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子作りと子育てと巣立ちそして……~私、幸せです~
粛清と子育て~我が子の未来の為~
しおりを挟む私のそっくりさんは、吸血鬼至上主義の貴族達が作った孤児の吸血鬼だった。
私に微妙に似ていたので魔法で顔等をそっくりにし、子どもが生まれた私とダンピールの方を殺して乗っ取ろうとしていたらしい。
まぁ、セバスさんが隠れていてくれて未然に防げたが恐ろしい話だ。
主犯格や実行犯である彼は本来の顔にされ公開処刑された。
至上主義者達も公開処刑で死亡した。
「今のうちに至上主義者をあぶり出さないとな」
という名目で、王宮で貴族達全員を招いてパーティをやることになった。
そこでレオンが至上主義者だけを捕縛して、処分などを行う方針となった。
産後ということもあり、私はセバスさんにつきっきりでお世話をされている。
後、バロウズ公爵……もう一つの家族達が側に居てくれる。
ミルクをあげたり、おしめを替えたりそういうのの一つ一つを教えてくれる。
それと、初孫、初甥姪ということもありでれでれだ。
「アトリア、赤ちゃん達すごい可愛いよ」
「有り難うガロウズ義兄さん」
「すやすやよく眠る子ね……」
「はい、義母さん」
「何かあったらすぐ呼ぶんだよ、いつでも駆けつけるからね」
「はい義父さん」
とても幸せな気分だった。
そこへ──
「アトリア、出産おめでとう」
「レイナさん……」
「レイナ様、よくいらっしゃいました」
「いやいや、それにしてもパーティはすごいな阿鼻叫喚とはまさにこのこと」
それ地獄絵図ってつきません?
とは思ったが言わなかった。
「吸血鬼至上主義者がつり上げられて処刑場に連れて行かれるんだ、ヤバいぞ」
「オウフ」
「レオンの一族の目は偽りを隠し通せないからな」
「さぞや血の惨事となっている事だろう」
私は顔を引きつらせることしかできなかった。
本当、傾国になってるんじゃないかと怖くなってきた。
「子どもは孤児院に、当然教育内容も見直し、また教育者にも吸血鬼至上主義がないか次に調べる事になっている」
「オウフェ……」
なんとも言えない。
「国民から反発が出るのでは?」
「いや、それが以外に『至上主義などこの国にはふさわしくない!』『アルフォンス殿下の伴侶様とお生まれになったお子様の命を狙った当然の報い』とかそういう流れが多くてな」
「……」
国民に恨まれてないようでほっとした。
恨まれてたら申し訳ないどころではない。
「ついでに人間至上主義者もいないか調査が開始されましたよ」
「ついでにですか……」
「まぁ、我が国ではめったにいないですが潜り込んでいる輩がいる場合が居ますから……」
「なるほど」
「全てはアトリア様とお子様の為」
「私とこの子達の……」
私はすやすやと眠る赤ん坊を見る。
そう、この子達は幸せにしなくてはならない。
王族としての責務があるだろうが、それはそれ。
それでも幸せになってほしい。
「幸せになって欲しいのです……」
「分かります、私も精一杯尽くします」
セバスさんが言う。
「それにしても赤ん坊は可愛いな」
レイナさんが私の子をのぞき込みながら言った。
「私の子も昔はこうだったな」
「今はどうしてるんですか?」
「立派に家庭を持って暮らしているさ」
「そうですか……」
「まぁ、アトリア。お前は今は体を大事にするんだぞ」
「はい」
「産後、急に体調が悪くなることがあるからね」
「はい」
もう一つの家族と、レイナさん達が帰り、私は食事を取って仮眠に入った。
そして赤ん坊が泣くと、自動で起きてミルクをあげたり、おしめを替えたりあやしてあげたりした。
子育ては大変だけど、セバスさんが側で手伝ってくれているから有り難いし、アルフォンス殿下達もよく着て子どもの様子や世話をしてくれてるから助かっている。
出産から半年が経過した頃──
「私達もアトリアとの子が欲しいですわ」
「そうですわ」
「ええ」
ミスティ、カーラ、フレアの三人が言い始めた。
「三人ともアトリアは出産を終えたばかりで……」
「そうです、最低で御子様達が乳離れしてから子作りをしてください」
セバスさんがそう言い加えた。
「分かりましたわ、セバスがそういうなら」
「そうですわね、そのときは優しく抱いて差し上げますわ」
「ええ、勿論」
妊娠するのは私ではないはずなのに、なんだろう、こう、なんとも言えないアレがあるんだが説明できない。
それからしばらくして、子どもが離乳食や血を食すようになり、乳離れに向けて特訓が始まった。
まぁ、美味く行かない。
食べはするのだが、それでもミルクを欲しがる。
が、根気強く離乳食への完全移行を目指すころには更に一年が経過していた。
ふうとため息をつき、赤ん坊の世話をする私。
そこでカーラとミスティとフレアがやって来た。
「アトリア、子どもはどう?」
「大分大きくなってきました」
「乳離れは?」
「もう離乳食だけです」
「そう、じゃあそろそろいいわね?」
「は、はぁ」
「アトリア様、御子様の夜の見張りと面倒は私がやりますのでどうかご安心を」
「私もするとも」
アルフォンス殿下がやってきてそう言った。
聞こえていたらしい。
そりゃ扉あけてればな。
えー結果。
一晩で三人のお相手をすることになりました。
しかも三人とも排卵剤使用。
妊娠を確定させる為に。
三日ほど毎晩三人と性行為を行い、一ヶ月後──
「妊娠しております」
「よかったわ」
「やったわ」
「本当に、良かった……」
三人とんも幸せな表情を浮かべていた。
「私達の面倒は私達を小さい頃から世話していた侍女達がやるから安心して」
「彼女達も検査したが問題なかった、大丈夫だろう」
ミスティの言葉にレオンが補足する。
「三人とも安静にしてくださいね」
「分かっていますわ」
「当然」
「流れたら嫌ですもの……」
そう言って三人は自分の部屋に戻っていった。
「よう、アトリア」
グレンがやって来た。
「いつ見てもお前の子は可愛いなぁ」
「有り難うございます」
「でだ、子どもが成長したら俺とじゃなくてまずレオンとやってくれ」
「レオンと?」
「ああ、奴は人間だからな」
「ああ……」
グレンは気長に待つことができる吸血鬼だが、レオンはそうではない人間だ。
この子達がもう少し大きくなる頃には。
そう思うと、出産時のドタバタを思い出してちょっと憂鬱になる私だった──。
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