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学園入学!~復讐したいのに何故か男女ハーレムが形成された⁈~
ヒロイン不在の世界で~どうしてこうなった?~
しおりを挟む「ふぁ……」
目を覚まし、着替えて食堂へ向かう。
食堂は学生が既にいっぱいだが、食堂自体も空間魔法で広くされているので、空いてる場所はあった。
ダンピール用の食事を貰い、隅っこで食事を取る。
目立ちたくはない、復讐はしたい。
ハンターの授業が入ったが、別の教授が教壇に立った。
私が自分の父を殺した相手を学校に告げたからだろう。
「近年は減ってきているが、それでも完全に亡くならないハンターが起こしてしまう悲劇がある、それがなんなのか──アトリア君」
教授が私を指定する。
「愛し合う吸血鬼と人間同士でありながら、吸血鬼が誘拐し、そして手込めにしたと勘違いをして吸血鬼を殺してしまうこと」
「その通りだ、場合によっては子のダンピールさえ殺してしまう場合がある。その際、残された人間にハンターは恨まれ、殺されるという事例もある」
ああ、やっぱりね。
「しかし、アトリア君詳しいね、何か理由があるのかい?」
「私の父が、そうでしたから」
「──それはすまない」
此処までは言って居なかったんだな、だから私を指定したのか。
私は心の中でほの暗い笑みを浮かべた。
その後講義は淡々と進み、終わる。
次の講義まで時間があるなと、思っていると──
「アトリア!」
げ。
「アルフォンス殿下……」
「少し話がしたい、いいかな?」
「……いいです、が」
「それは良かった」
アルフォンスはにこやかに笑い、私の手を取って中庭へと移動した。
「アトリア、聞きたいことがあるのです」
「な、何でしょう」
「アトリアはその相手に復讐したいと思っているのかね」
「──そうです」
「どこの誰か分かっているのかい?」
私は悩んで言うことにした。
「クリス・アルフレイン」
「⁈ アルフレイン教授が……⁈ いや、だが彼はその間違いを犯してしまったと入学式言って居た……君はアルフレイン教授を殺すつもりかい?」
「いえ、殺すつもりはありません」
「では……一体」
「罪悪感の海で溺れ死ねと思っています」
「……」
「アルフォンス殿下!」
そこに、奴がやってきた。
「アルフレイン教授……」
「……」
「アトリア君も、いたのか……アルフォンス殿下、王宮から書類が」
「有り難うございます」
「アトリア君……やっていけそうかい?」
「ええ、有り難うございます『私の父を殺した先生』」
私はにこりと笑って言った。
「……そうか」
奴はそう言って笑って見せた。
「それならいいんだ」
「では失礼します」
私は奴と同じ空間にあまりいたくなくてその場から離れることにした。
「アトリア!」
王子様が私の名前を呼ぶがスルー。
さっさと罪悪感の海に溺れ死ねばいいのに。
そう思いながら、次の講義の場所に向かった。
次の講義も問題なく終える事が出来た。
さて、次の講義までまだ時間がある。
昼食はダンピールだから取る必要もないし、どうしようかと思っていると──
「アトリア・フォン・クロスレイン、だったかしら。貴方」
声に振り向くと日傘を差した吸血鬼の女性が立っていた。
ふわふわと長い銀髪に、青白い肌に、赤い目の女性。
名前は知ってる、ライバルにも友にもなる存在だった女性ミスティ・レイン、レイン伯爵の次女で吸血鬼だ。
日傘はファッションとして使っているらしい、確か。
「はい、そうですが……貴方は」
「私はミスティ・レイン。レイン伯爵の次女よ」
「あの、そのような方が私に何の用でしょう? 私はしがないダンピールですが……」
「それよ、貴方ダンピールなのに吸血鬼よりも美しいじゃない?」
あれ、これダンピールの部分は人間に置き換えるとヒロインが言われる台詞じゃね?
「そのような事は……」
「ねぇ、良かったら私のものにならない? 貴方の身分を考えれば私が嫁に行けば貴族として扱われるようになるわよ?」
「……す、すみません。そういうのはよくわからないので……失礼します‼」
「あ、ちょっと待ちなさい‼」
私は猛ダッシュで逃げ出した。
おいおい、ちょっと待てよ。ヒロイン不在でこんな事態になるなんて⁈
これじゃあ私がまるでヒロインじゃないか‼
男だけど‼
「はー……疲れた、逃げ足速くて助かった……」
「ちょっと貴方!」
赤い髪に金色の目の女性が私を呼ぶ。
「ひゃい⁈」
再び声をかけられ、私はびくびくする。
もう今度は何だよぉ。
「貴方、アトリアね?」
この人物も知っている、「何故そんなにびくびくしてるのです、この学園の学生なら堂々となさい!」と口を出してくるライバル兼友になる存在フレア・アルフレート。
アルフレート公爵の長女でダンピールだ。
「貴方ダンピールでしょう? しかも両親に愛された、どんな事情があれ、そのような者がびくびくしているのが気に入りません、もっと堂々となさい!」
「そ、そんなこと言われましても……」
確かに、人目を気にしてびくびくしていたかもしれない。
そりゃあそうだ、復讐目的でも入学しているんだ、目立ち達ないからびくびくしてしまう。
「あの、要件はそれだけですか……?」
「それもありますが──貴方そんなに美しいんだからもっとそれを磨きなさい! できないなら私が──」
「け、結構です──‼」
「あ、ちょっと待ちなさい‼」
再び鍛えた逃げ足で、逃亡する。
幼少時から顔で狙われてたから逃げるのだけは得意だ。
吸血鬼を奴隷にするのは命がけだが、ダンピールは吸血鬼を奴隷にするよりも楽らしくよく襲われて猛スピードで逃げ回りみんなに助けて貰ったから逃げ足だけは自信がある。
次の講義に出て、そして終わると猛スピードで寮に帰宅した。
すると──
「おい、ここは男子寮だぞ」
と、声をかけてきた相手が居た。
白い髪のオールバックに、青白い肌赤い目の大柄の男性。
この台詞たしか聞いたことがある。
ヒロインが間違って男子寮に来てしまった時の台詞だ。
「いえ、私こう見えて男です……」
「何? それは失礼した……ん、よく見れば貴殿はアトリア・フォン・クロスレインではないか」
「はい、貴方は……?」
「俺はグレン・ゴート。ゴート侯爵の三男だ」
そうグレン・ゴート、吸血鬼の一族の三男。
「は、はぁ……」
やはりおどおどしてしまう。
「それにしても貴殿は美しいな」
「は、はぁ……」
「どうだ、貴殿が良ければ付き合わないか⁈」
「はい⁈ 今なんと⁈」
私は行った言葉に耳を疑った。
「だから、貴殿が良ければ俺と交際を──」
「わ、私恋愛感情とかそういうのわからないので申し訳ございません──!」
そう言って何か危険信号を感じたので部屋へと急いだ。
バタン!
部屋の扉を閉めて、ふぅとため息をつく。
「なんなんだ、私が知っているのと違うぞ?」
と頭を抱える。
「と、ともかく明日だな……そうだ、明日テストがあるんだ」
私は息を吐く。
「入学早々テストとか面倒くさいけどやらないとね」
知識があるのでテストはなんとか赤点回避はできそうだが、余計な事になりたくなかった。
私は自分の目的二つを果たせるか不安になって仕方なかった。
魔王にならずに復讐する、それができるかどうか──
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