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第2話 親なら黙ってないで

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 自宅に帰ると応接室に両親がソファに座っているのが見えました。私は扉を乱暴に開けて、

「お父様、ミシュラがいなくなることを知っておりましたね」

 と品がないのはわかっていましたが、叫びながら部屋に入りました。

「いや、さすがにパパもさ。他国の軍部経由の通達できた要請があると断れないよ」

 お父様は立ち上がり、無駄な弁明を言ってきました。

「もう、お父様と口を聞きません」

 私は怒っています。お父様が、彼の国に帰ることを認めたことを…

「パパにもさすがに無理だよ。許してよ」

「嫌です。お父様と口を聞く気になれません」

「それとお母様も知っていましたね? なんで黙っていたのですか?」

「私の口から伝えて、あなたは彼を諦めるかしら?」

 そう言って、お母様は私を見つめてきました。

「諦めません」

「そうでしょうね。あなたは私に似て頑固ですものね」

 お母様はどこか好ましい者でも見るような目をしながら微笑んでいます。なぜでしょうか。頑固に良い意味などないでしょうに…

「でも、今回の件は流石に彼の意見を尊重します。あなたは彼の家族を心配する気持ちを否定するのですか? 私は、あなたをそのような娘になるように育てたと思いたくありませんが…」

「でも、お母様。彼はもしかしたら、もう二度と会えないかもしれないんですよ?」

「それでもです」

「…お父様もお母様も嫌い。私の気持ちはどうでもいいのね!!」

 私はそう言って、捨て台詞のように応接室を飛び出したわ。そして、自分の部屋の扉をあけて枕を抱えて、ベッドにねそべることにしたの。でもね、こんな状況でしょう? 

 だから、もう、私も私の気持ちがわからないの。彼の家族を心配する気持ちを尊重したい。でも、私も彼のそばで一緒に過ごしたい。そんなことばかり考えてしまって…

 もう、本当に訳がわからなかったわ。ただ、彼に会いたい。
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