TS転生した恋愛感情が分からないダンピール~ヒロイン不在の乙女ゲームの世界で私は魔王になんてならないしハーレムも逆ハーレムも勘弁して!~

琴葉悠

文字の大きさ
上 下
4 / 49
学園入学!~復讐したいのに何故か男女ハーレムが形成された⁈~

意図せず絡まれまくる~ヒロイン不在でどうなるんだこれ~

しおりを挟む



 夕食を取る為、食堂に向かい、食事を貰って一人席に着くと隣に誰かが座った。
 何も言わず。
「アトリア・フォン・クロスレインか」
「は、はい。そうですが……」
「アルフォンス殿下に気に入られているようだな……」
「は、はは、まさかそんな」
 視線をそらす。
 黒の短髪に、黒目と金色の目のヘテロクロミアの男性。
 この人物、私知っている。

 レオン・アルフォード。

 この国の隠密組織の長を父に持ち、将来隠密組織の長になる為訓練をしている人物で人間。
 そしてアルフォンス殿下の護衛──

「貴殿のように、復讐心のある輩とアルフォンス殿下を付き合わせたくない」
「……なら殿下にそうおっしゃってはいかがです?」
「進言してもお聞きにならないから貴殿の方にアプローチしているのが分からないのか?」
「はぁ、そういうことで」
 私はグラスの血を飲み干す。
「分かりました、アルフォンス殿下に私から言いましょう。それで駄目なら諦めてください」
 正直私は諦めている。
「了解した」
 そう言って、彼は食事を終えて去って行った。

 何となく夜風にあたりたくなり、中庭に向かう。
 するとアルフォンス殿下がいた。
 アルフォンス殿下は私に気づくと喜色満面の笑みで駆け寄ってきた。
「アトリアではないか! 奇遇だな。貴方も夜風に当たりに?」
「ええ……」
 そう言ってから私は本題に切り出すことにした。
「アルフォンス殿下、私のように復讐心を持つ輩と関わらないほうが御身の為です、関わり合うのはこれきりにしましょう」
「何を言う⁈」
 ほーらね、やっぱり否定されたよ。
「さてはレオンだな。彼奴め。余計な事ばかり! 私はアトリアを好いている! だから関わりたいのだ!」
「え、えー⁈」
「この国では同性同士でも結婚し子を持つ事ができる、其方との子どもはさぞや良い子だろう」

 ちょっとちょっと、勝手に妄想広げないでくださいませんか⁈
 この王子様⁈

「何を言ってるのですかアルフォンス殿下⁈」
 あ、レオンが姿を現した。
「平民のダンピールですよ⁈」
「それがどうした、私の母も平民だったぞ!」
「お妃様は平民でしたが、貴族の血を引いておられました!」
「ならば吸血鬼の血を引くアトリアは問題なかろう!」
「う……!」
 そこ言い負かされないで!
「あ、あのー私恋愛感情とか性欲とか分からないのでご遠慮いたします! 他の方とお幸せになってください!」
 と言って猛スピードで寮へと逃げる。
 そして自室にこもり、頭を抱えた。

「どうしてこうなった!」

 頭を抱えたままベッドでゴロゴロとのたうち回る。

「ヒロインは不在だし、何故かヒロインが言われる言葉を私が言われるし、どうしてこうなった!」

 そう言って少し考えるも、答えはでず。
 私は疲れたので寝ることにした。

 そして翌朝、顔を洗ってから、食事を取りに食堂へ向かい、食事を終えて歯磨きをして、急いで学園に向かった。
 そして奥の席に座ると──

 何故か、アルフォンス殿下とミスティ、グレンが順番に私の隣にすわった。
 あと、レオンも。

 何かバチバチと空気が怖い。

「これからテストを開始します、テストは次の講義に返しますので」
 そう言ってテスト用紙が配られる。
 問題は全部、ゲームでやったときの内容そのまんま。
 だから答えも分かっている。
 私は答えを全て書いていった。

「終わった者から提出して出て行って構いません」

 そう言われると、私は名前も書いたことと、問題を全て埋めた事を確認して立ち上がり、提出して講義室を後にした。
 次の講義までは大分時間があるから図書館に行こうと思った。
 なので、図書館に向かった。


 そしたら目の前にアルフォンス殿下、ミスティ、グレン、レオンがいた。
 レオンはこちらを睨み付け、他はじっと見つめている。
「あ、あの……本が読みづらいのですが……」
「あ、大丈夫、私達には気を遣わず」
「そうですわ」
「そうだ」

 だー!
 んなの無理に決まってるだろう!

 仕方ないので本を借りて、寮へと戻った。
 自室に戻り、次の講義の時間まで潰してから、講義へと向かう。

「ではテストを返します」

 と、テスト用紙が返却される。
 テスト用紙が返却されると、私は満点だったことに安堵する。

「今回のテストで満点だったのは二人いる。一人はアルフォンス殿下。もう一人はアトリア・フォン・クロスレイン」

 部屋がざわつく。
 私は此処で不味かったかなと思ってしまった。

 でも、わざと間違えるのは嫌だし。

「皆もお二人を見習い勉学に励むように!」
 そういったあと、講義が始まり、いつものように終わる。


 私が講義室から出ようとすると──
「アトリア・フォン・クロスレインは貴方の事かしら?」
 茶色の長い髪に、青い目の女性。
「は、はいそうですが……」
 この女性も知っている。
 テストで満点を取ると声をかけてくる学生──
 カーラ・H・フランソワ。
 フランソワ侯爵の長女。
「アルフォンス殿下が満点なのは理解できるわ。でも貴方は平民、ロクに学のないはずなのにどうして満点を取れるのかしら」

 嫌みか。
 そうだよな、嫌みをいってくるんだよな。

「小さい頃か読み書きは母に教わりましたし、休みは本を読んで独学で勉強していましたので。平民だからロクに学がないと思わない方がいいですよ」
 そう言って立ち去った。

 カーラもライバル兼友になるキャラなのだが、友になるには他のキャラより難易度が高いのだ。
 純血の人間であることを誇っているし、侯爵家の長女として恥じない能力を持ってるからこそ、そうでない人物に負けるのが許せないのだ。
 だが私には知ったこっちゃない。
 面倒なので今回は関わらないようにしよう、そう思った。


 次の講義で後ろに座ると、相変わらずの四人が隣に座っていった。
 気まずい。

「アルフォンス殿下、どうして後ろに座っているのですか」

 カーラが声をかけてきた。
 アルフォンス殿下は満面の笑みを浮かべて。
「アトリアと仲良くなりたいと思って」
「何故そこまで?」
「アトリアの人となりを知れば仲良くなりたいと思うんですよ」
「アルフォンス殿下、その言い方俺たち二人がアトリアの事なんも知らないみたいに聞こえるんですが?」
「その通りだと思うよ」

 また空気がバチバチ、帰りたい。

 が、なんとか講義を乗り切って、そのまま寮へ戻り、食事をして歯磨きをする。

「はぁ、復讐したいけど、そんな余裕がないな……」
『なら、手伝いましょうか?』

 声が響いた、この声は知っている。
 アトリアが魔王になるきっかけを作る──ヴァイエン。
 魔の者だ──





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで商売をして生計を立てていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

ギャル二人が『魔法効果付与《デコ》』で異世界を守るんですけど!? ~最強なんて、目指さない! ギャルは生きてるだけで最強だから!~

椎名 富比路
ファンタジー
 ハッカとチョ子の二人は、手違いで異世界へ転移させられた。  お詫びとして、二人はアイテムに魔法効果を付与する「エンチャント」の能力を授かる。  ハッカには、地球で雑貨類のお店を開くという夢があった。  しかし、地球へ帰る手段はなし。 「だったら、異世界でショップやっちゃえばいいじゃん!」  チョ子の提案で、ハッカは装備に魔法効果付与するサービス店、 「デコ屋」  を開業する!  ギャル二人によるデコが、冒険者たちの装備を彩る!  魔法効果付与で、ネイルアートまでやっちゃうぞ!  最強なんて、目指さない! ギャルは生きてるだけで最強だから!  ギャル二名が織りなす、ちょいゆる異世界転移ファンタジー!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

処理中です...