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依存しあう「獣」と王

我儘、おねだり、お仕置き、命令、ご褒美

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 ずるりとブレイドの雄がナカからでていく感触を感じた。
「あ……」
 ナカを精液で満たしてもらったのに、抜かれるのが寂しい、切ないとマティアスは感じた。
 折角ナカが一杯になる位に注いでもらった精液が零れてしまうのも勿体ない。
「まだ……ぬかな、い、で……くれ……」
「あ? どうしてだ、じゃこっちはお預けでいいのか」
 後孔に指がぬるりと入ってくる、腸壁と前立腺を刺激されるのがたまらなく気持ちいい。
「っぁあ……!!」
 喘ぎ声が零れる、マティアスは腸壁が指を締め付けてしまっているのが分かった。

 お預けは嫌だった、こちらも貫いて、突いて大量に注いで欲しい。

「こ、っちも……ほし、い……」
 マティアスは物欲しげな視線で、我儘を口にした。


 マティアスの我儘、子どもがどちらか一つしか選んではいけないと親に言われてどっちもと言う感じの駄々をこねるようなものだなとブレイドは感じた。
 それよりも可愛げはあるし、自分を求めているのが分かって気分が良かった。
 ブレイドが想像するに、女の箇所から自身の雄が抜かれると寂しくなる、切なく感じる。
 そして抜かれると折角孕むくらいナカに出された精液が零れてしまう、それが嫌だと感じているのだと思った。
 だが、自分は人外――それより能力は遥かに高いと思っているが、どこぞの人外の種族みたく男性器を複数本生やしている訳じゃないし、それらのようには、残念ながら生やせない。

 以前何処かで、そういう人外の種族と人型の女が性行為をする見世物を見た記憶があった。
 興奮するというのはなかったが、よく器用に両方の穴に挿れれるもんだなと感心した。

 見世物は色々あった、人型の生き物に卵を産み付けるような生き物達が、見目美しい女や男、需要があるらしいのか屈強な戦士と思われるような男などに卵を産み付けて腹を膨らまさせる見世物もあった。
 巨大で大量の触手を持つ生き物に同じような者達を犯させる見世物もあった。
 思い出すと数が多すぎてキリがない程、「普通」と呼ばれる思考の持ち主が見たら異常な見世物。

 マティアスがそれをされたら自分はどう思うのか、とブレイドは少し考えた。
 人外の種族に二つ生えてる男根で、両方の穴を貫かれて犯されているマティアスを見て興奮するのか。

――殺す――

 ブチギレて、その種族からマティアスを取り上げて、簡単に死なない様に嬲りまくって殺してしまう。

 人型の生き物に卵を産み付けるような生き物たちがマティアスに卵を腹が膨れるまで産みつけたら興奮するのか。

――ふざけるな――

 これにも激昂するだろう、生き物とマティアスを無理やりにでも引きはがして生き物ご臓物をぶちまけるような殺し方をして、マティアスの腹を押して無理やり卵を排出させるだろう、術も使うだろう、卵は全部踏みつぶすし、孵化して産まれたのは踏みつぶしてしまうだろう。

 巨大で大量の触手を持つ生き物にマティアスが触手で犯されているのを見て興奮するのか。

――自分が使うような小型の魔術生物の触手とか下着の裏側に寄生している魔術生物的な触手なら別に構わないが大きさの問題で無理!!――

 触手を切り刻んで、本体を消し炭になるまで燃やすだろう。

 少し考えた結果、どれも無理、興奮しない萎えるどころか激昂してその後そんな事をされたマティアスに自分が何をしでかすか分からない。
 絶頂の拷問で済むならまだいい、もっと酷いことをして結果マティアスの体に何らかの傷を付けたら――ぞっとした、そんな事だけはしたくない。
 マティアスは自分の物だ、だからと言って、針を刺したり、鞭で体を叩いたり、性器や腸内に傷をつける、つけかねない行為をしたいとは思わない。

 最初にマティアスと会った時、拒むなら四肢切断すると脅したが、今思うとやらなくて良かったと心底思ってる。

 やってたら多分、今まで一度もしたことが無い「後悔」をしていると思った。
 色々考えて、現在の自分はマティアスが可愛くて大事で仕方がないし、傷つけるような行為はするのは何か気分が萎えるのでするブレイドは気になれなかった。
 尻を叩いたり、言葉で責めたり、傷がつかない魔術生物や道具で責めたりするのに関しては無問題だった。
 尻を叩かれて、締め付けてきてそれを言葉で責められて恥ずかしがったりする姿なんかはすさまじく興奮する。
 魔術生物や道具に責められて、でも自分では取ったらだめだからと我慢して快楽にじっと耐えたり、いう事をきいてその生物に責められて快感を感じてよがって絶頂したりする姿とかもすさまじく興奮する。

――あー……まぁ、不満かもしれないがそうか道具使えばいいんじゃねぇか――

 ブレイドは短時間で色々と思考している間に、ふと思いついて鞄に手を伸ばす。
 鞄の中に手を突っ込み、自分の雄程ではないが、マティアスが履かされていた下着についている物よりは大きい形状の男根を模した物を取り出す。
 挿れたら、挿れた相手が抜かない限り抜けない代物だ。
「マティアス、不満かもしれないが、これで我慢しな、いい子だろう?」
「……」
 マティアスの表情は何となく不満げだが、我慢してもらうしかない。
 ブレイドは雄を抜いた。
「あ……」
 そしてそれを挿れる。
「ぁ……ぅ……んん!!」
 全てナカに入りきると、その道具と秘孔の接合部に、道具から黒い何かが四方向に少しだけ広がった。
「あ……いや、だ……」
 マティアスは手を伸ばして引っこ抜こうとするが、挿れたブレイドじゃないと抜けない仕様になっているので、微動だにしない。
「ったく、我儘ばっかりの王サマには少しはお仕置きしねぇとな?」
 ブレイドはにたりと笑って、指を鳴らしてマティアスの女の方のナカにある道具に動き出すように指示を出す。
「っ――ぁああ!! ひぅ!! んんぅ!!」
 口から甲高い声を上げ、下腹部をおさえながらマティアスはのけ反った。
 快楽に声を上げて溺れるマティアスの姿に、ブレイドは興奮の笑みを浮かべた。




 マティアスは異物の与える快感に、喘ぎ声を上げて、呼吸を乱し、シーツを掴んだ。
 ブレイドの雄で突かれ、奥まで深く繋がるのとは全く違う刺激。
 強い快感、絶頂を感じてしまうが、マティアスの体と心は「これは違う」と何処か切なくなってしまっていた。
「さて、我儘と欲求不満ばっかり言う王サマには何をしてもらおうかねぇ」
「ぁ……ぅあ」
「――体起こしな」
 ブレイドの命令にマティアスは異物の与える快感と絶頂でうまく動かぬ体を必死に動かして体を起こし、座り込むような体勢になる。
「んぅう!!」
 異物がより深く入り込む、奥をより刺激される感触に強く絶頂し、マティアスはぎゅうとシーツを掴んだ。
 荒い呼吸をして下を向いているマティアスの顔をブレイドの手が掴み上げさせる。
「俺ばっかりが動いてるのも疲れるしなぁ、分かるよな?」
 精液と己の愛液で汚れたブレイドの雄が口の近くに来た。
 マティアスは口を開いて、先端を口の中に咥えた。
 ちゅうちゅうと吸い、先端を舐め、鈴口に少し残っている精液を舐めとる。
 それから一気に残りを咥えこむ。
「っ……っ……!!」
 大きく太い雄、咥えるのは苦しい。
 マティアスは苦しさを我慢しながら、舌で、口で、ブレイドの雄に奉仕を行う。

 付着した精液の味がたまらない、口内に出される液体の味も甘美に感じる。

 マティアスは異物に責められて快感と絶頂を感じながら、口でブレイドの雄に奉仕するのに自分が所有物のように扱われている感じがして心地よかった。




 ブレイドは従順に口淫しているマティアスの頭を撫でる。
「そうそう、イイコだ……そろそろ出すからちゃんと飲めよ?」
「……っん……」
 マティアスはわずかに声を発した。
 その反応に笑みを浮かべて一旦マティアスの膣内を責めている道具を止める指示を出して止めさせる。
 そしてその直後ブレイドはマティアスの後頭部を掴んで更に奥まで咥えこませた。
 そのままマティアスの口内に射精した。
「…っぐ……んぐぅ……」
 ブレイドはマティアスの後頭部から手を離し、マティアスの口内から抜いた。
 口から抜かれたマティアスは一度ぐっと口を閉ざしてから、荒い呼吸をした。
「マティアス、口の中を見せな」
「あ……」
 マティアスは口の中をブレイドに見せた、白い液体がわずかに付着しているのが見えた。
「ようし、イイコだ……」
 ブレイドは笑みを浮かべて、マティアスの頬を撫でると、マティアスはうっとりとした表情を浮かべた、幸せそうな笑みだ。

 日に日に快楽に溺れ、従順に、そして我儘になっていくマティアスがブレイドはいとおしくて仕方なかった。

 普段は「王」とそれに使える「騎士」を互いに演じているが、演じる必要がない状態になれば、ブレイドが「主人」でマティアスは「下僕」へと立場が変わる。
 どこかの店で、「主人」と「下僕」という契約を結んで前戯や性行為を提供する、それを見ることができる場所があった。
 ブレイドは契約は結ばずその様を見て、酒をあおり話を聞くだけだったが、其処の女主人の話は当時は「そんなもんか」と思う程度だったが今なら納得できる。

『主人は下僕を悦ばせてあげなきゃいけない、下僕は主人に服従するけども、要求はしていい、ただ主人が下僕に命令して服従を強いるだけではだめ。ちゃんと悦ばせてご褒美をあげておねだり、お願いを聞いて満たしてあげなきゃ』

 最初は強いるのが強かったが、次第にマティアスはねだるようになってそれを聞いて応えると彼はより服従し、依存し、隷属していき、悦ぶようになった。
 普段の「王」としての状態よりも正直こちらの方が生き生きして見える。

「さて、じゃあまだお預けしてた方に挿れて、大量に注いでやるからこっちに尻向けろ、ああ入れてあるのはそのままだ、良いな?」
 ブレイドの言葉に、マティアスは頷いて己の頬を撫でていた手に口づけをしてから、動き出し、いつもの体勢を取る。
 頭を下げて尻を上げている体勢、四つん這いは快感の所為でできなくなるので、マティアスは最初からこの体勢を取るようになっている。
 ブレイドは綺麗な尻を撫で、ぷっくりとして、縦に割れている後孔に雄を押し当てた。
 そしてゆっくりと挿れていく。
「ふ……う……ああ……」
 甘い声を上げて、マティアスは体を震わせている。
 とんと、奥まで入りきると同時に、ブレイドは再びマティアスの膣内の道具を動くよう指示を出した。
「ん゛ん゛――⁈」
 驚愕を含んだ濁った声を上げるマティアスを見てにたりと笑ってから、腰を動かし始めた。
「あ゛ぁ゛ぁ゛!! ま゛、で、はげじぃ゛!! りょ゛ほう゛い゛っしょはぁ゛!!」
「両方されてないと、されてない方が寂しいんだろ? ほら、ご褒美だ、両方責められた状態でイキまくってよがれ」
「あ、あ゛、あ゛――!!」
 がくがくと脚を震わせるマティアスの尻を時折叩きながら、ブレイドはマティアスを道具と己の雄で楽し気に責め始めた。





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