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空っぽな体に注がれる

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 ニエンテはどうした物かと悩んだ。
 サフィールの腹の中に出した自身の精液を処理しようと思ったのだが、サフィールの「心」がそれを拒否しているのだ。
 言葉には出さないが、表情が一気に暗くなってる。

 ニエンテが与える快楽や絶頂と同じように、体内に注ぐ精液を、サフィールは「愛されている」、「幸せに浸れている」という事の証として認識しているからだ。
 快楽や絶頂は消えてしまうのは納得していたようだが、精液に関しては最初に寝ている間に処理してた結果、体に吸収されたと思っていたようで、それに心の中で喜んでいたら、事実は体から知らない内に処理されたり、排出されたりしていたというのを教えられ現在ショックを受けているという状態だ。

――さて、どうすっかなぁ――

 腹を下すまで、待つのもどうかと考えていると――
「っ……」
 サフィールが腹を押さえている、顔が少し痛そうな、辛そうな顔をしている。

――あ、やっべ――

 サフィールの腹が異物――ニエンテの精液を出そうとしているのが分かった。
 つまり、今腹を下しかけている。
「サフィール、処理させてくれないかい、君の体はそういう風にはできていないんだよ」
 優しく諭すように言うと、サフィールは諦めたように頷いた。


――しょ、処理ってこんな、体勢で、する、のか?――

 サフィールは羞恥で顔が熱くなるのを感じた。
 現在サフィールは、頭を下げ、尻を高く上げて、少しだけ股を開くように、尻の穴や女性器などが丸見えになるような体勢を取らされていた。
「処理には色々方法があるけど、起きてる時にする場合この体勢は恥ずかしいよね。うん、だからその体勢をお願いしたんだよ」

――え?――

「ど、どういう、こと、ですか?」
 ちらりと、振り返ってみれば、ニエンテは穏やかで優しい表情のままサフィールの頭を撫でた。
「君が可愛くて愛しいからね、そういう体勢をとってもらうのを見たかったんだ」
「っ……」
 サフィールはふいっと顔を戻した、顔が更に熱くなるのは浴場の温度が原因だとサフィールは思いたかった。




 ニエンテはするりと、サフィールの綺麗な形の尻を撫でてから、指を二本、サフィールの少しずつ縦に割れ、ぷっくりしつつある後孔に粘液を分泌させながら押し込んだ。
「っ……ん……ぅ」
 サフィールの口から甘い声が零れる。
 処理するのを止めて、指でほぐして、突っ込みたい衝動が沸き上がるがぐっと抑えて、腸内に入れた指の先からスライムの様な粘質的な液体を注ぐ。
「んぁ?! や、ま、って、あ、ぅう……!!」
 サフィールはタイルをカリカリと引っかきながら、甘い声を上げる。
 最初寝ている時処理した際もそれなりに声を上げていたが、今はそれ以上に声を上げている。

――ついでだ、腹の中全部綺麗にしよっと――

 ニエンテはサフィールの腹の中にある物体をスライム上の液体に消化、吸収させ、それが全て終わるのを知覚すると、それをひっこめさせ始めた。
「ぁあああああああ!!」
 疑似的な排泄行為かつ敏感になっている腹の中を蠢くスライム上の液体の感覚にサフィールは羞恥混じりの嬌声じみた声を上げていた。
 全て吸収し終えると、ニエンテはずるっと指を抜いた。
 サフィールの状態を確認するが、それで絶頂したのか放心状態になっており、女性器は愛液で塗れ、雄はとろとろと精液をこぼしていた。

――……寝かせてからやりゃよかったかなーこれ?――

「サフィール?」
 声をかけると、タイルにつけた顔を上げた。
 完全に、肉欲に火がついて鎮まらなくなっている顔をしていた。

――やっべ、やらかした――

 ニエンテは悩んだ、ここで性行為に及んでしまうと多分サフィールは再度中に出してもらおうとするだろう。
 そうなると堂々巡りの始まりになる予感がした。
 色々考えた結果、自分の肉体の一部を入れ中に出すが、中に出さないというので決めた。


 熱と疼きが酷くて辛かった。
 鎮める方法なんて分からないし、サフィールはこの熱と疼きの発散方法も一つしか知らない。
 ニエンテに抱いてもらう事だけしか知らない。
 でもこんな「明るい」内からそういう事をするのは、よく分からないが酷く恥ずかしいのとうまく言葉にできない感情がぐるぐるとめぐる。
「サフィール」
 優しい声に、顔を上げると目の前にニエンテが居るのが見えた。
 タイルが黒い何かで――ニエンテの体の一部で覆われている。
「まだこういう行為に慣れてない君にお願いするのは気が引けるのだが、少し私も我慢ができそうにないから――」

「口でしてもらえないかな?」

 口の中に塩っぽい液体が広がる。
 じゅぷじゅぷと後孔と、秘所にニエンテの体の一部が入ったり出たりする感触に快感を感じて、うまく口を動かせない。
 それでも、頭を優しく撫でくれる彼の言葉通りに何とか口や舌を動かそうとする。
 少しずつ、口の中を占領している雄が膨張してるのを感じつつ、ぼんやりと快楽と絶頂浸りの頭で、サフィールは口でニエンテの雄をしゃぶり続けた。

 両方のナカに熱を吐き出されぬ絶頂がもう数えるのが困難な程頭が絶頂で蕩けきった頃、サフィールの口内に、熱い液体が吐き出された。
 どろりとした液体が口内に広がると同時に、口からニエンテの雄が抜かれる。
 サフィールは何故か酷く「甘美」に感じたそのどろりとした液体を笑みを浮かべて飲み込んだ。


「ニエンテ様、貴方馬鹿ですか」
「うん、馬鹿だね、分かってる」
 お湯に浸かってなかったとは言え、裸でも平気な程温かくて湿度の高い浴場でそういう行為をそこそこ長い時間続けたのだ、サフィールはのぼせた状態になってしまった。
 水分を補給した後、サフィールは少し涼しい部屋のソファに横になり、今はニエンテの膝の上を枕にしながら幸せそうな表情で眠っている。
「ですが、サフィール様の前で以前のような口調を使わないようにしたのだけはお褒め致します」
「いや、嬉しくないねぇ」
「太古の言葉で言えば――『ヤリチン』『ナンパ野郎』『寝取り趣味』等のようなあまり宜しくない連中が使うような言葉でしたので」
「……私はそんな連中みたいな言葉を使ってたつもりは無いんだけど……」
「『ヤリチン』に関しては否定できないかと、娼館などサフィール様をお迎えする前はよく行ってましたので」
「……あ――……うん、言われると否定は……いや、それは女の子とか掛け持ちしてやり捨てる最低男であって私はちょっと違うよ」
「では『脳みそが男性器』でできているでしょうか」
「君ら、そういうスゴイ昔の言葉何処で覚えてきたの本当」
「制作者が『ニエンテの野郎太古から生きてるからかなり昔から使う言葉とか覚えさせとこ』という考えが原因です」
「……本当、仕事はいいのに余計なことするなぁ、フォルトは」
 ニエンテはサフィールの頬を体温を下げた手で撫でながら、ため息をつく。
「……君らさ、それサフィールに聞こえてないの分かってて言ってるよね?」
「勿論です、奥方様にはこのような汚いお言葉はお聞かせしたくありません」
「……いや、それは褒めるけど、私への扱いの酷さが……」
「ご安心を、サフィール様が起きている時などは致しませんので」
「うーん、割と複雑」
 無表情のメイドの辛辣な言葉に、ニエンテは眉間を指でつまみ、ため息をつく。

「ん……」
 サフィールが声を上げて、わずかに動いた。
 そして金色の長いまつげを震わせながらゆっくりと目を開ける。
「……」
 ぼんやりとしているサフィールに、ニエンテは微笑みかける。
「サフィール、大丈夫かい?」
「……はい」
 サフィールはゆっくりと体を起こしたが、少しふらついている。
 ニエンテはサフィールの体を支えながら、自分の隣に座らせ抱き寄せる。
「無理させてすまないね」
「……いいえ」
 ニエンテの言葉にサフィールは首を小さく横に振りながら答えた。
「……食事は取れそうかい?」
「……あ……いえ、今は、いいです……あの、少しだけ、寝室で休んでもいいですか」
「勿論だとも」
 ニエンテはサフィールを抱きかかえた。
「え、あ、その……」
「無理に歩いて怪我をさせたくないんだよ、君は私の大事な妻なのだから、そう愛しの妻なのだから」
 ニエンテは戸惑うサフィールに優しい声色で言いながら、額に口づけをした。
「……お願い、します……あの、重くない、ですか」
「軽すぎて心配だね」
 サフィールの不安そうな言葉に、ニエンテはそう答えて、寝室へと転移した。

 寝室につくと、サフィールを優しくベッドに寝かせた。
「眠るかい?」
「はい……もう少しだけ、休みます……ですので、食事の方へ行ってきてください……」
「メイドはいた方がいいかい?」
「その……一人でいたいんです……ああ、でも……」
 サフィールは金色の目でニエンテ見つめてくる。
「……食事が、終わったら、一緒に、いて、くれます、か?」
「勿論だとも」
「ありがとう……ございます」
 サフィールの柔らかで嬉しそうな微笑みに、ニエンテは嬉しそうに微笑んでから、彼の髪にそっと口づけして部屋を後にした。




 一人になり、鍵が掛かった寝室でサフィールはニエンテが口づけした己の髪の部分に口づけをしてから、そっと己の唇をなぞる。
 なぞってから、舌を出して指で触れる。
 茶色い液体――メイドが言うには「麦茶」という和の島国で昔から飲まれる茶らしい。
 それで少し上書きされたのが残念だが、ニエンテの精液を口にできたことが嬉しかった。
 吸収されて、自分の体の一部になってくれる。
 サフィールの「シアワセ」が体に残ってくれて、空っぽな体を満たしてくれるような感覚に、幸せに浸りながら、目を閉じた。

 次はどんな風に彼は何の価値もない自分を「愛してくれる」のだろうか。
 そんな淡い期待を抱いて、甘い眠りに誘われるようにサフィールは目を閉じた。




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