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幸せにおなりなさい~その言葉を受け止められず~
いちゃもんつけられました~結果向こうは取り潰しと処分に~
しおりを挟む魔の地の浄化が完了したという事で、国を挙げてお祭り騒ぎになった。
それを行った私達は英雄として担ぎ上げられたが、あまり良い気分ではない。
こう、なんか担ぎ上げられるのが気分が良いものではない。
元々私が魔王になりかかったのを自分でどうにかしたから出来たこと。
六名と信頼していたからできた事。
私一人じゃないし、四名もさすがにここまで担ぎ上げられてて困惑している。
アルフォンス殿下は慣れてる感じなのがすごい。
レオンは隠密組織の長の子なので今回名前は出ていない。
存在しない英雄扱いになっている。
将来隠密組織の長になるので仕方ないのだが。
今は長期休暇中だが、学校が始まれば多分憂鬱になるほど色々と言われるだろう。
おべっかも使われたりするだろう。
それが憂鬱だ。
祭りが一時終わり、屋敷に戻ってくると、ニンニクなどを使わない滋養にいい料理が並んでいた。
それに血液もだ。
「皆様、お疲れ様でした。料理を用意したので、どうぞ」
「有り難うございます、セバスさん」
「いえいえ」
それを口にすると、旨みと優しい味が口いっぱいに広がる。
「ああ、美味しい」
「それは良かったです」
「それにしても、大変でしたね」
「ええ、徒歩での移動が……帰りは楽でしたが……」
「皆様が王都を出られた後、王都は何もなく静かでした」
「……」
やはり私が原因だったんだなと痛感する。
「アトリア様、どうかご自身をお責めにならないでください」
「しかし……」
「アトリア様には非がないのですから」
と言われても、非があるようにしか受け取れない。
魔の者達が私を狙って来ていたのは事実なのだから。
「アトリア様、後は貴方様自身の幸せについてのみお考えください」
「幸せ、ですか……?」
「はい、王宮であった事を聞いております、アトリア様のお母様とお父様がご降臨なされたと」
そう、私は死んだはずの両親にあった、抱きしめられた。
そして言われたのだ「幸せになりなさい」と。
食事を終えると、屋敷の外へと向かった。
学園内の中庭に向かう。
お気に入りの場所、とは言いがたいが忘れられない場所でもある。
図書室同様。
「幸せ……」
『アトリア、幸せにおなりなさい』
他者から見れば幸せの絶頂にいるであろう立場にいる私。
だが、私自身は幸せだと感じられないのだ。
復讐も遂げた、魔王にもならずに済んだ。
その二つの出来事を終えてしまったので心の中にぽっかり穴が空いたような状態だ。
「貴方がアトリア・フォン・クロスレインね」
「……? はい、そうですが」
金髪に碧眼の美女、だがきつめの表情をしている。
「殿下をたぶらかした男ね」
「たぶらかしてなどいませんよ」
その言い方には少しむっとする。
「ローゼリア。私の伴侶になんて言い方をする!」
「殿下! ですが事実ではないですか、六人もの男女と結婚したのは学園内では周知の事実!」
女性は声を上げる。
「アトリアは私達をたぶらかしてなどいないよ、もしそうやって悪評を広げるのであればこちらもそのように対処を取らざる得ない」
「何故です、何故そのようなダンピールを!」
「例え君が吸血鬼やダンピールだったとしても、私は君を選ばない」
「何故私では駄目なのです!」
話しぶりからこの女性──ローゼリアとアルフォンス殿下は知り合いのようだ。
そしてローゼリアは私を目の敵にしている。
「君は私の母を追い出した貴族の家のもの、母の温情で家も爵位も失わずに済んだだけ。そんな家の者と結婚したいと思うかね」
「そんな……あんなによくしてくださったのに」
「母が生きていたからだよ、死んでしまった今は君達の顔も見たくない」
そういや、平民だったけど貴族の血を引いてるっていってたなアルフォンス殿下のお母さん。
家を追い出されたのに恨まずにいたのか、すごいな。
「アトリアをこれ以上侮辱するなら、今まで母の温情で見逃していた君の家を取り潰させて貰う」
「そんな!」
「私の伴侶を貴様は侮辱したのだ、それ相応の罰はあってしかるべきだろう」
「っ……」
ローゼリアは目から涙を流しながら逃げていきました。
「い、いいんですか? アルフォンス殿下……」
「勿論だとも、私の悪評がついたらそのときは笑ってくれ」
「笑えませんよ!」
全く笑えない。
翌日、王宮に呼び出された。
嫌な予感しかしない。
「アルフォンス、ローゼリアがお前に罵倒されたと言ってきたが真実を」
「はい、父上。我が伴侶アトリアの事をローゼリアは罵倒しました、たぶらかしたなどといいきつく詰め寄っていました、それに私は怒ったまでです。今まで母がされた事も含めて」
「ふむ」
国王陛下はローゼリア達家族を見る、そして二つの石を取り出す。
私達の方の石は青、ローゼリア家族の石は赤。
「真実の石は青く変化したら真実、赤く変化したら虚偽、フィルムフォード伯爵よ、この一件どう責任を取るつもりだ?」
国王陛下がすげぇ怖い顔で伯爵みてる。
こっちも圧が来て怖い!
「アトリア、大丈夫です」
アルフォンス殿下が私の手を取り、微笑んだ。
少し安心した。
が、それを睨み付けるローゼリア。
勘弁してくれ。
「生前は妻の願いで残してやっていた家だが……」
国王陛下がぎろりと伯爵一家を睨む。
「妻の願いは生きてる間死後は私の判断に任せると言った。ならば決まりだ、フィルムフォード伯爵そ其方の家は爵位返上の上家は取り潰しだ」
「その通り、私の友人であり前王妃であったミーアをの温情を忘れるような輩は私もいりません」
「そ、そんな‼」
「あんまりですわ‼」
「あんまり⁈ 母を失った我が妻を家から追い出し、愛人を即座に後妻にしてのうのうと暮らしていたのを今まで妻の『それでも元家族だから』の願いで見逃していただけだ。妻が亡くなり、その上我が息子の伴侶を侮辱したならもう容赦はせん」
うわぁ、国王陛下怖い。
と言うわけで、アルフォンス殿下の母君の生家基伯爵家は取り潰しに。
平民が次期国王の伴侶をけなしたという事で罪は重くなり、処分される見通しらしい、アルフォンス殿下曰く。
こえーわ!
怖いよ王族‼
でも、王様の反応的にもっと早くに潰したかったのかなぁと思う。
だって、自分の妻を追い出した家の連中だもん、そりゃあ憎くてたまらないだろう。
私も父を奪った奴のこと、まだ憎いし、復讐は終えたけど。
そんでもって今回の件をみんなに話したら──
「当然の処分だ」
とレオン。
「寧ろ遅すぎたな」
とグレン。
「私達のアトリアに失礼な!」
と、カーラ。
「本当、そうですわ」
と、フレア。
「まぁ、処分されるのですからいいでしょう」
と、ミスティ。
平然と言っているように見えるけど──
怒ってますオーラがバリバリ見えてて怖い。
今後、こう言う輩が出ると、こういう問題が噴出するから出ないで欲しいなぁ
私はそう願うしかできなかった──
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