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壊れゆく貴公子
救いの手なんてない
しおりを挟むルミエールはベッドの上でぐったりと横たわっていた。
記憶にない時どうだったのか覚えてないが、ルミエールの様子を見た時、ラースが嬉しいようなのにそれとは真逆の感情の色を宿した表情をしていたのを覚えていた。
記憶にない間のことをラースは何も語らなかった。
ただ、「もう少しで孕めるようになる」と嬉しそうに語っているのにルミエールはぞっとした。
「血の祝い」の期間の所為で腹部の痛みはまだ残り、何処か気だるい感じ等で体は辛い。
時折傀儡が持ってくる果実茶が今ルミエールが口にできる数少ない栄養であり、体の不調を和らげてくれるものであり、そして母との優しい思い出に浸り軋んだ心を少しだけ癒せるよりどころであった。
これを口にすることができるのは「血の祝い」の期間だけだろう、ルミエールは何となくそう感じた。
また、この期間だけあの触手達に体を嬲られずに済む、そして傀儡たちもこの期間中は何か比較大人しい。
ラースも、この期間だけは自分の女の箇所に雄を入れるような行為はしない、血を舐められるのには寒気を覚えたが、抵抗したら何をされるか分からない恐怖から抵抗ができなかった。
だが、女の箇所を犯されない代わり、いつも以上に後孔の方を貫かれ、精を大量に吐き出される。
腹がまるで身ごもった女のように膨らむ程注がれた事もある。
それを愛おし気に撫でるラースの姿にぞっとしたし、そんな体の状態を見てルミエールの心は軋みかけた。
救いの手を差し伸べる者はいない、祈れども救う神は堕ちた、世界は既は屈服させられた。
ルミエールは項垂れる。
自分が「孕む」までに「母の言葉」を伝えられる気がしないのだ。
おそらく、伝えられるようになるころにはきっと自分の心は「壊される」、そんな予感の方が強かった。
酷く、恐ろしく、苦しかった。
「……母上……助けて……ください……」
縋るように、亡き母に助けを求める言葉を口にする。
母さえ生きていれば、母が穏やかに「人」として老い、そして眠るように死んでいたなら、父はこうならなかっただろう。
父は嘆くだろう、悲しむだろう、しばらくふさぎ込むだろう、だが時間が癒してくれる。
だが、母は殺されたのだ。
神の「信徒」を名乗る者達の手によって。
この世に生を受けてからずっと神に疎まれ、世界にさえも否定され続けた父にとっては耐えがたいものなのは理解できた。
きっとルミエールも母の言葉が無かったら父の配下の一人として殺戮をしていただろう。
けれども母の言葉がそれを止めた、だから母の言葉を「最後の言葉」を父に、ラースにルミエールは伝えたかった。
それは、今もできずにいる。
最愛の妻を失い、憎悪と憤怒に染まったラースはもうその時点で狂気に堕ちていたのだろう。
どこか狂っていたのだ。
でなければ――
今まで慈しみ愛していた息子に、子を宿し産む器官を体に作らせ、その上自分との子どもを産ませようなどと普通は考えることはない。
歯向かった罰であったならば少しばかりまだ心が保てた、おそらく最初はそうだったかもしれない、だが今はそうではないのがルミエールはもう分かってしまっている。
父は自分に己の手足となるような者達を産ませる気などない。
ただそう――
失った「幸せな家族」をもう一度取り戻そうとしているのだ。
実の息子であり――最愛の妻の面影を強く残す自分を「妻」の立場に置いて、「子」を産んでもらおうとしているのだ父は。
闇の者や魔の者達も、数が少なかった昔ならば近親で交わり子を成すことが多かったが、数が増えた現在ではあまりしなくなった。
やや「人型」に思考がより「近親」での交わりはあまりしない方が良いものと考えている。
ある種禁忌になったことを、父は、ラースはしようとしているのだ。
これが他の者達であったら誰かが止めるだろう、しかしラースは「闇の王」。
闇の者と魔の者、そして排斥されし者達の最後のよりどころであり「救いし者」であり「王」であるラースに意見するものなど何処にもいない。
ラースが今どのような事をしているかルミエールは何一つしらない。
ラースは何も語らないのだ、かつては母とルミエールによく政等の相談をしていたが、今はそういう事は何一つ語らない。
圧政か、それとも――
ルミエールは考えるのを止めた。
考えれば考える程苦しく、より不安になっていくのだ。
一度壊れた心は未だ僅かな事で酷くひび割れ、己を保つことを難しくさせる。
それほど、ルミエールの心は精神は、酷く弱まり、ひび割れていた。
音もなく、扉が開くのを感じ、ルミエールは体をこわばらせた。
「ルミエール」
父の――ラースの声に、ルミエールは体を震わせた、今は言葉を交わす事すら怖くてままならないのだ。
頬を撫でられる感触に、体がより強張る。
顔をまともに見れない。
「ルミエール、こちらを見なさい」
ラースの言葉に、ルミエールは自分の心臓が酷く五月蠅く鳴り、頬を冷や汗が伝うのを感じた。
「ルミエール」
言葉に圧がこもる。
ルミエールはラースの顔を見た。
背筋が総毛だった。
表情は幼いころ幾度も見た、慈悲深く穏やかで優しい父の顔なのに――おぞましい何かを宿しているのが分かった。
「何をそんなに怯えているのだ?」
するりと下着の中に手を入れられるのが分かる、女の箇所を撫でられるだけで快感を感じてしまう程堕ちた自分の体が恨めしかった。
手が出ていくと、ほんのわずかだけラースの指に赤い液体が付着していた。
「……ふむ、『祝いの血』が味わえるのは今日が終わればしばらくないであろうな、それが惜しい」
ラースは手に付着した液体を舐めとっている。
ルミエールにとってそれは恐ろしい宣告だった。
また、触手達に全身を嬲られ、傀儡たちにも嬲られ、そして父に秘所を貫かれ、膣内に大量の精液を吐き出される日々が訪れることを意味しているからだ。
「まぁ良い、ルミエール服を脱ぎなさい」
名残惜しそうに血を舐めたラースは先ほどの笑みを浮かべたまま、ルミエールに命令してきた。
ルミエールは手を震わせながらシャツに手をかけた。
ぐちゅぐちゅと粘質な音がルミエールの聴覚を犯す。
「……っあ゛、うぅ゛!!」
腸内を嬲る指の形がより鮮明に分かる、締め付け絶頂してしまったことで。
指を抜かれる感触に、ルミエールは荒い呼吸をする。
排泄器官から、性器の一つに変えられ、そして肉欲の火をともされたソコは指の嬲りでは満足できなくなっているのが辛かった。
触手による体の開発の一つとして、本来ならおかしいはずの腸内の液体が潤滑液以上に腸内を柔らかくし、腸壁をより雄が悦ぶような動きをするようにさせ、そしてそれで体が逃れられぬ程の快楽を享受できるようにされたのは、ルミエールは嫌でも理解していた。
「ああ、本当良い体になっているなルミエール」
「~~~~!!」
ずちゅ……と熱はないが、硬く太い――ラースの雄が後孔を貫き腸内を埋めていく感触にルミエールは声にならない声を上げ、手でシーツを掴みのけ反った。
「指での愛撫と、挿れるだけでイク程敏感になって、ほんとうによい体だ」
ラースが秘所を撫でる、其処は何かが張りつけられ、指が入らないようにされているため、撫でられていることだけが分かった。
指などは入らない、だが嫌でも体が快楽に肉欲に堕ち切っているのは分かっていた、酷く秘所が女の箇所が疼くのだ。
「こちらも挿れて欲しがってるようだね、こんなに濡らして」
腸内を嬲っていた手ではない手で撫でたのか、その手は濡れていた。
「でも、今は我慢しなさい。『血の祝い』の時期はとても大事な期間だ、これが終わるまでは胎に関する箇所は大事にしなくては」
「……っ……う、ア……!!」
勃起した雄を濡れたその手で扱かれ、射精させられる。
「孕めるようになった人型の雄共は次第にここが委縮して、精液も作れなくなり、ただの飾りのような物になるが……ふふ安心しなさいルミエール、確かにお前を孕めるようにはするが、人型の雄共のような事はしないよ」
「~~~~!!」
射精したばかりの雄を再び扱かれルミエールは声を上げてのけ反った。
精液を作る箇所を揉まれ、雄を扱かれ、腸内を雄が埋め前立腺を押される状態になっている。
射精させられやすい状態になっている体は、いとも簡単に高みにのぼらされ、射精をさせられる。
「ふむ、扱くだけではもう出ないか」
勃起した雄から手が離れるのを感じた。
快感を通り越して苦痛の状態から解放され、ルミエールは荒い呼吸を繰り返す。
「ほら、綺麗にしなさい」
口の中に己の出した精液が付着した指を入れられる。
ルミエールは諦めたように指を舐めた、精液の味にももう慣れてしまっていた。
舐めとり終わると、指が抜かれる。
「いい子だね、ルミエール」
ラースは微笑んでいるが、ルミエールにはその微笑みは恐ろしい物でしかなかった。
ぐちゅっとより深く繋がる感覚に息を飲む。
「さて、今日もたくさん出してあげよう、何度でも気持ちよくなりなさい」
雄がずるりと抜かれ、そして一気に挿れられるという動作が始まった。
「ア、ひ、ぁ゛あ゛!!」
ルミエールは恐怖の色混じりの嬌声を上げる。
酷い快感、何度も押し寄せてくる絶頂。
どれも、ラースが満足してくれるまで決して終わる事が無いもの。
ルミエールは必死に自分を何とか引き戻し、そして今自分を保たせている「母の言葉」に縋り付いている状態だった。
だが、一度壊れた精神に何かが囁く。
『父の言う通りにして、「母の言葉」を忘れて、快楽に溺れて、そして孕んで子どもを産めば楽になれる』
酷く、おぞましい囁きに、ルミエールの心は軋みかけてた。
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