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触れ合う事が愛とするならば
しおりを挟む「ん……」
サフィールは朝、目を覚ました。
「お早うサフィール、お目覚めかな」
「ニエンテ……様」
「ニエンテでいいのに」
ニエンテがそう言うとサフィール髪を撫でると、サフィールは小さく首を振った。
「どうしてだい?」
「……ニエンテ様は、私の父より偉い、方、ですから」
「私は気にしないのだけれども」
「そう、なの、ですか?」
「そうだよ、私の可愛いサフィール」
ニエンテはそう言ってサフィールの薄紅色の唇に唇を重ねた。
舌を入れて絡めさせれば、サフィールは従順に応じた。
長い間キスをし、口を開放すると唾液が糸となって二人の口を伝っていた。
サフィールはねだるような顔をしていた。
「欲しがり屋さんかな?」
ニエンテはそう言ってサフィールの額にキスをした。
「でも、食事を取ってからだ、それが終わったらゆっくりと愛し合おう」
「……はい」
ニエンテがサフィールの頬を撫でながら言うと、サフィールはうっとりと頷いた。
朝食、ニエンテが大量の料理を食べている横で、サフィールは白いパンとスープだけ食べていた。
「奥方様、その量でお体は大丈夫なのですか?」
召使い人形が問いかける。
「平気です……家にいたときはもっと少なかったから……」
「本当に?」
「はい」
ニエンテが問いかけるとサフィールはにこりと微笑んだ。
嘘ではないようだ。
「どうしてそんなに食が細く?」
「……母が死んでから一人の食事に価値が見いだせなくなったのです」
「そうか……じゃあ、お母さんが生きていた頃くらいには食べられるようになってほしいな」
「努力、します」
「無理強いはしないから、ゆっくりとやっていこう」
「はい……」
ニエンテの言葉に、サフィールは微笑んで頷いた。
「じゃあ、私とサフィールは寝室でゆっくりするから誰も屋敷に入れないように」
「畏まりました」
召使い人形がそう言うと、ニエンテは扉を閉めた。
ベッドでゆっくりしているサフィールの元に近寄る。
「サフィール」
名前を呼べば起き上がり、四つん這いでベッドの上を移動する。
ニエンテはそんなサフィールに近づき、抱きしめ、慈しむようにキスの雨を降らす。
「可愛いサフィール」
そう呼べば、目を閉じ、キスをよりねだるような雰囲気を出す。
ニエンテはそんなサフィールが愛おしくて彼によりキスをしていく。
ベッドに押し倒し、顔だけでなく、首から下へとキスの雨を降らしながら、服を脱がしていく。
首、鎖骨、胸、腕、腹部、脚へどキスをしていく。
「に、ニエンテ様、あまり綺麗じゃないので……」
脚へキスをした途端サフィールは少し慌てたように言う。
「君は全てが綺麗だよ」
そう言ってサフィールの唇に口づけをする。
「んう……」
再度押し倒し、脚を絡ませ合う。
口づけが終わると、サフィールはとろんとした表情になっていた。
「抱かせて欲しい」
「はい……」
頬を撫でて言うと、サフィールは微笑みを浮かべたまま頷いた。
くちゅくちゅと、秘所と後孔をほぐすように二つの手で愛撫しながら他の手で体を愛撫し、サフィールの綺麗な雄をしごいていた。
「あっやっ♡ もう……」
びゅるるるるとサフィールは射精した。
「可愛いね、気持ち良かったかい?」
「はいぃ……♡」
「じゃあ本番といこうか」
サフィールの頬にキスしてニエンテが言うと、サフィールはこくりと頷いた。
ずぷ、ずぷぷぷ……♡
「お゛っお゛っ♡」
膣内と腸内の両方へ太く長い物体が入って来て、サフィールは濁った声を上げる。
ずちゅずちゅずちゅ♡
「あ゛っ♡ お゛♡ んん♡」
度の過ぎる快楽に、サフィールは頭を振り乱した。
「やはり一つずつがいい?」
動くのを辞めてニエンテが尋ねるとサフィールは首をふった。
「両方……下さい♡ 両方……愛してください♡」
「──分かったとも」
サフィールの言葉にニエンテがわずかに悲しそうな顔を浮かべたのに、サフィールは気づかなかった。
ずちゅずちゅずちゅ♡
「あ゛っお゛っ♡ いぐぅ……♡」
サフィールは体ののけぞらせ、雄から透明な液体を拭きだして絶頂した。
同時に、秘所からも透明な液体を噴き出させていた。
ぽたぽたと垂れてシーツやニエンテの体を濡らす。
「今日はここまでにする?」
「もっと……下さい♡」
「分かったとも」
ずちゅずちゅずちゅ♡
「んあ♡ あ♡ あぁ♡」
サフィールは喘ぎ乱れた。
行為はサフィールが意識を途切れさせるまで続いた。
「……」
眠るサフィールをニエンテは寂しげに見つめる。
「君は行為に愛を感じてるんだね、触れられなかったから」
そう言って頬にキスをし、服を纏って、何かの紙をテーブルに置いて、顔を黒い顔に変えて部屋の外に出る。
「来訪者は」
「全て追い返しました、イグニス様も」
「パーフェクトだ」
ニエンテは手をパチンと鳴らす。
「イグニス様にはサフィール様を会わせられないのですか?」
「父親してなかった奴が今更父親面するのがむかつくから会わせない」
「左様ですか」
「何か文句でもあるのか」
「いいえ、全くもってその通りかと」
「まー俺も鬼じゃないからサフィールちゃんが会いたいって言ったら許可だして俺も含めて会う予定」
「二人っきりにはさせないのですか?」
「二人っきりにさせて何かあったら怖いだろう?」
「確かに仰る通りです」
「じゃあ、俺は仕事だからサフィールちゃんのこと頼むわ」
「はい」
ニエンテはそう言って姿を消した。
「ん……?」
サフィールが目を開けるとニエンテはいなかった。
近くのテーブルには紙が置いてある。
読んでみると
『目覚めた時いなかったらごめんよ。仕事が入ったんだ、終わったらすぐ戻ってくる』
サフィールはその紙を大事そうに仕舞い、下着と服を身につけて部屋を出る。
「奥方様、お目覚めでございますか」
「あ、は、はい」
召使い人形がサフィールに声をかけた。
「何をなさいますか?」
「『庭園』に行きたい」
「畏まりました、どこの?」
「母の眠る場所へ」
「畏まりました」
人形はサフィールの手を取り、姿を消した。
花が咲き誇る庭園の一角に墓石があった。
サフィールは手を合わせ、祈るように目をつぶる。
人形はそれを黙って見つめていた──
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