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子作りと子育てと巣立ちそして……~私、幸せです~
巣立ち、死別~それでも私は幸せです~
しおりを挟むカムイ、イリアス、ロゼリアは伴侶を見つけているのかどうか気になっていたが、ばっちり見つけていた。
カムイは大人しい伯爵令嬢、イリアスはあがり症な侯爵令嬢、ロゼリアは真面目な侯爵子息と婚約し、結婚式を挙げた。
あがり症の子が結婚式では頑張ったのが分かる位、けなげだった。
そんな兄、姉の式を見てきたヒバナ。
「わたしもあんな式を挙げたい」
と言って居た。
そしてヒバナが入学し、あの子成績最優秀者だった。
宣誓するあの子が誇らしく見えた。
あの子が学園に行っている間、私はアルフォンスの伴侶として仕事を行っていた。
人間と吸血鬼などの種族を仲良くする為に。
必死に、真摯に行った結果、前よりも種族間の諍いも無くなってきている。
私は、その為にここに居るのだと思った。
四年という歳月は圧倒いう間に過ぎた。
彼女は婚約者を連れてきて目を見開いた。
バロウズ公爵家の親戚の子息だったからだ。
バロウズ家の雰囲気そのままの子で義家族が懐かしく思ってしまった。
そして結婚式で、バロウズ公爵家も来賓し、式を挙げた。
「これで、ひとまず子育ては終わりかアトリア」
「義父さん、終わりじゃないですよ。本当に困った時助けてあげる必要がありますから」
「はは、そうだな」
義父さんは楽しそうに笑った。
「ところでマリーロゼは?」
「おう、デキた嫁さんになってるよ、ガロウズの奴も嫁さんにだけは頭があがらねぇ」
「そうなんですね」
私はくすくすと笑った。
「あっちもそうなりそうだな」
式が終わり、ヒバナとやりとりをしている彼を見るとそんな気がしてきた。
そうして時が過ぎ──
夫は、アルフォンスは王の座を退き、マルスが王となった。
マルスは父であるアルフォンスとならぶ賢王と呼ばれ、人々から指示を集めた。
その姿を見て、私達は安心してあの子に任せる事ができた。
隠居した私達は王族の屋敷に皆で引っ越し静かに暮らすようになった。
セバスさんも一緒に着いてきてくれた。
その息子さんも。
息子さんも、セバスさんと同じような感じで良くしてくれた。
「アトリア」
「アルフォンス」
「レオンが呼んでいる」
「分かりました……」
レオンの元へと急ぐ。
人間のレオンとカーラは年老いた。
けれども。
それでも二人は美しかった。
子ども達もやって来た。
「父上」
「ああ、眠いな……」
「レオン」
「アトリアか……」
年老いた手を私は握る。
「疲れてたな……」
「そうですか」
「だが楽しかった……」
思い返すように目を細めて笑う。
「アトリア、どうして泣いてる」
気がついたら私は泣いていた。
「……泣くな、アトリア、安心して逝けないだろう……」
そう言われて私は涙を拭って笑う。
「そうだ、それでいい……アトリア、幸せでいろ……」
そう言って、ずるっと手が落ちた。
セバスさんの息子のミカヤさんが手診断する。
「お亡くなりになりました」
「レオン……‼」
私は大声を上げて泣いた。
みっともないかもしれない、でも大切な人が亡くなったのだ、悲しいのだ。
しばらくしてからレオンの葬儀は行われた。
腹心だが、暗部の人間なので、少数でひっそりと行われた。
それから数年後
「あー楽しかったわ」
ベッドの上でカーラは楽しそうに笑っている。
「アルフォンスとグレンのチェス、グレンの手が全部アルフォンスに読まれてて笑ちゃったわ」
「そうですね」
「でも、明日はそれを見るのは無理そうね」
「カーラ……」
「なんとなくそう思うの」
「そう、ですか」
「アトリア」
「はい」
「幸せでいなさい」
「……はい」
そしてカーラはその言葉通り、翌日眠るように亡くなっていた。
カーラの時も泣いた、心の底から。
二人を見送り、墓参りを四人とする。
寿命があってないダンピールと吸血鬼だけが残った。
「私達は彼らの分まで長く生きましょう」
「はい……」
アルフォンスの言葉に頷く。
私はアルフォンス、グレン、フレア、ミスティと共に二人が望んだ幸せを噛みしめながら生きている。
母さん、父さん、私は今、幸せです。
悲しいこともあったけど、思い出があるから、彼らがいるから幸せです。
愛がまだ分からない私だけども、大切な人といると、幸せだと、大切にされると、幸せだと分かったから、私は幸せです。
これからも──……
Fin
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