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語られなかった真実~それは遅すぎた~
しおりを挟む血の海とも言えるような凄惨な状況にニエンテはいた。
領主達に刃向かおうとする者達を粛清した結果だった。
何処を見ても
死体、死体、死体、死体、死体、死体。
死体だらけ。
血を流した死体だらけだった。
だが、ニエンテの足下から黒い液体のようなものが流れ、死体や物を包むと、死体は消え去り、血の痕跡も消えた。
そして何か水のような物をまくとそれは空気中に霧散し、血のにおいを洗い流した。
「さて、風呂入ってサフィールちゃんに会いに戻るとするか」
ニエンテはそう言ってその場から姿を消した。
一人風呂場へ転移し、ゆっくりとお湯に浸かり血の匂いを落とす。
ボディソープで洗い、良い香りをつける。
泡を流してから、サフィールの前に出る姿になり、新しい服を身につけ風呂場から出る。
「おい、サフィールちゃんは?」
「奥方様ならお母様の墓石のある庭園に」
「OK、分かった」
ニエンテは召使い人形にそう言うと、姿をまた消した。
美しく慎ましやかな花々が咲き誇る庭園の片隅で、サフィールは地面に耳を押し当てていた。
「サフィール?」
「! ニエンテ、様」
サフィールは慌てて起き上がった。
「慌てなくて良いよ、どうしたんだい」
サフィールに近寄り、寄り添うように屈み、墓石を見る。
「……お母さんと何かお話をしたかったのかな?」
「……はい、あんなに綺麗に保管されているからいつか目を覚ましてまた何か話してくれるんではないかと……おかしいですよね」
「おかしくないよ、君はそれほどお母様との思い出が大切なんだね」
ニエンテは自嘲気味に言うサフィールの手を握る。
「はい……あの屋敷にはお母様との思い出しかありませんでした……」
「サフィール……」
「……父は私と母の事なんてどうでも良かったのでしょう」
「……私はそう思わないよ」
「え?」
ニエンテも、何故そんな言葉が出たのか不思議だった。
でも、ある事実を知っているからその言葉が出た。
「そのペンダントは?」
「母が父から貰ったもので……父の最愛の人達の写真が入っていると」
「見たことは?」
「ないです」
「見せてくれるかい?」
「は、はい」
イエローサファイアのペンダントを受け取り、をれを開ける。
中に映っていたのは、サフィールに似た女性とイグニス、そして女性が抱いている赤ん坊だった。
幸せそうな家族を切り取っているようだった。
「……今なら見て良いよ」
「え」
ニエンテの言葉に、ペンダントを受け取り中の絵を見る。
それを見てサフィールは言葉を失った。
「これは、父と、母と、わた、し?」
「間違いなく、君のご両親と赤ん坊の君だ」
サフィールはおろおろとし出す。
そして涙をぽろぽろと流した。
「なんで、こんな」
「サフィール」
「あんな、冷たい言葉だったのに、どうして」
「サフィール……」
ニエンテはサフィールを抱きしめた。
サフィールはわんわんと泣き出した。
何故、どうして、と。
会いに来ることもなく、冷たく扱われたのに、愛した証を今更みせられて困惑しているのだ。
「すみません……」
「いいんだよ」
泣きじゃくって濡れたスーツを見てサフィールは謝罪した。
「サフィール、父親がどうして冷たくあしらったか知りたいかい」
「……はい」
「君の命は狙われているからだ」
「え……?」
「妾達が正妻の子である君を亡き者にしようとしている、だからイグニスは君に興味が無いフリをし続け、君を安全な場所──私の所へ妻として送り出し、そして行動に出ようとしたものを一族から亡き者にした」
「そ、そんな……」
「ただ、君への最期の態度に頭が来てね、イグニスをこの屋敷には入れないようにしてるんだ」
「え」
「愛している子にそんな酷い言葉を吐くなんて、と言うわけで仕置きだよ」
「……」
「さて、サフィール」
「は、はい」
「イグニスに会いたいかい?」
サフィールは黙り込んでしまった。
「ゆっくり考えるといいよ」
「ありがとう、ございます」
サフィールはそう言って再びペンダントを身につけた。
「さぁ、食事に行こう」
「はい……」
サフィールはニエンテの手を取り、その場を後にした。
その日、サフィールの食事の量はいつもより少なかった。
「奥方様、具合が悪いのですか?」
「いえ、食欲がないだけです、大丈夫ですから」
「……」
「サフィールはちょっと食欲がないみたいだから、後で食欲の出る料理を用意してあげてくれ」
「はい」
食事を食べ終えたニエンテは言う。
「サフィール、寝室へおいで」
少し暗い表情をしていたサフィールだったが、ニエンテのその言葉に表情を少し明るくして、安心した表情を見せる。
食事を終えて歯を磨き、寝室に戻ると、サフィールとニエンテはベッドに横になり、キスをし合った。
抱きしめ合い、キスをして、ニエンテはサフィールから不安を取り除いてやる。
「可愛いサフィール」
「ニエンテ、様」
「他の誰にも見せたくない位、君は可愛くて愛おしいよ」
ニエンテがそう言うと、サフィールは顔を紅くした、
そんなサフィールのまぶたにキスをしてニエンテはサフィールの服に手をかけた。
服を脱がし、体にキスをし、胸の頂を指でなぞり、唇で愛でる。
「あっあっあ……♡」
サフィールはそれら一つ一つにあえぎ声を零した。
「ニエンテ、様……♡」
「分かってるとも」
黒くなった体から出る二つの雄。
前戯でとろとろと液体を垂らしている秘所と後孔に、それらがゆっくりと入って行く。
ずぷずぷずぷ……
「あっ、あっ♡ おっきぃ♡」
「欲しがり屋さんの君の為だからね」
ずちゅずちゅと音を立てて出たりはいったりを繰り返し始めた。
「あっ、あ──♡‼」
体をびくびくとのけぞらせ、サフィールは絶頂した。
その余韻に浸らせながら、ニエンテはサフィールの体を愛撫する。
「あっ♡ 胸は……♡ そこも……♡」
両胸の頂をこりこりともみほぐし、サフィールの雄をこちゅこちゅとしごいてやっていた。
「あっあ──♡‼」
「胸だけで達するなんて素敵な体だね」
「あっ、まって♡ 出ます、出ちゃいます♡」
「うん、たくさんびゅっびゅしようね」
ラストスパートのように至極速度を上げると、サフィールの雄からびゅるびゅると精液が射精された。
はぁはぁと息をするサフィールに、ニエンテは口づけする。
「可愛いよ、サフィール。愛している」
「私も……愛してます……」
ニエンテの言葉に、サフィールはうっとりと答えた──
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