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学園入学!~復讐したいのに何故か男女ハーレムが形成された⁈~
母の思い、自分の思い~だから魔王にはなりたくないってば‼~
しおりを挟む翌日、外出届けを出していたので受理され私は、六人と一緒に母の待つ家に向かった。
視線がこちらにまで来ていたたまれなかった。
家の前に着くと、ふぅと息を吐く。
ちゃんとご飯は食べているだろうか。
世話係の人と上手くやれてるだろうか。
考えると色々心配毎があってきりが無い。
「……」
ドアノブに手をかける。
「母さんただいま──」
「アトリアさん、今お母さんの精神状態がよろしくなく……」
綺麗になっている家の中で世話係の人がやってきた。
私は奥の部屋へ行き、ベッドの上で泣きじゃくる母を抱きしめる。
「母さん、どうしたんです?」
「うう……アトリア、許せないの許せないの‼」
母は声を荒げた。
「あの男は既に罰を受けたと言っても、私達は見てもないし聞いても無い! なのに許せと言われた! 許せない、許せない、許せない‼」
「……母さん、私もだよ」
抱きしめて背中をさする。
「うう、ティーダ……何で貴方が殺されたの……愛していたのに、愛し合っていたのに……‼」
「母さん……」
「ティーダを殺すように仕向けた奴らも殺した奴らも全員地獄に落ちればいいんだわ‼ あは、あはははは‼」
狂ったように笑う母。
泣きながら笑う。
やはり許せない。
殺した彼奴を許せない。
そして、母をこんな風に追い詰めた奴らも許せない。
でも。
魔王にだけはなりたくない。
どうにも出来ないジレンマを抱える。
歯がゆい。
「母さん、もう休んで……」
精神安定剤と睡眠導入剤を母に飲ませて、寝るまで抱きしめる。
母が寝息を立てて眠ると、私はベッドに母を寝かせて、部屋を出る。
すると、渋い顔をした六人が居た。
「どうしたんですか?」
わざとらしいかもしれないが一応聞く。
きっと母と私の会話を聞いていたのだろう。
「いや、君の母君の声が聞こえてね……ちょっと説明をした担当の者と話すことにするよ」
とアルフォンス殿下は言った。
「いいんです、彼らにとって許せない私達が心が狭いと思っているんでしょうから」
私は正直に話す。
「すみませんが先に帰ってくれませんか?」
「俺はそうはいかない、お前の監視をし、護衛をしなければいけない」
「……どうぞご自由に」
私はそう言って母の部屋に戻る。
母が目覚めるまで待ち、そして目覚めた母と会話を交わす。
復讐とは無関係の学園でのあったことを話すと母を嬉しそうに喜んだ。
特に喜んだのは、私が五人から求愛されていることを話したときだった。
複雑。
その後、部屋に戻り、綺麗になった部屋で、引き出しから肖像画を出す。
幼い頃、記憶を頼りに済んでいた場所に戻り、見つけた家族の肖像画。
父と母、そして赤子の私の絵。
「……」
母に見せたとき、母は涙を流して苦しんだ。
だから、母が苦しまなくなるまで私はこの肖像画をしまうことにした。
肖像画には美しい母と、美しい父が描かれていた。
何となく、美しいと言われるのは私が両者の良いところを引き継いでいるからかなと、ちょっと自惚れてしまう。
『やはり復讐したいでしょう』
「‼」
ヴァイエンの声が頭の中に響く。
「ヴァイエン……‼」
ヴァイエンが姿を現す。
「貴方のような方が魔王にふさわしい、母君も良いが体が持たない。貴方が魔王にふさわしい」
「くどい、魔王にならないと言っている!」
「では犯しましょう、そうすれば貴方は復讐心に染まり、ふさわしい魔王となる」
体が動かなくなり押し倒される。
「っ……くそ!」
「何も心配いりませんよ、アトリア様」
「何が心配いらないだ魔の者が」
ナイフがヴァイエンの肩にささる。
「ぐぉ⁈」
ヴァイエンは私から離れた、体が自由に動く。
「俺が護衛しているのだ、魔の者の気配などすぐ分かる」
「ふっ、だが一人で──」
「一人じゃありませんが?」
帰ったと思っていた五人が居た。
「アトリアの貞操を奪おうなんて言語道断ですわ!」
「その上魔王にしようだなんて、最悪だね」
「テメェみたいな魔の者と一緒にされかけた俺等としては頭にくるんだよ」
「貴方みたいな下劣な者にアトリアは渡しませんわ!」
「そうですわ!」
「……さすがに六人は分が悪い、此処は引きますが私は諦めないぞ、アトリア……!」
「誰が魔王になるか!」
ばーかばーか‼
心の中で暴言を吐く。
ヴァイエンは居なくなり、ほっとすると五人がわっと駆け寄ってきた。
「アトリア、大丈夫ですか?」
「貞操は? 貞操は無事ですの⁈」
「無事に決まっている、カーラ嬢」
「あの野郎、次あったらすました顔面殴ってやる」
「アトリア、無事で良かったですわ……」
「魔王になんてさせませんわ!」
まぁ口々に色々言っているが、魔王には絶対なりたくない。
が、復讐したい。
復讐したいと思っている限り、あの野郎は私を狙うだろう。
ああもう、どうしろってんだ!
私は心の中でどうにもできない苛立ちをぶちまけた。
その後、母にまた来るからと言って私は六人と共に学園に戻った。
学園に戻ると、アルフォンス殿下が職員を呼び、何かしているようだった。
「ちょっと、私は城に戻ります、その間抜け駆けはしないように」
「アルフォンス殿下に言われたくありませんわ」
「ああ、その通りです」
「そうですわ、この間抜け駆けしようとしたの忘れませんわ」
「そうですわ」
「はははは、手厳しい」
そう言ってアルフォンス殿下はいなくなった。
「……部屋に戻るか、いやその前に食事を……」
私はふらふらと食堂へ向かった。
それにレオンと、グレンがついてきた。
男性寮なので、女子三名は入ってこれない。
「寮の料理は美味しい……」
「俺は血だがその気持ちは分かる」
「吸血鬼は一食、ダンピールは二食、人間は三食……この差は何なんだ」
「それは分からん」
「私もです」
最低二食食べれれば、問題ない。
血なら一食ですむが、それは吸血鬼が優先されるので、ダンピールは人間食になる。
たまに、血を飲まないと駄目なので週に一度は血が飲めるが。
「アトリア、この後吸血鬼用の露天風呂に行かないか?」
「露天風呂?」
「何だ、しらんのか。学園内にあるのだぞ、寮内の風呂もいいが露天風呂はさらに良い!」
「お言葉だが、グレン。アトリアの身の安全を考えると寮内の多くが利用している寮内の風呂がいいと思われる」
「むっ」
露天風呂かー吸血鬼用だから赤いんだろうなぁー。
「吸血鬼やダンピールが露天風呂を利用をしている。だから問題はないだろう」
「あの、私寮の風呂で結構です……」
そう言ってそさくさとその場を後にした。
寮内のダンピール用の風呂に向かい、体を洗い、流し、風呂につかる。
「あー……気持ちいい……ところで何で居るんですか」
「護衛だからだ」
「あの、その口隠してるの何です? さっきまで何も無かったはずでは?」
「気にするな」
と言われると気になるが、レオンには苦手意識もじゃっかんあるので聞かないことにした。
二人部屋に戻り、私は疲れたのでベッドで眠ることにした──
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