神様の許嫁

衣更月

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まれびとの社(二部)

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 首振り扇風機の風に、蚊取り線香の香りが拡散する。
 本来なら、ワシャワシャとセミが鳴いているんだろうけど、今は冬のような静けさがある。
 須久奈様の機嫌の悪さに中てられたのか、庭木で忙しなく鳴いてたセミが一斉に飛び去ったのだ。遂に、うちから全てのセミがいなくなった。それどころか、ちらほらと飛び始めた赤トンボも、木陰で羽を休めていた小鳥の姿も消えた。
 怖っ!
 そんな恐怖と無縁なのは、同じ神様しかいない。
 にこにこと上機嫌で水羊羹を頬張るのは年神様だ。僅かに目尻を下げた幸せそうな表情からは、須久奈様への畏れなど微塵も窺わせない。
「栗羊羹も良いけど、やっぱり夏は水羊羹だね」
 神様にとって、庭から虫や鳥が逃げ去ることなど瑣事なのかもしれない。
「須久奈は食べないのかい?美味しいよ?」
「いらない」
 須久奈様は口元を歪め、自分の水羊羹を年神様へと差し出した。というか、押し付けた。
「須久奈様は甘い物が好きではないんです」
 好きではないけど、一応、形だけでも茶請けを出さなければならない。
 母に怒られるからだ。
「そう…なのか?知らなかった…」
 と、年神様は衝撃を受けたとばかりに瞠目した。それから、甘味を語り合えないことに、しょんぼりと眉尻を下げる。
 しょんぼりとしながらも、須久奈様の水羊羹を引き寄せているから、不覚にも可愛いと思ってしまう。
 年神様にほんのり癒されながら、その隣…私の正面に視線を向ける。
 退席を許されなかった誓志が、悲愴感たっぷりの面持ちで私を見ている。無言ながらに、ヘルプの叫びが聞こえる。
 巻き込んでしまったことが申し訳ない。
 きっと年神様も同じ気持ちなのだろう。誓志を不憫に思った年神様は、優しくも姿を見せてくれている。
 須久奈様は声のみで、姿を見せることを拒否した。
「では、話の続きをしようか」
 年神様は羊羹を1皿食べ終えると、冷たい麦茶を飲みながら順繰りに私たち見る。
「よ、よし…それじゃあ…まずは…手っ取り早くあいつを殺そう…」
 びくり、と私と誓志の肩が跳ねあがる。
 対照的に、「あはは」と軽やかに笑ったのは年神様だ。
「須久奈は相変わらず気が短いね。でも、駄目だよ?理由は分かるだろう?何より、向こうから接触してきたのは相応の理由があるはずだ」
 須久奈様はむっと唇を尖らせた。
「一花ちゃん。彼と話したんだよね?」
「はい。最初はデザイン会社の人と思ったので」
「一花ちゃんから話しかけたの?」
「まさか!」
 大きく頭を振る。
 部外者立ち入り禁止の工事現場に、薬袋さんに連れられて行ったとはいえ私は部外者に変わりない。邪魔にならないように気を使いこそすれ、関係者に気軽に声をかけることなんてありえない。
 私の神経は、そこまで図太くはないのだ。
「薬袋さんがデザイン会社の人と仕事の話を始めたので、それが終わるまで待っていたんです。そしたら、話しかけられました」
「どう話しかけられたの?」
「パネルを見たかって」
「パ…パネル?」
 首を傾げた須久奈様に、写真や説明文を載せた画板と説明する。
「大きさは畳一畳分…か、少し大きいくらいです。資料館の中はまだ完成していないので、雑然としてるんです。工具とか、展示物を納めた箱とか…そんなのが山積みで、パネルは壁に立て掛けてありました」
「そ…そ、それを見ろと言ったのか?」
「パネルを見たかって」
「パネルは神籟町に関する史料かな?」
「いえ…それが、私も知らない村の解説です」
 困惑の表情で、誓志に目を向ける。
「誓志、川守村って聞いたことある?」
「川上村?」
「川を守るで川守村って書くんだけどね。ここから上流の方に在った村で、昭和20年頃の台風で廃村になってるんだって」
「昭和20年って…知るわけないじゃん。村の名前も聞いたことがないよ」
「だよね」と姉弟で記憶を探っている横で、「川守村…」と神様たちも気難しい顔で記憶を手繰っている。
「あ…あの村か…」
 と、渋面を作ったのは、予想外にも須久奈様だ。
「須久奈様。知ってるんですか?」
 引きこもりなのに?という疑問は心の中だけにする。
 須久奈様は胸の前でもじもじと指を絡め、照れ臭そうに「へへへ」と笑った。
「お…赴いたことはないけどな。あ、あ…嵐で避難して来た奴らがいたのは…知ってる」
「ああ、思い出した。私の記憶では、守るではなく、”加える”に”見る”で川加見だったと思うんだけど……」
「行ったことがあるんですか?」
「何度かね。とは言っても、かなり昔だよ。江戸の頃かな。それに、私は須久奈のように一つ所に留まることはないから、通過点の1つに過ぎない。ただ通り過ぎただけの数ある村のうちの1つだね」
 年神様は言って、水羊羹をひと口頬張る。
「もしかして、年神様はこっちには住んでないんですか?」と誓志。
 素朴な疑問に、私も首を傾げる。
「須久奈のケースが珍しいんだ。あ、八百万の神々は違うよ?彼らは信仰心が命綱のようなものだし、元々が現世うつしよで産まれた者だからね。私たちは常世とこよだったり…あと、聞いたことはないかな?高天原たかまがはら。そっちで暮らしているから、こっちで腰を据えることは基本的にはない」
「それじゃあ、須久奈様は例外なんですね」
「例外中の例外だろうね。私も、須久奈がいるから神籟町を訪れているわけだしね」
 年神様は苦笑し、須久奈様は唇を尖らせて外方を向く。
「直日もそうだよ。須久奈がいるから、この町を通過点にはしない」
 そもそも神直日神は、行方を眩ませた須久奈様を追いかけて来たのだ。見つけた、良かった、で引き揚げて行くようには思えない。
「そういえば、ここのところ神直日神様は見ませんね」
 日課のように須久奈様に会いに来てたのに、自慢のウイスキーを手土産に持って来て以降、音沙汰がない。須久奈様に貢ぎ過ぎて金欠になったのかもしれない。
 私が1人で納得していると、須久奈様が「あいつは舟を調べてる」と言う。
「舟…て、葦舟ですか?」
「そ…それ以外に何があるんだ?」
「いえ…でも、神直日神様自ら調べるような大層なものかな…と思ったんです」
 じっとりと追及するような目で見ないで欲しい。
「実は…他にも何か見てるんじゃないだろうな?」
 めちゃくちゃ疑われている。
 それほどに私の信用度が低いのかと思うとショックだ。
「ところで、舟って何だい?」
 首を傾げた年神様に、「一花が葦舟を見たそうだ」と須久奈様が説明する。
「葦舟…」
 黒文字菓子楊枝を口に咥えて呟く様は、しみじみ可愛い。
 見た目は寝癖の跳ねた無精髭のおじさんなのに!
「イチ姉。アシブネってどんな船なんだ?」
「あ~…藁に巻かれた納豆みたいな感じ」
 的確な表現だと思ったのに、須久奈様は渋面を作り、年神様は困惑顔になった。それでも姉弟だ。誓志には伝わったらしい。
「へぇ~、そんなので浮くんだ。すぐ沈没しそう」と答えるから、2柱は頭痛を覚えたような顔つきになる。
「あ、そうそう。資料館のパネルにも葦舟が載ってた」
 忘れてた、と手を叩けば、須久奈様が呆れ顔をこちらに向ける。
「い…い、一花……大事な話だろ?なぜ忘れるんだ?」
「驚くことが続くと忘れちゃうんです!妖怪に不審船に神様ですよ?いっぱいいっぱいです」
 ぶぅ、と頬を膨らませれば、「か、かわいいな…」と頬を突いてくる。
「パネルは何と書いてたか覚えてるかな?」
 須久奈様の手を叩き落として、私は頭を振る。
「説明文は読んでません。写真と、その下の補足を見たくらいです。撮影場所と撮影日です。3枚のうち2枚が大正時代の写真でした。農作業をしている人たちを遠目に撮った白黒写真です。もう1つが笹舟流しです。3枚目が葦舟の資料写真でした」
 正確には笹舟流しではなかった。
 あの名称は何と言ったか…。ク…クワ…なんとか。
「い、一花…正確じゃないだろ?」
「え?」と須久奈様を見上げれば、眉間に指を当てられた。
「眉間に皺…できてるからな…。な、何を忘れてるんだ?」
 流石、神様。
 するどい。
「笹舟流しです。写真は笹舟を流してるんですけど、言い方が違ったんですよ。訛ったような言い方で…。クワなんとかです」
 眉間に添えられたままの須久奈様の手を払い、「えっと…」と頭を抱える。
 あの時は高木神の圧が凄かった。恐怖心を煽るようなものじゃなくて、例えるなら、テスト後に職員室に呼び出された時の緊張感が近い。それも苦手な数学教師を前にしたような居心地の悪いタイプのだ。
 薬袋さんが色々と説明してくれて、日向さんと一緒に聞いていた。
「あ」
 私の呟きに、「思い出した?」と年神様が笑みを向ける。
「あ…いえ。ただ、災いって意味でした。七夕とお盆の話になって、昔は竹や笹に願いだけじゃなく、悪いものも乗せて、一緒に川に流してたんだって…。それで私が”お焚き上げじゃないんですね”って訊いて………」
 それから…と記憶を手繰る。
「兼じい…田邊醸造所の兼継さんが子供の頃、台風で川守村から避難して来た人と仲良くなったって話が出たんです」
 天井を見上げながら言う私に、「それで?」と須久奈様が相槌を打つ。
「えっと…川守村の人たちは笹舟流しをしていたそうです。でも、神籟町の住人たちがそれを良しとしなかったって…。他所の神様を入れるのはダメだって。それで村八分状態になって、避難してきた人たちはまた越して行ったそうです」
「もし私が思っている川加見村と同一の村であるなら、あそこで祀っていた神はいなかったと思うよ。地蔵信仰だった気がする」
 地蔵信仰って何?と思っているのは私だけじゃないらしい。
 ちらりと誓志を見れば、眉間に皺を寄せて考え込んでいる。誓志も地蔵信仰が理解できていないのだろう。
 私は年神様を見て、ゆるりと頭を振った。
「資料館の薬袋さん曰く、田の神信仰だったと言ってました」
「タノ神って…田んぼの神様のこと?」
 誓志の疑問に、私は頷く
「そう。豊穣の神様。お米の神様…じゃなかったっけ?」
 うろ覚えだ。
 私が頭に手を当て唸っていると、「農耕の神だね」と年神様が説明してくれる。
「ただ、田の神は我々のような個ではないんだ。言ってしまえば、私も田の神と呼ばれることがある。その土地、その土地で、神の名が変異し、田の神として祀られるようになったんだ」
「田の神は昔の人間の生活に寄り添うように性質を変化させる…」
 須久奈様が言って、私を見た。
「や、山の神が春に里へ下り…田の神になる…。ふ…ふ、冬は狩猟…あ、暖かくなれば農耕…。山の神と…田の神は同一とする土地もある…。その田の神は、年神であったり…宇迦之御魂神うかのみたまのかみ豊宇気毘売神とようけびめのかみなどが基になっている…」
「トヨウケ…?」
「と、豊宇気・・毘売。宇迦之御魂の宇迦もウケと読む。ウ…ウケというのは…穀物の女神の神名だ。つ、つまり、豊宇気毘売も穀物の神だ…」
「年神様はウケってついてないですよ?」
「と、年神は男だろっ…。女神の神名…だ」
 あ、そうか。
 年神様を見ると、別段腹を立てている様子はない。
「田の神の厄介なところは、実際に信仰していた神が不明なとろこだね」
 と、麦茶をひと口飲んだ。
「私に宇迦之御魂、豊宇気毘売。他にも久延毘古くえびこ、ゑびすに大黒と多岐に渡るんだよ。最初の頃は明確な信仰神がいたのかもしれないけど、代を重ねるにつれ、村人は田の神の正体を忘れてしまう。結果、田の神という神を信仰するんだ」
 誓志と一緒に頷き、首を傾げた。
 また新たな神様が登場だ。
「く、久延毘古は案山子かかしのことだ。案山子は依り代でもある…」
 私と誓志が頭にクエスチョンマークを飛ばしているのが分かったのか、須久奈様が先手を打って説明してくれた。
 どうにも神様の名前は難しい…。
 というか、案山子が依り代の神様がいるとを初めて知った。
「案山子って鳥除けかと思ってました…」
「か、案山子は”鹿を驚かす”と書いて鹿驚かかしとも読む。鳥だけじゃなく…獣も寄せ付けない。つ、つまり…作物を守る…ということだ。加えて昔は…田の神の依り代だから…じゅ、呪術的な意味合いで…悪しきモノを祓う力がある…と、信じられていた」
 意外と奥が深い。
「あの」
 誓志が怖ず怖ずと手を上げた。
「案山子が呪術的な意味合いがあるなら、川守村の笹舟流しっていうのも、田の神様…クエビコ様が由来する行事なんですか?イチ姉の記憶が確かなら、笹舟流しは災いの意味合いを孕んでたって言うし…クエビコ様が祓った悪いモノを流してたってことはないですか?」
「確かに、クエビコ様を中心に据えれば解決」
 私の賛同に、須久奈様が頭を振って否定した。
 年神様もゆるく頭を振り、「いいや」と答える。
「久延毘古にそんな力はないよ。そうだろ?」
 と、年神様の目が須久奈様に向かう。
「ああ…ないな。あいつは体が不自由だから、滅多に出て来ないし加護を授けることも少ない。その分、頭の回転は速いから、気が向けば人間に知恵を授けるくらいだ」
「須久奈様はクエビコ様を知ってるんですか?」
「あ…ああ…知ってる。あ、あいつは災いを冠する神事を指示するような奴じゃない…」
 須久奈様の口ぶりから、結構近しい関係なのが分かる。
「悪しきモノを祓う力があると信じていたのは人間側だからね。当てにはしない方が良いかな」
 年神様が苦笑する。
「宇迦之御魂にしても豊宇気毘売にしても、穀物の神だからね。豊凶を見守っても、災いに関することには手を出さない。専門外というやつだね」
「そうなんですね…」
「何より、一花ちゃんが言ったような、笹に願いも災いも一緒くたに乗せて流すようなことはしないと思うよ。意味がないからね」
「だが…あいつが見ろと言ったら無関係じゃないんだろ」
 須久奈様は腕を組み、渋面を作った。
「懸念すべき…ではあるね」
 年神様も同意し、「例えば」と私を見据えた。
「最初が間違いだったら?」
「最初?」と私が首を傾げれば、年神様が「そう」と頷く。
「笹舟に引っ張られ過ぎなんじゃないかな。人間の世は移ろいやすい。田の神も同様に、初めに在った意味が時代とともに変化をしたのかもしれない」
 変化…。
「本来の神事は、笹舟を流すことではなく災いを流すだけだったのかもしれない。木片や、木の葉。それらのもので穢れを流す神事が、都合よく笹舟に置き換わったということはないかな?途中で七夕と混同され始めたのかもしれないし、盆の精霊流しの意味合いも含んだのかもしれない」
「そもそもが…田の神を信仰しているというのが誤りの可能性だってある」
「そうだね。問題スタートが違えば、答えゴールも違う気がするね」
 2柱の指摘に、思わず息を呑む。
 須久奈様を見れば、気難しげに口元を歪めている。
「…年神。地蔵信仰だと言っただろ?」
「私が通過した頃の話だよ。江戸の頃の話だから、同じ村とも限らないしね。読み方は同じでも、漢字は違ったからね」
 年神様は水羊羹の最後のひと欠片を頬張り、味わうように咀嚼すると、麦茶を飲んでため息を吐いた。
「あまり考えたくはないけど…。他所から神を持ち込み、信仰が変わったのかもしれない」
「神様を持ち込むんですか?」
 驚いて訊けば、「イチ姉」と誓志が首を傾げた。
「確か、須久奈様が言ってなかった?ヤサカ様の社の神様も、昔、持ち込まれたんだって」
「あ、そういえば…」
鹽土老翁神しおつちおじのかみのことだね」
 年神様も知っているらしい。
「でも…それなら、どうして川守村の人たちの神様は村八分の対象になったんでしょうか?」
 誓志が訊けば、須久奈様が渋面を作った。
「そんなの…答えは一つしかないだろ」
「得体が知れない神、か」
 年神様は無精髭を撫で、「参ったな」と天井を仰ぐ。
「祀っていた神の正体如何では、大変なことになるよ」
「あの…」
 口を挟める雰囲気ではないけど、怖ず怖ずと手を上げる。
「その…例えば。例えばですよ?祀っていた神様が田の神様だったとしても、流した災いで下流域は穢れてしまうんですか?」
「そ、その神の真偽が不明な場合の話をしてるんだろ?」
 いや、そうだけど。
 ぶす、と頬を膨らませれば、またしても須久奈様がつんつんと頬を突いて来る。
「か…かわいいな…」
 へへへ、フヘヘ、と笑いながら引っ付いてくるから暑苦しい。
「80年近く昔の話を、なぜ今になって蒸し返すんだろうね。その村は無くなったのに」
 年神様は嘆息して、「それで、パネルには3枚の説明があったと言っていたね」と困惑気味に私を見る。
「うち1枚が葦舟の資料写真だったそうだけど、葦舟の写真が載っているということは、やっぱり村に関係するということかな?」
「えっと…そうです。葦舟の写真は大学で造ったものですけど…」
 須久奈様を引き剥がしながら、パネルを思い出す。
「薬袋さんの説明では、確か…村で毎年、1艘だけ葦舟を造ってたそうです。小さな、子供がのるようなサイズの。神事で使って、最後は燃やして川に流してたとか。笹舟流しも含め、何も分かっていないと言ってました」
「葦舟に縁があるね。一花ちゃん」
 私は厄介な事案を抱えてしまったのだと、2柱の表情を見て悟った。
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