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二人の視点
クルスの思い
しおりを挟む「……」
マンションの一室で目を覚ました。
マナがいない。
私は慌てて、スマートフォンでマナに電話をかけた。
少しすると、マナが電話に出てくれた。
『はい、もしもし』
「今どこに居る?」
『自分の借りてるマンションですよ』
「はぁ、それなら良かった」
私は安堵する。
『どうしたんです?』
「朝起きたら君がいなかったから不安で。呼び出しとかあるんじゃないかと」
『あーこれからあるかもしれませんね』
「そんな怖い事言わないでくれ」
私は不安になって懇願するように言ってしまう。
『大丈夫ですよ、ちょっくら昨日の件で警察に行ってくるだけです』
「本当に?」
確認するように私は尋ねる。
『本当です、講義の後、それが終わったら先輩のマンションに行きますから』
その言葉に安堵と喜びを覚える。
「分かった、待っている」
電話を切ると私は一人講義に行く準備をして学校へと向かった。
「おい、聞いたかクルス?」
「何がだ?」
「レイアと取り巻き連中が逮捕されて、余罪もボロボロ出て来て当分でてこれなさそうだとよ」
それを聞いて内心ほっとした。
もう会わなくていいのかと。
「そうか」
「そうかって……お前、なんとも思わないのか?」
「私に近づいてきて、魅了やら発情の魔法を使ったあの女のことなどどうでもいいね、もう会わないでいいなら清々する」
「おま……」
「事実だ、恋人がいなければどうなっていたか分からない」
「だからなぁ、恋人って一体誰なんだよ」
しまった失言だったか。
「お前に紹介するつもりはない」
「だって、ことごとく女を振ってきたお前の彼女だぞ? どんなのか気になるじゃないか」
「他の誰にも取られたくない、だから言わない」
マナが、彼女が他の誰かのものになるなんて想像もしたくない。
「なぁ、じゃあ綺麗系か可愛い系か教えてくれよ」
「断る」
しつこい男だ、この男も。
講義が終わった後も、男達は私の恋人について聞いてきた。
それならいっそ見せつけてやろうかとも思ってしまった。
いけないいけない、マナに迷惑がかかる。
ただでさえ、普段から一緒に居たいと願うようになってしまっているんだ、
そして自宅へ帰ると、何もやることがなくごろんとベッドに寝そべっていた。
眠りたかったが、その間にマナが来たらと思うと眠れなくなった。
不安で仕方なかった。
そして夕方あたりになって、マナが部屋に入って来た。
「マナ!」
扉が閉まると同時に私はマナに駆け寄り、抱きしめた。
「もう、先輩、苦しいですよ」
マナが苦笑して言うものだから、私は慌てて離れた。
「す、すまない。予想より遅かったから……」
「お偉いさんの話を聞かされてましてね、正直耳タコですよ。あ、この間捕まった連中余罪がゴロゴロでてきたので執行猶予はつかなさそうですよ」
「そうか……それは良かった」
学校でも話題になっていたが、そうなら良かった。
それなら私はあの女達の影に苦しむ必要がなくていいというものだ。
「真面目に勉強してればいいのに、あの女の取り巻きになったが最期悪事から逃れられなくなった……なんて惨めな、親御さんが可哀想ですね」
「マナ……」
「すみません、こんな話しちゃって」
「いや、マナが無事ならいい」
「先輩……なんかやつれてません?」
「ああ、講義を終えた後中々君が来なくて不安で……」
「ありゃ」
マナはやらかしたと言わんばかりの顔をしてからいつもの顔に戻る。
「分かりました、では、たっぷり甘やかさせていただきますね」
「ああ……本当かい?」
「ええ、勿論です」
その言葉に私はうっとりとしてしまった。
いつも通りお風呂場へ行き、裸になって浴槽に入る。
マナは胸から下を触手状にして、私を抱きしめる。
「ああ……落ち着く」
「それは良かったです」
そう言ってキスしあう私とマナ。
ふと思った、性行為の時しかキスしてない。
なんてもったいない事をしてるんだ私は。
そうこう考えていると、触手がナカにゆっくりと入ってくる。
「おっあっ」
ぬちゅぬちゅと音を立てて、奥まで入り出るを繰り返す。
「っう──‼」
どぷりと射精する。
「っはぁ、あ、ぁあ」
あえぎ声が出てしまう。
声が止められない。
気持ちよすぎて。
ぬちゅぬちゅと、出し入れを繰り返され、前立腺も擦りあげられ、体も優しく触られ、キスもされ目一杯の愛情を感じる。
「お゛ぁああ──‼」
射精をするのが少しだけ辛くなった。
するとナカに液体を吐き出されその快感に震えながら触手が抜かれていくのを感じた。
「先輩、大丈夫ですか?」
「ああ……大丈夫、だ」
「ごめんなさい、ちょっとヤりすぎました。次回はもうちょっと優しくします」
マナは申し訳なさそうに言った。
「大丈夫……すごく、幸せだから」
嘘じゃない、本当だ。
今とても幸せなんだ
彼女は触手から体を元に戻して、浴槽から上がり、シャワーを浴びて、体を拭いて、私の体を拭くのも手伝って、寝間着に着替えて今日はお泊まりということになった。
マナが寝間着持ってきて良かった。
「マナ、一緒に寝てくれ……」
懇願するように言うと、マナは微笑み。
「はい、先輩」
広いベッドに一緒に横になる。
「怖くて寝られない……」
「昨日あんなことがあったばかりですからね」
そう言う私の頭をマナは優しく撫でてくれた。
私は少しずつ落ち着いていく。
「よしよし……」
彼女は私の頭を撫でながら、私の額にキスをした。
それを不満に思ってしまう話私。
「どうしました?」
「キスは口にして欲しい……」
言ってしまった。
幻滅されてないだろうか、と思うとマナは微笑んだ。
そして口にキスをした。
私はそれに幸福を感じながら、やって来た眠気に身を任せて眠りに落ちた。
朝、目を開けると私はマナを抱きしめていた。
「……先輩、起きてください、朝ですよ」
「もうちょっとだけ……こうしていたい……」
時間的にまだ余裕があるだろうと思いそうおねだりをしてしまう、するとマナは苦笑していった。
「もうちょっとだけですよ」
「うん……」
「先輩ー朝ですよー、遅刻しちゃいますよー」
マナに起こされ目を覚ます。
「うん……」
そして私はマナの匂いを嗅いだ。
「ああ、落ち着く……」
「落ち着いて眠っちゃだめですよ」
「うん……」
身なりを整え、マナから血液パックを貰って口にした。
「では、私は先に──」
「待ってくれ、一緒に、行こう」
私はそう口にしてしまった。
後悔はない。
「はい?」
マナが疑問系の声を出す。
でも、言おう。
「これからは一緒に居たい、時間が許す限り」
はっきりと伝えた、マナが他人に奪われる恐怖はないわけではないが、マナと一緒にいたかったから。
「だめ、か?」
そう問いかけると、マナは微笑んだ。
「だめじゃないです、一緒に登校しましょう」
私は幸せのあまり笑ってしまった。
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