1 / 49
学園入学!~復讐したいのに何故か男女ハーレムが形成された⁈~
異世界転生は復讐の味~転生先は地味にハードモードな推しキャラだった~
しおりを挟むその日は曇りの天気の日だった。
過ごしやすい日のはずだった。
私は志嶋司。28歳の会社員です。
生まれつき病弱でしたが、理解がある会社でなんとか働くことができています。
体調が悪ければ休むことができ、家でも作業ができる会社。
もちろん定時であがるようにいわれます。
そんな良い会社に勤めていたのに、朝はなんともなかったのに、心臓に強い痛みが走り、呼吸さえままならなくなり、私は倒れて蹲りました。
意識がぶつんと途切れました。
そして次目覚めた時。
ふぎゃあ、ふぎゃあ。
──え? ここどこ⁈──
「おお、男の子だ、我が妻よ」
「ああ、本当……」
男性に抱かれて、次に女性に抱かれる。
──もしかして、私赤ん坊⁈──
──死んじゃったってこと⁈──
しかも部屋が現代風じゃない、どこなの。
「名前をつけよう」
「ええ」
「……アトリア。アトリア・フォン・クロスレイン。それがお前の名前だ」
「アトリア……良い響きね」
──ヴァー⁈──
──今、アトリア・フォン。クロスレインって言ったよね⁈──
──私がやりこんだゲーム「朝と夜の狭間で~花嫁は誰と踊る~」のサブキャラじゃん‼──
──いや、待て。と言うことは下手すりゃ私は魔王になって倒される可能性があると?──
──そんなの絶対嫌だぞー‼──
ふぎゃあふぎゃあ
「良く泣く子だ、きっと元気に育つだろう」
「そうね、貴方」
混乱して泣く私の事なんか分からずに、両親は愛を確かめ合っていた。
それから半年後──
あかちゃん生活基羞恥心を捨てて生活していると、父が慌てて入ってきた。
「マリーローズ! 急いで裏口からアトリアと逃げるんだ!」
「どうしたのティーダ!」
「ハンター共がやってきた! このままではアトリアまで殺される! 私が引き受けている間に逃げるんだ!」
ちょっと待てこれってアトリアがハンターを憎む原因のイベント内容じゃない?
「私の事はいい、早く」
「貴方、どうか無事で……!」
マリーローズは私を抱きかかえたまま、馬に乗りそのままかけていった。
翌日の朝、山小屋の中で母は、私をベッドに寝かせると、袋から粉々に崩れた赤い結晶を見て崩れ落ちた。
「ああ、ティーダ、ティーダ!」
確か吸血鬼が持つ命の結晶ブラッドストーンだよな、あれ。
アレが壊れたら吸血鬼は死ぬし、吸血鬼が死んだらアレが壊れる。
つまりだ、父は殺されたことになる。
ふぎゃあふぎゃあ
悲しい。
半年とは言え、優しい父の愛を受けた私は悲しかった。
「アトリア、貴方も悲しいの?」
ふぎゃあふぎゃあ
「私もよ……ああ、ティーダ。神よ私たちが何をしたと言うのです……‼」
母は嘆きの涙を流したまま私を抱きかかえ、小屋を後にする。
「ヴァンキッタ王国へ行きましょう……あそこならダンピールも暮らせるはず……貴方の命が狙われなくて済むはず……」
そう言って馬を走らせた。
色々あったが、ヴァンキッタ王国に保護され、私と母は一軒家を貸して貰い暮らす事になった。
赤ん坊の私を背負いながら母は仕事をして、同時に私の世話もして一生懸命だった。
そんな暮らしをしていたから、わずか六年で母は体を壊してしまった。
だから私が母の代わりに働くことになった。
転生した影響か、文字や数字や計算などには問題はなかった。
思った通りの事が書けるし、読めるし。
そんな暮らしを十二年続けて、私は十八歳になっていた。
容姿だけなら貴族に見える、銀色混じりの金髪に、金色の目の青年になっていた、母によく似ている。
「アトリア、ごめんなさいね……貴方にばかり迷惑をかけて」
「母さん、そんなこと言わなくていいんですよ」
その日は母の看病ができる休日だった。
その日家に来訪者が来た。
「アトリア・フォン・クロスレイン君のお宅で間違いないですか?」
ノックして開けて入ってきた茶色の髪に黒い目の人物は──いやこいつは知っている。
クリス・アルフレイン。ヴァンキッタ王国の学園クロスガードの教授で──
私の父の仇だ。
「君は才能がありながら、家庭の境遇から学校に通えていない。それは良くないことだ」
「……どなたですか」
一応知らないふりはする。
「ああ、初めまして、私がクロスガード学園の教授、クリス・アルフレインです」
「クロスガード……あのハンターも輩出しているという……」
「はい、そうです……」
「帰ってください! 私の夫はハンターに殺されたんですよ! 息子を同じような目に遭わせる気ですか!」
母が怒鳴った。
それもそうだろう。
殺したハンターを輩出したかもしれないのだから。
というか目の前に居るし。
魔王になる気のない私は学園に行く気もない、のでさっさとご退場願うことにした。
「クリスさん、昔ティーダと名乗る吸血鬼を殺した事はありませんか?」
「⁈」
クリスの目の色が変わる、驚愕の色です。
「殺したんですね、それは私の父です。母と愛し合って私を育ててくれた私の父です」
「お前がティーダを……夫を……‼」
母がベッドから起き上がり、ナイフを手に取りクリスに襲いかかる。
私はそれは不味いと思い、母を止める。
「アトリア、離して! こいつだけは許さない! 私の、私の愛する夫を殺したこいつだけは!」
「母さん、貴方が殺したら、ここでは殺人罪に問われてしまう! 仮に問われなくとも、クロスガードの教授を殺したとなったらここにはもう居られないんです!」
「う、うう……」
母はナイフを手から落として私の腕の中でむせび泣く。
「帰ってください」
「いや、なおさら帰れません」
「私の母をこれ以上傷つけないでください」
「……私は昔過ちを犯した、愛し合っている二人の片割れを奪ってしまった……殺した時にはもう手遅れだった……だから二度とこのような事例を生み出さない為に、クロスガードの教授として子等に、ハンターになる子には特にそのような悲劇を起こさないようにしているのです」
「だからといって、貴方が犯した罪は消えない。帰ってください」
「……分かりました、今日は帰ります」
「二度と来ないでください」
クリスがいなくなると、私は母を寝かせ、背中をさする。
「憎い……仇がいるのにとれないだなんて……」
母のその言葉に、私は決意した。
「……母さん、もし奴が私の前に現れてまた勧誘したらクロスガード学園に行っていいですか?」
「⁈ 何を言ってるの」
母は飛び起きた。
「奴の前にずっといるんです、そして何度も言ってやるんです、『やぁ私の父を殺した先生、ご機嫌よう』とね。何度も何度も、彼が苦しんで自殺するまで──」
私はほの暗い笑みを浮かべた。
そう許さない、父を殺し、母の心まで傷つけた奴のことを、絶対に許さない──
1
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで商売をして生計を立てていく〜
西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」
主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。
生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。
その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。
だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。
しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。
そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。
これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。
※かなり冗長です。
説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?



異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる