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激しい快楽から、蕩ける快楽へ
しおりを挟む粘質な音と、サフィールの堪えることができずに零れる声が寝室に響く。
「っあ、ひぃ、うぅう゛!!」
膣内への刺激は先ほどニエンテがの言葉では「子宮口」と呼ばれる箇所を軽く触るだけなのに、膣内だけでなく子宮まで「熱」で煮詰められているかのように、より強い刺激を欲しがっているような感覚がしてサフィールの体を苦しめていた。
それだけでなく、排泄器官でしかなかった腸内を、最初は小さな玉のような物達が出入りし、徐々に大きさや、形状が変わっていき、今は男根の形をしたものが貫いている。
下品な粘質的な音が聴覚を犯すようで頭がおかしくなりそうだった。
苦しいのならまだ救いがあったが、腸内は中を蹂躙するそれに、サフィールは快感を感じ、もう幾度も絶頂にのぼらされていた。
絶頂には何故か至ることができない膣内、絶頂に何度ものぼらされている腸内、二つの感覚がサフィールの頭をぐちゃぐちゃにしていく。
「サフィールちゃんはお尻の方をいじめられるのが好きなのかなぁ♡ もう俺のにすっごいしゃぶりきてるよ♡ でも女の子の方もそろそろ我慢できないんじゃない? すっごいだらだらと愛液垂らして俺の指締め付けてきておねだりしてるよ♡ 挿れて欲しいって♡」
ニエンテの声にサフィールは必死に頭を振る。
――嫌だ、嫌だ!!――
「我慢は毒だよ♡」
強い刺激を膣内に与えられる。
「~~~~!!」
ガリガリとニエンテの黒い体を引っかき、のけ反りながらサフィールは絶頂した。
サフィールの美しい爪と指はニエンテの体を引っかきすぎた影響かボロボロになり、血で滲んでいた。
「あ、これはちょっと不味いなぁ」
手を黒い物体に包まれる、同時に手が指が全く動かせなくなった。
「俺はサフィールちゃんが怪我するのを見たいわけじゃないんだよね」
「っふ……んぐぅ……」
口の中にねっとりとした液体がまとわりついている指が入ってくる。
サフィールが舌を噛むなどの行為を防ぐかのように。
液体がサフィールの舌に付着した。
味覚を感じなかった舌がその液体を「甘い」と感じた。
舌が勝手に動いてその液体を、指を舐めはじめていた。
それが、どんな効果のある液体かなど理解せずに。
「ふ……うァ……」
口から指が抜かれ、サフィールは体を震わせた。
――あ、な、にか、おか、し……あた、ま……が、ぼー……と……する――
――からだ、を……さわられるの……が……きもち……いい……――
膣内からは指が抜かれ、腸内も男根らしき物体は抜かれ、ただ体を撫でられているだけの感触に、サフィールは喘ぎ声を溢しながら体を震わせるだけだった。
最初のものとは違う、優しい手つきで体を撫でる感触。
性器には決して触れてこない。
――あ、あ、た、り、な、い――
無垢な体には刺激的すぎた強い快楽と絶頂で染められ熱を持ち、その熱に犯された頭は、触るだけの優しい快感では「物足りない」状態になっていた。
サフィールの男根は半勃ち状態でとろとろと液体を垂らし、女性器は切なげに疼いて、液体を滴らせ、腸内もずくずくとまるで締め付けるものを欲しがるように蠢いている感覚がサフィールを苛んでいた。
普段の状態のサフィールならきっと冷水を被るなり、睡眠薬を飲んで寝るなどしてなんとかその状態が収まるのを待つ、それから逃れようとするだろうが、今のサフィールはそれが全く考えられない状態にあった。
「サフィール」
優しくて、蠱惑的な男の――ニエンテの声が耳に入った。
「どうして欲しい?」
額に口づけをして、優しく髪を撫でながらニエンテはサフィールに訊ねてきた。
苦しい、足りない、欲しい。
そう思うが、サフィールの頭は「強請る」という事がある意味欠けていた。
強請るような「我儘」、我儘は亡き母や召使い達をいつも「困らせて」悲しそうな表情をさせていたのだ。
『どうしておとうさまはあまりあいにきてくださらないのですか? かあさま、わたしもおとうさまにあいたいです』
『――ごめんなさいね、サフィール。あの人は私達に会いたくても、中々会うことができないの』
『何故、私は屋敷から出てはいけないのだ? 何故? 何故父は母が亡くなった途端私の外出を禁じるように言ってきたのだ? 何故?』
『申し訳ございません、サフィール様』
望んでなくても、物は与えられた。
だが「望む」ことはほとんど、叶えられることはなかった。
だから「強請る」ことや「我儘」「望む」そういう事をしない様にしてきた。
わずかに望んでしまった「父からの愛情」すら――あんな形で「そんなものはない」と突きつけられたのだ。
何も望まない、求めない、ただ、今の環境で大人しくしていればいい、否今の環境で「我慢」しなければならない。
望んだって、何も、与えられない。
なら、何も望まない方が良い、我慢していればいい、それが一番、楽だから。
だから、サフィールはただ、物足りない快感に声を上げて、体を震わせるだけだった。
「――ああ、可哀そうに」
哀れむような声が聞こえた。
「皆君に耐えることを我慢することを強いてきた、だから我儘の言い方も、お願いの仕方も忘れてしまった、言ったところで誰一人叶えてくれる者はいなかったから」
ニエンテは優しくサフィールの頬や頭を撫でながら、美しい体に触れる。
「――確かに私は君をこの城の外から出してあげることはできない、だって城の外は危険だからね、私の城の周辺は特に、だから余程の理由がある連中じゃなきゃ来やしない位だからね」
「う……あ……」
「でも――それ以外、それ以外で君が何かを望み、それを願うのなら、私が叶えて上げれる願いならいくらでも叶えてあげよう」
ニエンテの黒い肉体の中に取り込んでいた傷だらけになったはずのサフィールの手をそっと握って口づけをした。
爪がひび割れ、血だらけになった手はなく、美しく綺麗に爪を切りそろえられた白い手がそこにあった。
「私は君を愛してあげよう、君以外の存在はもう抱かない、君だけが私の妻だ。私の可愛いサフィール、愛しているよ」
ニエンテは優しい声色でサフィールに囁きかけた。
サフィールの薄紅の唇が喘ぎ声を溢すとは異なる動きをし始めた。
「……た……り……な……い」
ニエンテは慈悲と慈愛に満ちた笑みを浮かべながら、先ほどまで触らなかった性感帯となっている箇所への愛撫を始める。
無数の手がサフィールの体全てを柔らかく、甘く愛撫し始める。
「あっうぅ……た、り、な、いぃ……!!」
「じゃあ、強くするよ? いいかい?」
「……」
ニエンテの問いかけに、サフィールは首を僅かに縦に振った。
ニエンテは優しく微笑んだまま、今だ貫いていない秘所と、先ほど散々貫き、まぐわいに使った後孔に男根の形状をしたものをゆっくりと挿れていった。
「あ、ああ……」
熱っぽい声を上げる、サフィールの頬を撫でながらニエンテは問いかける。
「痛くない?」
こくりと頷くのが見えたので、ニエンテは緩やかに動かしながら、全身を愛で始めた。
サフィールはニエンテが与えるそれらに思考がどろどろに蕩かされていた。
口づけをしたことのない口に、口づけをされ、舌が入ってきて、酷く「甘い」それを強請るように舌を絡ませればもっと与えてくれる。
赤くなった両胸の先端を触られだけで、快感を感じ、それで勃起してしまう。
下腹部を膣内を突き上げる物質が突く感覚と同じ感覚で押されるとそこが気持ちよくてたまらない。
勃起した雄を肉質的で、細かな突起がたくさんついている筒のような物で扱かれると、気持ちの良い射精感を味わわせてくれる。
女性の器――膣内は男根らしいソレに突かれ、子宮口を押され、抜かれまた突かれる、その動作だけで何度も快感を得て、絶頂に至った。
腸内は、膣内の男根と違って突起が付いていて、一度受け入れたから大きさも少しばかり大きいそれが、同じように動くが、突起が敏感になってる腸壁をする感触がたまらないし、太いそれが腹の奥まで突きずるっと抜かれる感覚は酷く気持ちが良かった。
そしてその間も他の箇所も柔らかく触れられ、どこも蕩けるような感覚にサフィールは浸りきっていた。
「大丈夫? 痛くないかい?」
「もっと欲しい? いいともあげよう」
「愛してるよ、私の可愛いサフィール」
優しい声色、口づけ、温もり。
心の壁が壊れた状態のサフィールの傷ついた心にそれらはゆっくりと染み込んでいった。
「~~~~……」
「ああ、そろそろ限界のようだね、最後に出させてもらうよ、いいかな?」
サフィールが僅かに頷くと同時に、腸内の奥と、膣内に熱い液体が吐き出された。
熱い液体が吐き出される感触に絶頂しながら、サフィールの意識はゆっくりと暗転していった。
ニエンテはメイドが持ってきた温かく湿った上質なタオルでサフィールの体を拭いていた。
拭き終えると、メイドが持ってきた新しい寝衣等を着せて、眠っているサフィールをベッドに寝かせる。
「ニエンテ様」
「あ゛ー最初はわるふざけしたのといじめたのは悪かった、後はやってないよ、可哀そうすぎてできなくなった」
「なら、良いのです」
「――お前らさぁ、俺が娼館行こうが何しようが何も『行ってらっしゃいませ気を付けて』とかだったのに急にどうしたの?」
ニエンテはメイドに問いかける。
「ニエンテ様は別に問題ないのです、私達は奥方様が心配なのです、そのように作られております」
「……ああそう……あの野郎、何かむかつくな……でもあいつもう死んでるしなぁ、死人に文句言っても無駄だし、あいつの後継いだ奴に文句言っても八つ当たりだからなぁ」
ニエンテははぁと、ため息をついた。
「ちょっと、でかけてくる」
サフィールの体に毛布をかけてやり部屋を出ようとした。
「何処へお出かけですか? いつお戻りになられますか?」
「馬鹿どもが何かしてるらしいから、ちょっと言ってアレしてくる。朝食までには戻る」
「畏まりました、行ってらっしゃいませ」
「ああ」
ニエンテはそう言って姿を消した。
主が居なくなった寝室にまだいたメイドは静かな足取りでサフィールの頬を撫でて、まるで慈しむような表情を浮かべた。
「奥方様、貴方様が御心安らかにお過ごしできるよう、私共はお仕えさせていただきます」 ニエンテとの会話とは異なり、柔らかで優しい声でそう言うとメイドは眠るサフィールから離れ頭を下げて寝室を後にした。
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