間着を着せて、マヨイの果実園でとれたジュースを飲ませてやった。
「ああ、体が少し軽くなった……」
「でしょう? マヨイが手塩にかけて育てた果実達ですもの」
「そうか」
零はそう言ってうつらうつらと眠りかけ始めた。
「できればかぶらない、ように、して、ほしい……」
そう言ってすやすやと眠りについた。
「……できるかなー?」
フエは頭を悩ませた。
次の発情期は皆ずれて訪れた為「花嫁」である零の負担は減った。
一方フエは──
「『夢』なんだから自分の都合良くできればいいんだけど、上手くいかないなぁ」
と、ため息をついていた。
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