17 / 49
家族を失う~それでも支えられて魔王の運命に抗う~
最悪の事態は回避~貞操とおさらば~
しおりを挟む客室では球体の通信水晶が光り映像を映していた。
アードルノ国王陛下が映っている。
ひぃいいい!
これから何起きるの?
私の処刑⁈
戦々恐々しながら椅子に座らされる。
「安心しろ、アトリア」
レイナさんが声をかけてくれるが何も安心できない。
『其方が我が息子の婚約者で他五人の婚約者でもあるアトリア・フォン・クロスレインだな』
「は、はい、そうです」
私はガクガクブルブル震えながら答える。
『そして魔王にされそうになっている者、と』
「は、はい。その通りでございます」
『ふむ、どうしたものか……』
『貴方、そのように画面越しに圧をかけてはならないとあれほど私が申し上げたのに……』
『おお、ライラ。すまない。』
ライラ王妃殿下もご一緒ですか。
体の震えが止まらない。
『アトリアさん、そう気負わないで。貴方を助ける為の会議なのですから』
「わたしを?」
寝耳に水状態だった。
『貴方の排除を進言したものもいるけど、それでは本当の解決にはなりませんわ』
『うむ、その通りだ。其方を排除すればその六人が怒りにかられ、魔王になる可能性もいなめない』
あー言われてみるとそれも可能性としては高い。
『そこでだ』
「はい」
『其方からの情報は全て伝えて貰った、故に』
『国王として命ずる、その六人の誰とでも良いその避暑地にいる間にまぐわうといい』
はいー⁈
『貴方!』
『ぐぉ!』
ライラ王妃殿下が、アードルノ国王陛下を叩いた。
『もっと言い方があるでしょう!』
『しかしだな正直なところ、これが一番手っ取り早いと思うのだ、虫にかまれたとおもって我慢してくれないか』
「え、えー……」
私は硬直する。
自慰経験もなければ、そういう知識しかない私にどうしろと?
「父上、お言葉ながらアトリアはそういうのに恐怖心を抱いていますですので、他の方法を──」
『考えたいのはやまやまだが、ヴァイエンとかいう魔の者、ついに我が国の聖女達にも手を出そうとしてきおった』
「‼」
ヴァイエンの野郎‼
『聖女達は皆無事だが、急を要する』
「……わかりました」
「「「「「「アトリア⁈」」」」」」
六人が声を上げる。
「私一人の貞操が無くなるのを我慢すればいいのであれば……」
『すまぬな』
通話が終わり、重い空気が部屋を包む。
「アトリア、本気ですか?」
「もう、国の危機まで訪れてるんです、少しでも私が魔王になる可能性は捨てたい!」
「……畏まりました、では行きましょう」
「「「「「ちょっと待った!」」」」」
五人がアルフォンス殿下を止める。
「抜け駆けは無しとおっしゃったはずですわ!」
「そうだ言ったはずだ」
「アルフォンス殿下」
「いくら何でもずるいですわ」
「そうです」
思わず私はレイナさんに救いを求め見たが、レイナさんはあきれ果てて──
「じゃあ六人全員でヤってこい」
「レイナさんー⁈」
レイナさんの言葉を皮切りに、六人全員に引きずられ、あの部屋へと連れて行かれた。
乱交という言葉があるが、あれは乱交じゃない、一対六の不健全な性行為だ‼
乱交とは違うけど、乱交の方がマシかもしれないと思った‼
「……」
童貞も処女も無くなってげっそりして部屋で他の五人が眠っている中寝付けない私の元にシルフィがやってきた。
『おにいちゃん、おつかれさまなの』
「おつかれさまだよほんとう……」
『でも、これでまおうかはふせげるよ、でも──』
「でも?」
『ふくしゅうしんのぞうかで、かたきをころしちゃうかもしれない』
「……」
仇を殺す気はない。
向こうから死んで貰うなら清々するが。
だから、それは不味いと思った。
『あ、そうそう、ていそうなくなったのはむこうにはつたわってないから』
「ああ、そうなのか……」
『だからおかそうとしてくるけどちゅういしてね』
「わかったよ」
『うん、じゃあね』
「じゃあ」
シルフィが消える。
復讐心はまだ心の中に燃えている。
それが暴走すればどうなるか分からないが、恐ろしいことになるのは間違いない。
なんとしてでも、食い止めなくては。
私はそう決意して目を閉じて眠った。
翌朝──
レイナさんに正座させられている六人が居た。
「確かにヤれとは言ったが、もう少し考えてできんのかお前ら」
「「「「「申し訳ない……」」」」」
「謝るのは私ではなく、アトリアにだろう?」
と言ってリビングに来た私を見る。
「アトリア済まなかった、興奮して手加減できなかったのです」
「済まなかったアトリア。俺も興奮して手加減できなかった」
「済まないアトリア、任務の癖でつい」
「ごめんなさいアトリア、私も興奮しきっていて」
「ごめんなさい、アトリア。あんなの初めてだったから……」
「アトリア、ごめんなさい。興奮して何をどうしてたかすら覚えてないくらい大変なことをしたんでしょう、私」
と、それぞれ謝る。
「当分しないでくださいよ……それくらい、私ダメージ受けましたから」
というと、しょんぼりする六人。
アレは快楽地獄だ。
いや、本当。
辞めてください、もう無理です言うほどに興奮する六人組。
体は一つな私。
きつかった。
「すまないな、私の発言が軽率すぎた」
レイナさんも謝ってくれた。
「もう大丈夫ですよ……当分しないですから」
「当分っていつだちなみに」
「結婚してから十年以上経過してからです」
「「「「「「えー⁈」」」」」」
六人が絶叫する。
「六人がかりで襲ってくるなら、です!」
と私は付け加えてその場を後にした。
六人がかりなら、正直二度とごめんだが、一対一なら別に文句はない。
言わないでおく。
「アトリア、さっきの意味ってどういう⁈」
「一対一ならって言う意味です!」
「それならいつ解禁なんだ⁈」
「当分先です‼」
「どうしてなのです⁈」
「一対六の性行為でぐっでぐでになった私の体を癒やしたいんです‼」
色々と行ってくる六人に私は言い返しながら部屋へと戻ってぐったりと横になった。
するとセバスさんが入ってきて鍵を閉めた。
何だろうと思うと、食事を持ってきてくれた。
「ここでゆっくりお召し上がりください。私が殿下達が入ってこないようにしますので」
「セバスさん、ありがとう……」
ちょうど、静かに食事をしたかったので、一人静かに食事がとれて嬉しかった──
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで商売をして生計を立てていく〜
西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」
主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。
生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。
その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。
だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。
しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。
そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。
これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。
※かなり冗長です。
説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?



異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる