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壊れゆく貴公子

罰と崩壊

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「あ゛……あ゛……」
 秘所から零れ落ちる液体の感触と、膣内に吐き出される精液の感触に絶望に染まった声をあげる。
 そんなルミエールの精神とは異なり、体はもっとと言わんばかりに強請っている状態にあるのが更に彼を追い詰める。
 膣内はもう精液が入らないというのに、まだ物足りないとばかりにラースの雄を締め付け、腸内は早く貫いてほしいと言わんばかりに強く疼き、両胸の先端からは白い汁が零れている。

 元の男の体で、排泄機関や雄や胸などを弄ばれ、犯される凌辱ならまだルミエールの精神は耐えられただろう。
 たとえ肉欲に堕とされ、それが無い状態が苦痛になったとしても。
 父であるラースが憎悪と怒りをもって自分を犯しているなら、まだマシだっただろう。

 けれども、どれでもない。

 何処か「壊れてしまった」父は、ルミエールへ歪な愛情を向け、自分の体に女性の生殖器官を作らせ、そして子を孕ませ、産ませようと、触手による嬲りでそれで日に日に快楽に溺れ、孕む段階へと変わりつつある膣内を犯すのだ。
 腸内を犯すのは、身ごもった後は胎に術をかけ流れぬようにした後も、自分の為と。
 父はルミエールを二度と自分の手の届かぬ範囲から出さないが故の肉欲。
 身ごもった後も肉欲に堕とされた体を抱く為の行為。

 狂っている、そんな事ルミエールには分かっている。
 だが、逃げる術はなく、わずかな希望の「母の言葉」は未だ伝えられず。
 ただただ、時間だけが過ぎていく。

 ずるりとぬかれる感触、もう今日はここを犯されないとルミエールは少しだけ安堵した、そう思った時ぬるりとした物が膣内に入って来た。
「ひ⁈」
 感触的に自分を犯すあの触手と似ていた。
「アレに早く子を成させたいと言ったところ、私の子限定なら早められる手段があると言われて渡されたものだ。私の精液を元に、お前の卵子を受精しやすくするらしい――ああ、怖いことはない、痛みはない、ただ快楽と絶頂だけが与えられるだけだ」
 ラースの言葉に、ルミエールの血の気が引いた。
 自分の膣内どころか子宮内――その更に触れれぬような場所まで犯して何かしている触手が与える酷い快感に耐えながらルミエールは口を開いた。

 もう一刻の猶予もないと。

「ち、ち、うえ!! はは、うえはあなた――ガァ⁈」

 首につけられている魔具から凄まじい激痛を感じルミエールはのけ反った。
 それでも必死に言葉を紡ごうとしたが声がでない。
「――ルミエール三度目だ。故にお前がアリアドネに関する言葉を口にするのを今後禁じる、でなければお前を殺しかねぬ」
 ラースの言葉に、ルミエールの心が修復ができぬ程の亀裂が入る。

 最後の希望も、取り上げられた。
 自分の末路は――

「あ゛あ゛あ゛いやだ、やめてください!! いやだぁ!!」
 ルミエールは半狂乱になって暴れた。
 恐怖が快感を遥かに凌駕していた、ベッドから転げ落ち、そのまま扉から逃げようとした。

 パチンと指の鳴る音が耳に入ると同時に、今までとは比べ物にならない快感と絶頂にその場に膝をつく。
「~~~~!!」
 女性器に張り付いてる触手を必死になって取ろうとするが吸着力が強く、力を封じられているルミエールの現在の腕力でははがすことはできなかった。
「ルミエール」
 静かだが、嘆きと怒り混じりの声に、ルミエールはびくりと体を震わせた。
「此度の行動は目に余る。少しばかり、仕置きが必要か」
 ラースの言葉にルミエールは恐怖で振り向くこともできなかった。




「いぎあ゛あ゛!!」
「……」
 ラースは床をひっかき、苦鳴を上げて逃れようとしている我が子をじっと見つめた。

 ラースの妻が生きていた頃も、ラース自身に危害を加える者や妻や幼きルミエールを人質にして殺そうとする輩が居なかったわけではない。
 妻は寛大な処置を望んだ。
 ラースは表向きには妻の望み通りにしていた。

 だが、自分の命だけでなく愛する妻と幼き我が子に危害を加えんとする輩をそのまま返す程ラースは慈悲深くはない。
 配下に処罰を任せたら何処からか漏れる可能性がある、故にラースはその愚者達に、最も精神的な罰を与える方法は何か考えた結果が、獣の姿に良く似た異形による性拷問である。
 ラースの命を狙うような人型の者達は、皆このような獣に似た生き物に犯されるのだけはどうやら魔の者や闇の者に犯されるよりも精神的に耐えられない物が多い。
 最初は苦痛が強いが時間が経過すれば快楽へと至るラースが作ったこの異形との行為に耐えきれず、堕ちる。
 異形との行為で基本傷をつける行為は異形に禁じているので、解放された者は傷一つない状態で、精神だけ変えられ、元の場所に戻ることなく、どこかへと去る。
 傷一つない状態で開放すれば、妻には気づかれることなく、処罰することができた。

 妻の望みを聞かずにもっと公に処罰してやればよかったと今では思うが。

 だが、異形を作って置いてよかったと今ではラースは思った。
 あの生き物は痛めつける行為ができない上嫌う。
 配下にルミエールを傷つけさせるつもりもなければ、犯すよう命じるつもりもない。
 かといってラースはルミエールが自分に刃を向けた時に、彼を傷つけた感触を覚えており、その感触が酷く気分を悪くする感触だった為傷つけるような行為はもうできない。
 だから、何度も脅し続けたが、最愛の我が子たるルミエールはラースのその気持ちには気づいてくれていなかった。
 故に、異形を使うことにした、今まで以上に苦痛を与えるのを許可した上で。


「う゛ぎぁあ゛あ゛!!」
 枷の所為で逃げることはできず、ただ、滑稽に床を爪で引っかきながらルミエールは苦鳴を上げた。
 女性器に張り付いている触手はついたままだが、そちらの快楽など分からぬ程の激痛が自分の腸内から生じている。
 今まで挿れられてきたものとは大きさ違えば柔らかさもない。
 触手は太さなどがあれども柔らかく、決して腸内を傷つけるようなものではなかった。
 この異形の生殖器は棘が付いており、それが腸内を容赦なく傷つけいたぶり、今までにない長さと太さがルミエールの腹の中を犯して傷つける。
 出される液体がより感覚を鋭くするのか、痛みの感覚が犯される度に増していく。

 腹が、妊婦の様に膨らみ、床と擦れる。

 異形の接合部はコブのように膨らんで、ルミエールの後孔から注いでいる体液が零れるのを防いでいた為、体液はルミエールの中で増えていく一方だった。

「う゛お゛え゛ぇ゛!!」

 許容量を超えた体液が、白く濁った液体がルミエールの口から吐き出された。
 体液を注がれる度に、ルミエールは嘔吐し、床に白く濁った液体を汚した。

「~~~~」
 ルミエールは顔を涙や鼻水、唾液等でぐちゃぐちゃにし、それでも意識が飛ばぬ状態のまま異形に嬲られ、口から唾液と時折白く濁った液体を吐き出しながら、白目をむきかけていた。
 苦鳴も上げる気力がない、痛みが次第に快楽に変貌していく。
 激痛と強い快感に、もうまともに考える事も出来なくなり、ただ、異形に犯され続けるだけだった。

 とろりと、勃起してないルミエール自身の雄から薄い精液を垂れ流しながら。




 異形にルミエールを犯す許可を出して半日程の時間が経過したのをラースは持っていた時計で確認すると、立ち上がり、異形へと近づく。
「もうよい、離れよ」
 異形は創造主であるラースの言葉に従い、ずるりと生殖器を抜いてルミエールから離れた。
 ルミエールの開いたままの後孔からどろどろと異形の精液と赤い液体が混じって零れだす。

「ルミエール」

 ラースは汚れるのも気にせず、白い液体の溜まりに膝をつき、白目をむいて、声にならない声をあげて、体液でべとべとになっているルミエールの頬を撫で、優しく名前を呼ぶ。
 ラースの言葉にルミエールの目は元の状態に戻り、ルミエールは怯え切った表情になって顔を上げた。
「私のいう事を聞いてくれるか?」
 ルミエールは声にならない声を発したまま頷いた。
「良い子だ、ルミエール」
 ラースは微笑みながらルミエールの汚れた銀色の髪を撫でた。




 ルミエールの心にはもう、「父を救いたい」「母の言葉を伝えなければ」というものは無く、ただ、父ラースへの「恐怖心」と「服従」が支配していた。




「では腹の中の物を全て出さねば、苦しいが我慢なさい」
「んぶ……お゛ぇ゛え゛え゛!!」
 ラースが指を鳴らすと同時に、ルミエールの口と後孔から白く濁った液体と赤い液体が混じったものが吐き出された。
 少しして、ルミエールの腹は元の様に戻った。
 ヒューヒューと呼吸を繰り返すルミエールを抱き上げて、ラースはローブを着せる。
「あれに、治療してもららおう。大丈夫、痛むことはない、それと今日はゆっくり眠っているといい」
 そう言ってフードをかぶせ、その場を後にした。

 いつもなら目を覚ましているとわずかに抵抗を見せるあの生き物の所に来てもルミエールがおとなしい事にラースは満足げに微笑み足を進める。
 一番奥の箇所に来て鉄格子の扉を開けて中に入り、ルミエールのローブを脱がせて生き物に近づく。
「いつもの――と、少し無茶をさせてこの子の腹の中を傷つけてしまった、故に治療も頼む、それと酷く疲れている為今回は眠らせて行うように」
 そういうと無数の太い触手がラースの腕の中のルミエールを抱えて、いつものように座らせ、後孔に入り、女性器に張り付いていた触手をはがして、秘所に入り、口の中に入り、それ以外の触手はルミエールの体を固定する。
 ほどなくして、ルミエールは目を閉ざした。
「さて――」
 その場から立ち去ろうとした触手がラースに絡みついてきた。
 ラースはため息をつき、振り返ると、細い触手がぐねぐねと蠢いていた。
 抗議しているというか説教をし始めたので、ラースはうんざりした顔をする。
「何? 腹の中に明らかに棘とかついてる奴無理やり突っ込んで劇薬流し込んだんだろうお前、だと? いくら何でもやっていいことと悪いことがある? ええい、仕方なかろう、こちらにも色々事情が……何? そんなもの知るか? あんまり酷いことするなら治療しかしないぞ今後、だと? ああ、分かった!! 分かった!! 今後は気を付ける!! くそ、何で私の方が主だというのに!! お前達は自分が殺されるかもしれないのに全く恐れず文句や説教してくるのか……!! 何? 恩はあるがそれはそれ、だと? 全くそんなだから絶滅寸前にまで追いやられたのだぞ!」
 ラースに説教がし終わったのか触手達は戻っていく。
 ラースはため息をついてから、その場を後にした。




 ルミエールは夢を見た、顔の見えぬ女性に頭を撫でられる夢を。
 酷く落ち着くのに、懐かしい声なのに、誰なのかルミエールは思い出すことができままその優しい夢の中に浸っていた――




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